嫌いなCMランキング
嫌いなCMランキングというのは、テレビ局としては公表しにくいコンテンツだと思う。
それはそうだろう、全て自分達のCM枠でお金を頂いて放送しているものなのに、それに対して、嫌いなCMランキング等というコンテンツを発表することは自分達のCM枠を否定することになる。
このため、テレビでは通常、積極的に調査したり発表することはしないはずだ。
いや、テレビ局に限らず、広告収入を得ているメディアであれば、スポンサー様を否定することになるのでテレビ局と同様な対応を取るはずだ。
しかし、個人の運営サイトだと、そういう忖度の必要がないので、情け容赦ない内容で書かれたランキングが色々ある。
そんなサイトを見ていると必ず上位に登場してくるのが、以下のCM
個人的には、どちらも嫌いではないが、オンデーズに関しては、一時期、これでもかというくらいに頻繁に流れていたので、それが、しつこい!と思った人は少なくないはず。
しつこいと感じてしまうと、CMに出演している方には罪がないのは分かっていても、ついイライラしてしまう。
繰り返しCMを流すのはスポンサーの意向であり出演者には何の罪もない。
気の毒な話だと思う。
しかし、ビズリーチのCMについては、何が嫌われているのか、さっぱり理解できなかった。
そんなに頻繁に流れているわけでもなく、CMの内容もハッキリと覚えていないくらい印象が薄い。
このCMのどこが嫌いなのかを確認してみると、「ビズリーチ」という言葉を連呼しているのが嫌だという声があった。
しかし、そんなに連呼していただろうか?と思うほど、自分の記憶には残っていない。
ビズリーチは、即戦力の優秀な人しかいらないといった感じのことを全面に押し出して活動しているので、ビズリーチ=ハイクラスの求人というイメージは出来上がっている。
しかし、ビズリーチのCMを見ても自分は、そのような印象は受けなかった。
もしかすると、そもそも、ビズリーチという企業が、選ばれた人だけのハイクラス転職というのを前面に押し出している会社なので、印象が悪いのかもしれない。
このため、CMの出來映えではなくて、CMを提供している企業そのものが嫌いだからCMが嫌いという場合もあるだろう。
CMの出演者が嫌い
自分は、顔を見ただけで心がザワザワしてしまうタレントさんがいる。
誰でも、そんな人は1人はいるのではないだろうか?
その方が現在、ある電子コミックのCMに出演されていて、テレビ番組であれば、その方が出る番組は見ないようにすれば済むが、CMだと突然、流れてくるので困ってしまう。
CMに出演されている方の目が特に嫌で、特にこの方が笑っている顔を見ると嫌悪感はピークに達する。
※下図は自分の頭の中での個人的なイメージ
こんな気持ちで見たCMは、どんなに素晴らしい出来栄えであっても、嫌悪感しか感じないだろう。
これを逆に利用している場合もあるのだと思う。
AIDMAモデル
広告宣伝に対する消費者の心理変化を示すプロセスで、AIDMA(アイドマ)モデルというのがある。
広告は、対象の存在を知ってもらう(注意)ことから始まる。
それで興味を持ってもらえれば(関心)欲しいという(欲求)が生じる。
そうすると(記憶)に残り、買うという(行動)に至る。
AIDMAがCMスタイルを変えた
AIDMAモデルは、インターネットが普及する以前のものであり、インターネットが当たり前になった現代では、これが、AISASモデルに変わった。
注意・関心までは同じで、現代は、広告を見たらインターネットで「検索」し、それで欲しいという要求が生じると買うという行動に至る。
それだけでは、終わらず、良い商品やサービスは、消費者がSNSや動画、ブログなどで共有してくれるようになった。
消費者の広告に関する心理プロセスがAISASに変わったことで、CMの作り方が変わった。
CMでは注意・関心までを担当すれば良いので、商品やサービスの説明はCMで行わなくても良くなっている。
どんな手段でもCMで関心を持ってもらえれば、あとは消費者がスマホやパソコンで検索してくれるので、以下に検索プロセスに誘導できるかがポイントになる。
そして、これまでは嫌われるCMを作ってしまうと、嫌だと感じた人は興味を示すこともなく、そこでプロセスは終了してしまった。
嫌いなCMがバズる
しかし、AISASモデルに変わった現代では、買う行動には至らないという点については同じだが、嫌いなCMということをSNSやブログなどで共有しようとする人が出て来る。
するとどうなるか?
嫌いなCMがどんなものか見たくなる人も出て来るはず。
そして、その人にとっては嫌いなCMではないかもしれないので、嫌いなCMだと紹介した人達が意図したのとは逆に、結果的に自分自身で嫌いなCMの宣伝広告を行なうことになる。
このため、AISASモデルの現代であれば、嫌われるタレント等を積極的に採用してCMを作るという手段も成立するのだと思う。
そうすると、テレビ局を始めとしたメディアが嫌いなCMランキングを避けるということも必要なくなるどころか、むしろ製作者側とすれば、どんどん嫌いなCMとして紹介して欲しいと思っているかもしれない。
何とも複雑な時代になったものだ。