サイゼリア?サイゼリヤ?
時々、わからなくなる時がある。
そう、イタリアン系のファミレス「サイゼリヤ」のことだ。
低価格で本物を美味しく提供してくれるあの、サイゼリヤだ。
- ミラノ風ドリアが税込300円
- パルマ風スパゲッティが税込400円
- グラスワインが税込100円
デカンタ500mlでも税込400円なので、普通の店のグラスワイン並みの価格だ。
サイゼリヤというのは、ラテン語の古語で、日本語だと「くちなしの花」で花言葉は「わたしは幸せです」だそうだ。
なぜ安くて美味しいものを提供できるのか?
なぜ、世の中は、ここぞとばかり値上げを行っているのに、サイゼリヤは、こんなに安い値段で料理を提供できるのだろうか?
そんなことから、サイゼリヤの内情を知りたいと思った。
何か、良さそうな本がないか探してみると1冊の本が見つかった。
タイトルは、「サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?」で、とても長い。
サイゼリヤの創業者は、現在の会長で正垣 泰彦(しょうがき やすひこ)氏。
研究者を目指して、東京理科大学(理学部物理学科)に入学した。
卒論のため国の研究所へ通っているうち、こんなこと一生やるもんじゃないと思った。
自分で何かをやろう、ゼロから出発して大きくなるには、料理が得意だったこともあり食べ物屋がいい、そう思って在学中に始めたという。
そんなことから、サイゼリヤは物理学者が飲食店をつくると、こうなるって感じの店になっているように思う。
- キッチンでは包丁は使わず、下処理済みのものを茹でたり、温めたり、盛り付けだけをする
- 店舗オペレーションはしっかりマニュアル化されており効率よく店舗を運営する体制ができている
本物の素材で、美味しく安く早く提供してくれるのが「サイゼリヤ」であり、なぜか、自分が行くところには「サイゼリヤ」があるので、ファミレスを利用する場合、もっとも利用するのが「サイゼリヤ」になる。
サイゼリヤの法則
サイゼリヤは安くて美味しい。
しかし、正垣さんはサイゼリヤは「まずくて高い」と考えているそうだ。
なぜか?
正垣さんは以下のように話している。
「サイゼリヤの料理は最高だ! 安くておいしくて申し分がない」
もし私がそう言い出したらどうなると思いますか? サイゼリヤの従業員は「もう努力しなくていいんだ」と、気を抜いてしまうでしょう。本来なら、価格も味も日進月歩で進化していくべきですが、現状維持すらできなくなってしまうかもしれません。
努力を続けなければ進化しないだけでなく、現状を維持することさえ出来なくなるということから現状に満足することをしないということ。
これは、エントロピーの法則の影響を受けているとのこと。
正垣さんは物理学が大好きだということから、物理の法則を経営や人間の生き方に当てはめると、腑に落ちることばかりだと話している。
そして物理の法則に「エントロピーの法則」がある。
これは、熱力学第二法則とも呼ばれ「閉鎖系におけるエントロピーは時間の経過とともに必ず増大し減少することはない」という法則になる。
これだとわかりにくいので、補足すると「エントロピー」というのは日本語だと「乱雑さ」「無秩序さ」といった意味になる。
具体例で言うなら、部屋は一度、散らかり始めると、どんどん汚れていき物は増えて収拾がつかなくなる。
これはエントロピー(部屋が散らかる状態)が増大した状態であり何もしなければ減少(部屋が片付く)することはない。
つまりエントロピーを減少させるには「部屋を片づける」という「努力」が必要になる。
正垣さんは人は満足すれば乱雑で無秩序で複雑な方向に向かってしまう。そしてエントロピーの法則によれば努力しない限り元に戻ることはないことを物理の法則から理解している。
だから現状に満足してしまわないように現状を否定する。
すると問題や課題が見えてきて改善しようと努力する。
これは、確かに腑に落ちる。
それだけではない、サイゼリヤの最終目標は、無料で料理を提供できるようにすることだという。
このため、「より安く、より美味しい料理を提供し、お客様に喜んでもらうこと」に全てのリソースをサイゼリヤは投入してきた。
逆に言えばサイゼリヤでは、これ以外はどうでもよい。
だから、サイゼリヤは広告を出さない。
広告を出してもお客様は喜ばないから。
広告を出すお金があれば、安く、美味しい料理を提供することに使った方がよい。
凄くシンプルな基準がサイゼリヤにはある。
これがサイゼリヤの法則だと思った。
【出典】サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?