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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

桃から生まれた羊の絵

ABEMAドキュメンタリー 「密着5年!不登校の“天才“少年画家」という動画を見た。

冒頭で難しい顔をして「桃から生まれた羊」の絵を描いている少年がいる。

そして以下のようなことを語っていた。

  • これを桃だと言い張るところが、まず一番自分らしくて、桃から生まれてくる羊は多分、普通の羊じゃないと思うので不思議な雰囲気を持たせたいなぁと思っています。少し変わったはみ出たような、ちょっと変な感じがするもの

【出典】https://abema.tv/video/episode/89-118_s15_p7

自分が描く絵が現実?

彼はまるで描いている絵が現実のような感じで話している。

桃から普通、羊は生まれない。

既にその時点で不思議だし、普通でないことは伝わってくる。

それだけでは不十分で「羊」にも不思議な雰囲気を持たせたいという。

彼は小学校6年生の頃から不登校になったようだ。

食べることや寝ることを忘れて描き続けることも珍しくない。

1日に100枚描くこともある。

使っているのは、どこにでもあるような黒のマジックペン1本

まっさらなキャンバスに下書きもしない。

普通の人なら何日もかかりそうな絵を30分で描いてしまう。

きっと、彼の頭の中では書きたいものが明確かつ具体的にイメージされているので、それを頭の中ら紙にコピーするように描けてしまうのだと思う。

彼は空想の世界を行ったり来たりする。

学校には行くが、嫌なことが多い。

だから教室には行きたくないので、せっかく学校まで行っても帰ってきてしまう。

そして彼は、絵は描けるのに文字は書けない学習障害

文字が書けなければ、ノートを取ることもテストを受けることもできないので学校生活のルールに適応できなかったのが学校に行けない理由。

字は決まった形があってそれに沿って書かないといけないところが絵との一番の違いらしい。

そんな彼だから嫌いな人と仲良くすることはできない。

異才発掘プロジェクトとの出会い

ある時、彼は、「異才発掘プロジェクト ROCKET」の中邑 賢龍(ナカムラ ケンリュウ)さんに絵を認められ道が開けた。

普通ってなに?変わっているってなに?

たった一つ、何かが変わっているだけで障碍者の烙印(スティグマ)が押されてしまう。

人間は誰もが変わっているところがあるもの。

スイスとポーランド

彼は、スイスで行われるサイバスロンとポーランドアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館の研修旅行に参加した。

そして、テーマが一つ与えられた。

これは中邑さんがプロジェクトのメンバーに気が付いて欲しいと感じていることに繋がるもの。

それは、「サイバスロンとアウシュビッツを結び付け今の世の中を考えよ」というもの。

サイバスロンとは障碍者のための技術の進化を競う世界大会

サイバスロンに参加したプロジェクトのメンバーの中の一人が、「人がやることを拡張するためのもの」自転車に乗ったり、電車に乗ったり、飛行機に乗ったりするのも拡張で義手も同じで拡張だという。

アウシュビッツは、ユダヤ人というだけで多量虐殺を行った場所で、障害者の迫害から始まっている。

アウシュビッツでは最初に仕事ができる人とできない人に分けられた。

ここでの基準は「働けるかどうか」で、決めるのはアウシュビッツ所長のヘス。

ヘスの指がどちらに向くかで生死が決まる。

誰もがヘスになり得る素質を持っている。

それが人間。

ヘスをなぜ悪魔のような存在に変えたのか?

ヘスも自分の家庭に戻れば、親孝行、子供を大切にする優しい人間だったのかもしれない。

それでも、仕事では変わらなければ、大切な親、子供を守ることができない・・・

そんな事情があったのかもしれない。

テーマの答えは?

では、サイバスロンとアウシュビッツがどう結びつくのか?

中邑さんは次のように語っていた。

技術を使えば何かが高まっていく。

背が高い方がいい、力がある方がいい。頭の回転が早い方がいいという軸の中で、君ら(プロジェクトメンバー)は追い詰められてきた。

それでも、俺はこれでいいと、堂々と生きるという人間が、もう少し増えていかないと・・・

多面体の一面

何かを高めることが良いというのは多面体の一面に過ぎない。

多面体はみんなが同じ面を見ないといけないわけではなく人それぞれ、どこから見ても良いはずだ。

しかし今の社会はみんなが同じ面を見ようとする。

自分は、別の面からしか見ることができないのであれば、無理に同じ面を見ようとせずに自分が見える面を信じて生きていってもいいんじゃないの?ってことだ。

サイバスロンは不足している部分を補う技術を競う場なので不足している能力を高めようという場になる。

このため多面体の見ている部分はアウシュビッツの働けるか?どうか?という基準と何ら変わりがない。

価値観や考え方は人それぞれなんだから色んな視点で見てもいいんじゃないの?

ということに気づいて欲しかったためのスイスとポーランドへの研修だったと自分は認識した。

このようなプロジェクトが終わってしまったのは実に惜しい。

そう考えると今の学校は、多面体を同じ面から見ようという人を育てる場になっている。

同じ面から見ることができない子供にとっては合わない内容になる。

そういう子供が不登校になってしまうのは当然のこと。

世の中には人と仲良くするのが苦手な人もいる。

しかし今の学校は、みんな同じが基本なので、無理やり仲良くさせようとする。

これでは、どうしても学校が嫌な場所になってしまう子供が出てくる。

仲良くなるのが苦手なら無理に仲良くならずに自分の好きなことに打ち込んでいてもいいのではないか?

それが「異才発掘プロジェクト ROCKET」の役割なので、そんな視点の学校や教室が義務教育の中に作られても良いのではないだろうか?

実に色んなことを考えさせられた動画だった。