受刑者には選挙権が認められていない
男性受刑者が、服役中に「国政選挙の選挙権を認められないのは違法だ」として、次回の選挙で投票できる地位の確認と、3万円の損害賠償を国に求め提訴した。
東京地裁に訴えを起こしたのは、詐欺事件で有罪判決を受け、長野刑務所に服役している36歳の男性受刑者。
ベースとなっているのは、以下の判例になる。
2013年9月27日に、禁錮刑以上の受刑者に選挙権を認めない公職選挙法の規定は憲法違反だとして、大阪市西成区の元受刑者の男性(69)が、国に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、大阪高裁(小島浩裁判長)は27日、「受刑者の選挙権を一律に制限するやむを得ない事由はなく違憲だ」との判断を示した。
しかし請求自体は棄却している。
また、同年12月9日、東京高裁は上記とは異なる判決を下している。
受刑者の選挙権を認めない公職選挙法の規定は憲法違反だとして、東京の弁護士が7月参院選の比例代表選挙の無効を求めた訴訟の判決で、東京高裁(加藤新太郎裁判長)は9日、「規定は憲法に違反しない」との判断を示し、原告側の請求を棄却した。別の訴訟では大阪高裁が9月に憲法違反との判決を言い渡しており、判断が分かれる形になった。
判決理由で、加藤裁判長は「公選法の規定は有罪判決で禁錮以上の刑を科せられた者への制裁の一つで、合理的な理由がある。国会の裁量の範囲は逸脱していない」と述べた。
大阪高裁と東京高裁で異なる判決となっているが請求は棄却されている。
このため、2022年8月2日現在、公職選挙法は改正されていない。
つまり、現時点では違憲ではないことになる。
説得力がない
この記事を読んで最初に感じたのは、法に従わなかった人に違憲だとか違法だとか言われても説得力がない。
まずは法に反した自分の罪を償い反省しろよってこと。
禁錮以上の者は選挙権を有しないことは、公職選挙法の「選挙権及び被選挙権を有しない者」の項で以下のように定められている。
第十一条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
一 削除
二 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
三 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
四 公職にある間に犯した刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十七条から第百九十七条の四までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成十二年法律第百三十号)第一条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から五年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者
五 法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者
本気なのか?
まず、訴えた受刑者は本気で選挙で投票したかったのだろうか?
そんなに投票したかったのであれば、なぜ、法に反するようなことをしたのだろうか?
自分の非を棚に上げて、腹癒せで、訴えただけにしか感じられない。
法に触れることをしなければ、選挙権はあって、没収されずに済んだ。
しかし、法に触れるようなことをしてしまったので、没収した。
これも刑罰の一つだと考えれば、当然のことではないだろうか?
確かに日本国憲法では、成年者による普通選挙を保障すると定められている。
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
公務員を選ぶことは国民固有の権利であり、保障するとも定められている。
しかし、以下の内容が先に定められている。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
努力はしていたのか?
今回、訴えたという受刑者は、不断の努力をしていたのか?努力もせずに、権利の濫用を行使しているだけではないのか?公共の福祉を逸脱して自分だけのことを考えた主張ではないのか?
どうしても、本心だとは思えない。
悪いことをして受刑者となったのだから権利を放棄したとみなされても仕方ないはずだ。
本気で選挙で投票したかったのであれば、罪を犯すことより投票を優先していたはず。このため自分には、どうしても本気で選挙権を要求しているようには感じられない。