健康で文化的な最低限度の生活は?
「事件を起こして刑務所に戻りたかった」
「自分の人生に嫌気がさした」
2022年6月21日に埼玉県川越市のインターネットカフェで22歳女性従業員を人質にして立てこもり、ケガをさせた42歳男性の言葉だ。
事件当日、数十円程度の現金しか所持していなかったという。
子供の頃、刑務所といえば、怖いところであり、悪いことをしたら刑務所の牢屋に入れられる。
そんな怖いところには行きたくないというのが当たり前だった。
しかし、最近、事件を起こした犯人が犯行後に「刑務所に戻りたかった」という供述を目にする。
悪いことをしたら刑務所で辛い生活を行って罪を償うはずが、今の日本は刑務所を出た方が辛い生活な場合もあるので、刑務所の方が良いということだと思う。
それほど、今の日本は日本国憲法第二十五条で定められている「健康で文化的な最低限度の生活」が送れていない人が増えているのだと思う。
労働力人口100人に約3人は失業者
労働力調査 (基本集計)2022年(令和4年)4月分によれば、完全失業率は2.5%
完全失業率は以下の計算式になる。
完全失業者とは、以下の3つの条件全てに該当する者を指す
- 仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)
- 仕事があればすぐ就くことができる
- 調査週間中に,仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)
労働力人口とは、以下になる。
- 15歳以上の人口のうち,「就業者」と「完全失業者」を合わせたもの
完全失業者の数は188万人(男性:114万人、女性:84万人)になる。
このうち、自発的な離職者(自己都合)は75万人もいる。
なぜ、辞めるのか?
個人的に、この75万人に今の日本が現れているのではないかと考えている。
収入がなければ生活できない。
収入を得るために多くの人は職に就くことになる。
つまり、多くの人にとって職に就かなければ生活ができないということだ。
その職を75万人の人が自発的に離れている。
次の職が決まっているなら良いが75万人は完全失業者なので、職のあてもなく離職したことになる。
どういうつもりなんだ?と問い質したくなる。
職場で嫌な上司にパワハラを受けて、耐えられずに辞めるしかなかった。
残業や休日出勤が多くて、肉体的にも精神的にも疲労困憊になり、これ以上続ければ身体を壊してしまうと考えて辞めるしかなかった。
中には、仕事がつまらないから辞めたとか、職場が好きになれないといった理由もあるのかもしれない。
非正規雇用が多い
役員を除く雇用者の数は5721万人。
このうち、正規雇用は、3651万人、非正規雇用は、2070万人。
雇用者の内、約36%が非正規雇用というのが日本の現状になる。
【出典】https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf
同じ仕事をしているのに、非正規雇用だというだけで賃金が違う。
社食を利用した時の金額だって正社員の方が安い。
40歳後半を過ぎたら、もういらないという年齢格差、男女間の賃金格差・・・
世の中は差別が問題視されているが、現実は、色んな差別が当たり前のように行われている。
そして、なぜかパワハラなどの嫌がらせをする人が上司や先輩にいたりする。
職場での毎日の嫌がらせより、刑務所の方が楽だった・・・
刑務所より辛い娑婆
社会は、刑務所より辛い場所が増えているのかもしれない。
家庭では、夫によるDVが行われたり、仕事を優先して家のことを考えない父親、介護に苦労する人など、問題は山積み。
職場より刑務所が良い、家庭より刑務所が良い、そうすると、娑婆より刑務所が良いということになってしまう。
娑婆より刑務所の方が良いなんて人がいなくなるようにしないといけない。
それは、国が地方自治体がということではなく、全員がそう思わないと実現しない。
いくら国や地方自治体が法律や条例を作っても、実際に行う国民、県民、市民・・・全員が頑張らないと、「刑務所に戻りたい」という人はいなくならない。