破産宣言
深刻な経済危機に陥っていたスリランカが2022年7月6日に破産を宣言した。
スリランカと言えば、紅茶、そして東洋の真珠と呼ばれるほど、美しい国だと言われている。
スリランカの意味は、現地の言葉(シンハラ語)で「光り輝く島」という意味になる。
しかし、国の名前とは異なり、赤字体質の国だった。
それに加えて世界的な物価高騰、通貨の下落により燃料や食料などの輸入品の支払いに必要なアメリカドルが不足により独立以来最悪の経済危機になっている。
現大統領は、無駄なインフラを作り、借金を重ねていった。
そして、通貨をどんどん生産して通貨の価値を下げていった・・・
スリランカは世界で初めて国内の全農業を有機栽培に変える「有機革命」に取り組み、農薬の輸入を全面的に禁止した。
一見すると良い取り組みのように思えるが、この政策により、有機質肥料の需要が増えた。
しかし供給が追いつかず、セイロン茶の品質が落ち、生産量が減少すると農家から怒りの声が上がった。
スリランカで生産している農作物も影響を受け、食糧不足を加速することになってしまった。
結果、輸出量が減り、貿易赤字になってしまった。
そして政府は半年で有機質肥料が農家に十分に供給できるようになるまで農薬を輸入するとあっさり方針転換を行った。
コロンボの渋滞緩和のためのLRT整備事業
2020年9月29日、スリランカ政府は2019年7月に起工式も開かれていた。
日本の支援で建設を計画していたこともあって、スリランカ国民もLRTに期待を寄せていた。
しかし、スリランカ政府は2500億円規模の鉄道整備事業の中止を28日の閣議で決めたと発表した。
これは現大統領が中国に媚びるために行ったと見られている。
2021年11月26日、日本・インドと協力して行うはずだった、コロンボの港湾開発事業も白紙にされてしまった。
これも前大統領が2019年5月に日本・インドと覚書を交わしていたが、高架化することで多くの建物を取り壊す必要があり、建設費や運営費が莫大になるためと理由を説明した。
中国による債務の罠
そして、スリランカは中国企業(中国招商局港口控股有限公司)にハンバントタ港の開発を委託した。
そして、ハンバントタ港の開発のために、中国から多額の融資を受けた。
この場所は、スリランカの最南端に位置する。
車でも3時間以上。
こんなところに大きな港を作って誰が利用するというのだろうか?
当然の結果で、ハンバントタ港が利益を生むことはなく、借金だけが膨らんでいき返済ができなくなった。
その結果、スリランカは、ハンバントタ港を99年間租借地として中国に明け渡すことになった。
中国も最初から、このことは理解していたはず。
あえて、この場所を選んだのは、借金返済ができないことを見越したうえで租借地として中国のものにすること。
中国としても利益の生まない港をそのまま、所有していても意味がない。
このため、軍事利用で使用するつもりなのだろう。
軍事基地として利用するには、ハンバントタ港は中国としては申し分のない場所だと言える。
そんなことから、中国による「債務の罠」と言われている。
スリランカ現大統領は、中国の口車に乗って、罠にはまってしまった。
その結果が積もり積もっての破産だと思う。
日本に支援を求めてきた?
そんなスリランカ政府は、困った時の日本とばかりに、支援を求めてきた。
スリランカ国民でさえ「恥知らず」とスリランカ政府を罵しるようなことを平気な顔をして依頼してくるのだから、日本政府も裏切られたことを理由に拒否してもよかったのではないかと思う。
しかし、日本はスリランカが、医薬品と食料が不足しているということで、2022年5月20日、林芳正外相がスリランカに対して、計300万ドル(約3億8千万円)の緊急無償資金協力を実施すると発表している。
これまでのスリランカの裏切りとも言えるような行為を知らないはずがない日本政府でも、人道支援であれば放っておけないというのは日本らしい判断だと思う。
スリランカは一刻も早く、現大統領を変えない限り状態は悪化するだけだと思う。
と、ここまで書いたところで、テレビのニュースを見ていると、スリランカの大統領が辞任の方向という報道がされていた。
健全な大統領に投票して欲しいものだと思う。