日本の所得分布
国民生活基礎調査の概況を見ていて思ったのが日本の所得分布って正規分布になっていないんですね。
正規分布というのは統計学のおける確率分布で平均値となる確率が一番高く、平均値から離れるほど、確率が低くなるというものです。
下図は、平均値が0、標準偏差が1となる標準正規分布で作成しました。
平均所得は、551万6千円で、中央値が423万円ということなので、約4割を占める、平均値以上の高所得者により平均所得が高くなっていることになります。
正規分布であれば、平均値以下となる確率は50%ですが、日本では60%以上の人が平均値以下の所得なんです。
そして、生活意識の比率では、苦しいという回答が57.7%なので、平均値以下だと生活意識は苦しくなるということも言えます。
日本で1000万円の所得を超える人はどれくらいいるのか?
所得が1000万円を超える人の割合は12.2%なので、日本で1000万円を超える所得を得ようとするのであれば、上位10%、つまり日本の人口を1.3億人とすれば、上位1300万人の中に入らないといけないということになります。
では、給与所得者で1000万円を超える人はどれくらいいるのでしょうか?
たったの5%です。
これが、2000万円を超えるとなると更に少なくなり、0.6%しかいません。
どの業種の給与が高いか?
次に業種別の給与所得者の平均を見てみます。
【出典】民間給与実態統計調査 平成30年
電気・ガス・熱供給・水道業の平均給与が最も高く759万円です。
宿泊業・飲食サービス業は最も低く、251万円です。
そして、給与所得者の平均給与は441万円です。
平均所得額である551万6千円を超えている職種は、他には金融業・保険業と情報通信業だけしかありません。
もう1つグラフを見てみます。
下図は、業種別+給所階級別の構成割合です。
驚いたことに、電気・ガス・熱供給・水道業では800万円を超える人の割合が40%以上もいます。
平均給与が高い職種
・電気・ガス・熱供給・水道業:800 万円超が40.6%
・金融業,保険業:800 万円超が25.0%
・情報通信業:800万円超が20.9%
平均給与が低い職種
・宿泊業,飲食サービス業:100 万円以下 27.0%
【出典】民間給与実態統計調査 平成30年
日本では、この3つの職種以外に就職すると日本の平均所得以下になる確率が非常に高くなるということです。
1000万円を超える所得を得たいのであれば給与所得者を目指したのでは5%の確率しかありませんし、2000万円を超えようとすれば、0.6%ですから、給与所得者の100人に1人もいないことになります。
公務員の収入は?
では、公務員はどうでしょうか?
なぜか、民間とは異なり年収としては公開されておらず計算しないといけないようになっています。
以下のサイトで平成29年のデータで計算された結果がありましたので、こちらを利用させてもらいます。
公務員の平均年収
公務員はどれくらいでしょうか。
平均年収をみると、国家公務員は667万円、地方公務員は663万円となっています。
どちらも、660万円を超えています。
しかも、公務員の平均年収には民間企業でいうところの残業分が含まれていません。しかし、民間給与実態統計調査の結果は残業代も含まれていますので、実際には公務員の平均年収は700万円を超えているはずです。
そう考えると、民間での給与所得者の平均年収441万円を、はるかに上で、日本の平均所得である551万6千円を最低でも150万円以上高い金額になっているはずです。
税金を払っている方より税金を使う方が高い所得だということで2005年頃に問題になり一律5%程度引き下げるとか言ってましたが、官民格差は広がる一方です。
多くの給与所得者は生活が苦しい
日本の多くの給与所得者が稼いだ所得は公務員の高い給与や、電気・ガス・水道・情報通信・金融業へ流れていき、自分たちは生活が苦しいというのが実情のようです。
今の日本は、1000万円を超える所得者である10%の人達のために90%の人が働いているような気がしてきました。
平均給与所得だけを見れば、公務員になるのが、多くの人が、もっとも高い所得が得られる選択肢だということがわかりました。
公務員が無理なら、電気ガス水道業、金融業、情報通信業の3つの民間企業に就職する。
宿泊業,飲食サービス業の道を選べば、賃金格差の壁が待ち受けています。
電子立国から観光立国へ方向転換しようとした日本ですが、この賃金格差を考えれば宿泊業・飲食サービス業を選んでも生活が苦しくなるだけです。
コロナ渦で宿泊・飲食サービス業には色々と要請が来て更に収入は減っているはずです。
利用される側から利用する側へ
企業では赤字の場合には法人税は発生しませんが、個人の場合は、借金をしないと生活できないような場合でも所得税はしっかりと徴収されます。
しかし、嘆いてるだけでは、何も変わりません。
利用されるのではなく、利用できるものは利用しないといけません。
今、政府は働き方改革の一環で副業を推進しているので、どんな企業でも認められるようになった時のために、副業の準備を進めるということです。
現状、副業を禁止している企業は8割を超えると言われていますが、労働時間以外の時間を労働者がどのように使おうが企業に制限する権利はないので、今後、法改正が進めば副業は認められるようになるはずです。
また、副業と言っても、フリーランス・独立・起業といったものでないと、別の企業で雇われての仕事となると労働時間の制限が生じてきます。
このため、副業は個人事業主として行うというのが前提になります。
そして副業を選ぶときには「好きなこと、得意なこと」というのがポイントになると思います。
語学が得意な人であれば、翻訳、絵を描くのが好きな人であればイラスト系、写真を撮るのが好きな人であれば、写真、文章を書くのが好きであればWEBライター、小説といった感じです。更に得意分野がある方なら、Youtubeでのチャンネル開設、ブログの開設を行っての広告収入も期待できます。
今は、インターネットを利用したものが多くなっていますので、パソコン、インターネットの知識というのは必要になるので、何をするにも最低限、取得しておく必要があると思います。
何事も準備しておくことが大切です。
準備は何かが起きたときのための保険のようなものだと思います。
収入に不安を感じ、おうち時間が増えたけど、何をしようかな?と考えているのであれば、迷うことなく副業の準備を進めるべきです。
今後、会社は定年後の再雇用どころか、定年まで働くことを許さないようになっていくはずです。
副業の準備を進めておくことで、再就職の際に自分のセールスポイントにもなります。
これからは、考え方を変えていかないと利用されるだけ利用されてポイ捨てされることになります。
自己防衛の意味でも副業の準備は大切だと思います。