ジャムの法則
ジャムの法則という心理作用があると言われている。
コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が、スーパーマーケットでジャムの試食販売を行った。
以下の2つの販売方法で購買率の差を調査した。
- 24種類のジャム
- 6種類のジャム
24種類のジャムがある方に多く人が集まったが、実際に試食した人が購入に至った人の割合は6種類のジャムの方が高かった。
- 24種類のジャム:3%
- 6種類のジャム:30%
たくさんの選択肢は面倒なだけ?
この結果から導かれたのは、たくさんの選択肢があると選ぶのが面倒になってしまって何も買わずに立ち去るということのようだ。
しかし、本当にそうなのだろうか?
調査した時の環境や時と場合によっても影響すると自分は思っている。
今、パンを焼いていてジャムが切れたので買いに来たような人だと、いつものジャムで良いという状況なので試食して選んでる場合ではないだろう。
また人が多くて展示されているジャムを長時間見て選んでいると他の人の迷惑だと感じる人は何も買わずに早々に立ち去るかもしれない。
しかし、じっくり選べる状況であれば結果は変わったのではないだろうか?
何の規則性もなく、ただ置いてあるだけでは分類するところから始まるので、面倒くさく感じるだろうが、しっかり整理整頓された状態で並べられていれば、印象は大きく変わってくる。
選びやすくする
また、選びやすいように試食の際に全てのジャムについて紹介しているチラシを渡せば試食しながら選ぶこともできる。
ひと工夫加えるだけで選ぶのが面倒だという意識は軽減できる。
そして選択肢が多くても最終的には多くても3つくらいに絞るはず。
選択肢が多い状態で、一つ一つ吟味するのは大変なので、篩(ふるい)にかけるという処理は、どうしても必要になってくる。
選択肢が多いと篩にかける基準を決めたり考えたりするのが面倒だと感じることになる。
特にどれも、同じような感じに思えてしまう場合は、選択肢がなかなか減らないので、「やーめた」ということになるのではないだろうか?
選択肢は予め減らしておく
ジャムを24種類の中から店頭で篩にかけるなんて考えただけで面倒な話しなので、店頭で販売する場合には、売る側が、篩にかけやすくするように分類するなどしておくことは必須だと思う。
まず、ジャムは材料別でも何百種類もあるとのとだが、日本だと一般的には5種類くらいではないだろうか?
- 苺
- オレンジ
- ラズベリー
- ブルーベリー
- 杏
これに、その他を含めれば6種類なので、これくらいなら一つ選ぶのも苦ではない。
24種類を6つに分類してあげるだけで選択肢はかなり減るはず。
そうすると、人が多く集まった24種類のジャムの方が購買率は高くなったはずだし、売り上げも人数が多い分、6種類のものより上がっている可能性もある。
選択肢が多い方が良い場合もある
家電製品を買いたいと思った時に近くの店に行くとすれば、小さな店よりも、品数の多い家電量販店に行くのではないだろうか?
価格面で安いということもあるが、色んなものが店頭に並んでいるので実際に見たり触れたりできるというのも大きな理由の一つではないだろうか?
選択肢が多いと面倒だと言うなら品数が豊富だというのはメリットではなくデメリットになる。
しかし、行動経済学では選択肢が多すぎると細かい差異が気になってしまい、最終的な選択結果に満足しにくくなるので、満足度は低下するとの研究もあるようだ。
この点は一理あるのかもしれない。
選択肢が多くなれば条件も増えていく
選択肢が増えていけば条件も増えていくことになる。
小型のセラミックヒーターを購入する際に、タイマー機能がある方が良いか、無くても良いのか?ということを迷ったことがある。
小型のものなので、多くの製品はタイマー機能が搭載されていないが、同じメーカーのもので1000円程度高いものだとタイマー機能が搭載されていた。
タイマー機能は必要だろうか?と悩むことになった。
広い場所で使用することを想定していない。
このため、必要な時に電源を入れて、不要になったら切ればよい。
転倒時に自動オフや、切り忘れ防止機能があれば、タイマー機能は特に必要ない。
ということから、1000円安い方を選択した。
しかし、購入してからも、どこかで1000円の差ならタイマー機能が付いていた方が良かったのではないだろうか?という思いが残っていた。
どの製品にもタイマー機能が付いてなければ、気にかけずに済んだことが、タイマー付きのものを見つけてしまったことで悩んだり、後悔したりすることになった。
最終的にはタイマー機能は無くても支障はなかったので、悩んだり後悔したことは無駄な時間に終わった。
タイマー付きのものを見つけなければ、改めて考える必要もなかった。
選択肢が多いことで生じた無駄な時間だとも言える。