緊急事態宣言でも開催可能?
日本では、IOCのコーツ副会長が、緊急事態宣言の中でも東京オリンピック開催は可能だと発言したことで、反発が起きている。
この発言は一国が発した緊急事態宣言を一団体が完全に無視したことになる。
日本はIOCという一団体からでさえ、軽視されているということだ。
それでも、日本政府はIOCに弱みでも握られているかのように沈黙している。
国民の安全が第一と言っている菅総理の言葉とは裏腹に、世界中から選手、関係者だけではなく、各国からの要人、マスコミも来日することになる。
イギリスの変異株が広がったのはイギリス人記者が原因?
イギリス変異株が日本で拡大したのは、ロイター社の東京支局に勤務する外国人記者が2020年12月中旬にイギリスに一時帰国し12月22日に日本に戻り、空港でPCR検査を受けたときには陰性だったが、コロナの潜伏期間は最大で14日間ということで入国日の翌日から14日間の自宅での健康観察を要請していた。
しかし、外国人記者は健康観察の要請には応じず、12月25日に都内で開催されたパーティーに参加している。
しかし外国人記者はその後、新型コロナが発症した。
そしてパーティ参加者にも感染したことで日本中に拡大したとみられている。
外国人記者でさえコントロールできない日本
この事例から一記者でさえ日本の要請に応じていないことになる。
そして、その結果、感染を拡大させても何のお咎めもない。
このような事例があるにも関わらず東京オリンピックでもスムーズな運営を優先して外国人選手等に対してはPCR検査だけで2週間の待機はさせないという。
日本勤務の外国人記者1人でさえ、コントロールできない状態で何万人もの外国人をどうやってコントロールするというのだろうか?
本当に国民の安全が第一なのか?
人の流れを抑えないといけないと緊急事態宣言を発令し、色々な店舗に休業要請や営業時間の短縮を要請している。
通勤でさえ控えてほしいとテレワークを推奨している。
にも拘らず、世界中から来る何万人もの人の流れを作ろうとしているのだ。
こんな状態で「国民の安全が第一」の対応とは、とても感じられない。
日本が、この期に及んでオリンピック開催を中止できないのはIOCとの契約書のためで、契約書では日本が中止にすることはできないと書かれている。
このため、違約金についての記述はないがIOCに生じた損害は東京都、JOCが保証する契約になっている。
これで、中止になれば放映料は返却しないといけないが、IOCが返却するのではなく日本側が返却しないといけない。
IOCに一方的な契約書であることは、わかっていてもオリンピック招致のためには受け入れるしかない。
これまでは、このような契約でもオリンピック中止などという事態が、なかったので問題にならなかったが今は違う。
オリンピック開催はこれまで大きな経済効果を生み出してくれるということで、どこの都市でも誘致に必死だった。
オリンピック誘致に手をあげる国が年々減っている
しかし、誘致に手をあげる国は以下のように年々減っている。
- 2004年アテネ大会(11カ国)
- 2008年北京大会(10カ国)
- 2012年ロンドン大会 (9カ国)
- 2016年リオデジャネイロ大会(7カ国)
- 2020年東京大会(5カ国)
- 2024年パリ大会(2カ国)
2024年パリ大会の誘致に手を上げたのは、たった2カ国だけだ。
なぜ、減っているのか?
オリンピックを開催する費用が年々増大している。
オリンピックの運営だけではなく、開催都市の環境まで評価されるためインフラ整備、テロ対策と競技には直接関係しない費用まで負担しないといけない。
更に開催国とすれば前回を超えるオリンピックを目指したくなる。
ここでも、費用がかかるので財源の確保が難しくなる。
それでも日本が誘致したのは32兆円の経済効果を見込んだためだが、いくら経済効果が見込めても財源がなければ誘致はできない。
このような背景からオリンピックを誘致する都市が年々、減っている。
東京オリンピックの開催費用は2倍以上
東京オリンピックに関しても開催費用は、既に当初予算の7300億円を遥かに超える1兆6440億円にまで膨らんでいる。
コンパクトなオリンピック開催というのはどこに消えてしまったのだろうか?
この内、延期費用で約3000億円、コロナ対策費用で約1000億円が新たに追加されている。
コロナ対策費用等一部の費用に関しては国も負担している。
この費用の中には大会期間中に来日するIOCや各競技団体幹部が宿泊するホテルの費用も含まれている。
IOC側が負担する宿泊費の上限は400ドル(約4.3万円)となっているが、実際はオークラ、ANAインターコンチ、プリンスパークタワー、グランハイアットといった高級ホテルを感染対策という名目で全室貸し切ることになっている。
全室ということは当然スイートルームも含まれているので、オークラの300万円のスイートでもIOCは400ドルしか負担しないことになる。
金(かね)しか見えないオリンピック
オリンピック開催からは金という言葉ばかり出てくる。
こんな金まみれのスポーツが平和の祭典と言えるのだろうか?
こんな平和の祭典なら世界的に参加するべきではないと思うが、オリンピックがなくなればアマチュアスポーツへの影響が懸念される。
IOCに入ってくる金は全てが私利私欲に使われているわけではなく、90%は世界のアスリートの強化費用として使われていることになっている。JOCも当然、強化費用として受け取り年間112億円をアスリート強化に使っている。
アマチュアスポーツだからお金がいらないというわけではない。
移動するにも宿泊するにも金がかかる。
この金を出してくれる人がいなければ、スポーツはできない。
今回、IOCが手に入れた金は世界の強化選手のために使われるのだろう。
しかし、世界には、生活に困っている人もいる。
日本も例外ではない。
なぜ日本だけが責任を負わないといけないのか?
IOCは日本にだけ責任を負わせようとしているが、新型コロナが世界中に蔓延している中、なぜ日本だけが責任を負う必要があるのだろうか?
只でさえオリンピック誘致は金がかかるというのに、オリンピックが開催できないようなことになれば、期待していた経済効果はなく、莫大な金だけが出て行くことになる。
このまま、日本だけが責任を負うことになれば、今後、日本もオリンピック誘致には手をあげなくなるだろう。
そして、その事実を知った国々もリスクが大きすぎると更にオリンピック誘致には消極的になるはずだ。
今後のオリンピック開催地は?
今後の開催地は以下のようになっている。
- 2022年 北京
- 2026年 ミラノ・コルティナ
- 2030年 札幌?バルセロナ?
2032年までは、招致に手を上げている都市はあるが、それ以降どうなるのだろうか?
いや2030年に立候補している札幌は今回の件で断念する可能性が高いと思う。
今回の件でオリンピックがこんなにも一方的な契約で、開催地に責任を全て押し付けるという内容だということが周知されたので、オリンピックに反対する国民は増えるはずだ。
日本に限らず、他国でも同じことが言えるので、20年後にはオリンピックという言葉は歴史用語になってしまう可能性さえ出てきたような気がする。