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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

「750ライダー」と「タッチ」

750ライダー

自分にとって石井いさみ先生の「750ライダー」は憩いの漫画だった。

もしかすると、このタイトルを読めない人もいるのかもしれない。

「ナナヒャクゴジュウライダー」ではなく、「ナナハンライダー」と読む。

この漫画が描かれていた頃のバイクの最大排気量が750ccだったのだろう。

そして、当時はナナハンに乗れる免許を持っている人が少なかったことからナナハンライダーはバイク乗りにとっては憧れ、ヒーローのような存在だった。

同時に、この頃は、若者がカミナリ族(暴走族の前身)と呼ばれる若者が改造バイクでカミナリのような音を出して走り回っていた。

この漫画の主人公は高校二年生。

高校生がバイクに乗るとカミナリ族という時代背景から、カミナリ族と同じ扱いを受ける場面が目立った。

時には先生に反発したりもするが、芯のある人間で「いい奴」というキャラクター設定だった。

この漫画、自分にとってはバイク漫画というよりは、高校生の日常を描いた漫画として見ていた。

750ライダーとの出会い

読むキッカケになったのは床屋。

店で順番を待っている時間に、棚に置いてあるコミックスを読んでいった。

その中にあったのが「750ライダー」だった。

最初は劇画系の漫画だったが、徐々に軽い感じのタッチに変わっていった。

以下は1巻と47巻の表紙になるが、別の漫画のように変わっている(笑)

1巻の終わり頃から劇画系が穏やかになっていき、2巻からは自分が好きな軽いタッチに変わっていた。

最初は敵対視していた先生や番長が仲間キャラに変わり、親友の順平、委員長、喫茶店のマスターを中心に心地よいストーリーが毎回展開されていった。

繰り返しになるが、とにかく、何とも心地よい漫画だったので、買って読もうと思ったものの、調べてみると全50巻だということを知って嬉しいような嬉しくないような複雑な気分になった。

お盆休みだったと思うが、本屋を2店舗程度回って、一気買いして、その後は、1歩も家から出ないで一気に読み終えた。

読みながら、どこか、あだち充先生の「タッチ」と共通する何かがあるような気がしていた。

特に、木を始めとした植物の描き方、木漏れ日がタッチの絵と似ているように思った。

タッチや750ライダーの風景の描写を見ていると凄く心が落ち着く。

特に夏のシーンは凄く好きだった。

750ライダーとタッチの共通点

心が落ち着くという点で、750ライダー、タッチの風景描写は自分の中で一致していた。

750ライダーとタッチが似ている」と感じた理由が、先日、以下の記事を読んでみて、ようやくわかった。

めぞん一刻』や『美味しんぼ』を手がけた小学館の伝説的漫画編集者・白井勝也氏に、元週刊少年ジャンプ編集長の鳥嶋和彦氏が訊く!──ライバル同士だった二人がいまこそ語る”編集者の役割”

【出典】『めぞん一刻』や『美味しんぼ』を手がけた小学館の伝説的漫画編集者・白井勝也氏に、元週刊少年ジャンプ編集長の鳥嶋和彦氏が訊く!

自分の食のバイブル的存在の、「美味しんぼ」を手掛けた編集者 白井氏と「ドラゴンボール」を連載していた頃の週刊少年ジャンプの編集長だった鳥嶋氏の対談形式の記事だった。

週刊少年ジャンプの鳥嶋氏といえば、Drスランプ に登場していた「Drマシリト」だと直感的に理解できた。

お二人が現役編集者だったころのエピソードなどが話されていて、とても興味深く読むことができた。

マシリトがタッチを絶賛

その中で、あだち充先生のことが書かれてあり、少年ジャンプの編集長だった、鳥嶋氏が「タッチ」を絶賛されていた。

僕がとくに感心したのは、あだちさんの縦位置カットなんですよ。節の葉っぱとか日差しが入って、登校しているシーンを上からの俯瞰で撮って。校門があるから一発で、「学校が始まるよ」ということが分かる。

このたった1コマが「上手いなぁ」って

【出典】『めぞん一刻』や『美味しんぼ』を手がけた小学館の伝説的漫画編集者・白井勝也氏に、元週刊少年ジャンプ編集長の鳥嶋和彦氏が訊く!

そのあと、石井いさみ氏の話になった。

最初、聞いたことある名前だなぁと思っていたが、直ぐに750ライダーの作者だということを思い出した。

しかし、750ライダーは、少年ジャンプでも少年サンデーでもなくて、少年チャンピオンで連載されていた漫画。

どうやら最初はサンデーの主力作家として期待されていた作家で、巨人の星梶原一騎氏やウルトラマン佐々木守氏とも組んでみたそうだが、惨敗でサンデーを去ることになった。

石井先生は劇画調の漫画には向いていなかったようで、少年チャンピオンで劇画調の漫画から脱却したことで、750ライダーがヒットしたということのようだ。

石井先生のアシスタントだった?

更に読み進めると「石井いさみ氏の仕事場で、アシスタント時代のあだち充氏と出会った」という内容が書かれてあった。

正直、「えっ?」って感じで驚いた。

あだち充先生は、石井いさみ先生のアシスタントだった?

調べていくと、750ライダーの画風が変わったのは、なんと、あだち充先生の影響を受けたからだという話さえある。

750ライダー」と「タッチ」が、ここで繋がった。

少年マガジンの内田編集長の講演

白井さんが、当時の少年マガジンの編集長だった内田勝編集長が電通で講演をされて、それを隠れて聞きにいったそうで、その時に、以下のようなことを話されていたとか。

「不易流行」、つまり変わるものと変わらないものがあると。それで、「変わってはいけないものが変わってしまっている時、それが漫画のテーマになるんだ」というわけですよ。 たとえば、父と子はちゃんとしてなくちゃいけないのに、今は父と子の関係がメチャクチャになっていると。そこで『巨人の星』の父と子の関係が出てくる。

それから先生と教え子は常に変わらないでいなきゃいけないのに、教室もメチャメチャ、教師もメチャメチャ。それで『ワル』【※】が生まれた。

【出典】『めぞん一刻』や『美味しんぼ』を手がけた小学館の伝説的漫画編集者・白井勝也氏に、元週刊少年ジャンプ編集長の鳥嶋和彦氏が訊く!

不易流行?初めて聞く言葉だ・・・

調べてみると松尾芭蕉が説いた俳諧の理念だという。

いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。また、新味を求めて変化を重ねていく流行性こそが不易の本質であること。蕉風俳諧しょうふうはいかいの理念の一つ。解釈には諸説ある。

※「不易」はいつまでも変わらないこと。「流行」は時代々々に応じて変化すること。

【出典】不易流行(ふえきりゅうこう)の意味・使い方 - 四字熟語一覧 - goo辞書

変わってはいけないものが変わったら漫画のテーマになる。

変わってはいけないものが変わらないことに誰も興味は示さないが、変わった瞬間、何事だと興味を示す。

閑静な住宅街で、突然、大きな音がしたら何事か?と外に出てしまう。

閑静な住宅街は静かなのが当たり前で、大きな音がした瞬間、変わってはいけないものが変わったことになる。

経験はやはり重要

色々な経験をしてきた人の話というのは、説得力があるので、つい聞き入ってしまう。

今は経験談よりも、xxxに聞いた話とか、yyyで読んだ話という場合が目立つので、どうしてもツッコミどころを探そうとしてしまう。

「タッチ」はあだち先生が、アシスタント時代に、色々な経験をして得られた結果の集大成であり、漫画1コマをとっても、経験などにより考え抜かれた結果になる。

聞いた話、読んだ話は、自分の身にはついておらず、経験することで自分の身についていく。

そう考えると、時間の無駄だとか、効率が悪いといって、経験の手間は惜しむことは、大きな財産を渡されているのに、「いらない」といって受け取るのを断るようなものだ。

それどころか、苦労は買ってでもしろという言葉もある。

経験するということは、それくらい重要なことになる。

750ライダーとタッチが繋がっていたとは夢にも思わなかったので、衝撃的だった。