マスク着用義務を解除、営業も全面再開?
米国のテキサス州でマスク着用義務を解除し営業も全面再開するという発表を知事が行ったという記事を見つけた。
テキサス州の感染者数は減っているのかと確認してみると・・・
感染者数の合計は260万人、3月3日の新規感染者数が、 7,593人、2週間で+ 6%の増加。
死亡者数合計は、44,627人、 3月3日の新規死亡者は274人
【出典】Texas Coronavirus Map and Case Count - The New York Times
これは、どういうことなのでしょうか?
知事の見解は、以下のような感じです。
商工会議所での演説での内容なので、経済に関わる内容に重点を置いたということなのでしょうが、3月3日時点の感染者数、死亡者数を見る限り、「今、はるかに良い状態にある」とは思えません。
4日間で47万円の電気料金
テキサス州では、もう一つ、気になることがあります。
それは、テキサス州の電気料金です。
テキサス州は、電力市場が自由化されています。
停電などで電力供給量が減ると卸電力価格が高騰します。
2021年2月中旬に米国を襲った寒波は、テキサス州を中心に停電を引き起こし、同州では400万以上の家庭が停電することになりましたが、その時に、卸電力価格連動型電気料金制度を選択していると1週間の電気料金が100万円になることもあったというのです。
【出典】なぜテキサス州の家庭では1週間の電気料金が100万円になるのか? テキサス州の電力自由化市場の問題を考える WEDGE Infinity(ウェッジ)
なぜ、1週間で電気料金が100万円になってしまったのでしょうか?
米国カリフォルニア州では、電力自由化により2000年から2001年にかけ、輪番停電を実施するほど電力供給が不足することになりました。その結果、卸電力価格が高騰しています。
電力供給が不足した最大の理由は、新規参入した発電事業者の中に卸価格高騰を狙って一部の発電設備を意図的に停止する企業が存在したためです。
それを裏付ける証拠が、発電事業者として売上高全米7位(2011年時点)の巨大エネルギー企業エンロンが、2011年12月粉飾決算により倒産した際に出てきました。
倒産後、社内の会話を録音したテープが大量に見つかったのです。
その中にカリフォルニア州の卸電力価格高騰を狙って発電所を意図的に停止させるという、本社と発電所間の会話の録音が残っていました。
ノーベル経済学賞のポール・クルーグマン・ニューヨーク市立大学大学院教授は、「自由化してはいけないものは3つ。教育と医療と電気」とニューヨークタイムズ紙のコラムに書いています。
にも拘らず、テキサス州は、カリフォルニア州が輪番停電を経験した直後の2002年1月から電力市場の自由化を開始しています。
更にテキサス州だけは、米国連邦政府のエネルギー規制委員会(FERC)の監督下に置かれていません。
このため、FERCの制度を離れていて、FERCでは上限価格は1KW/h当たり2ドルとしていますが、テキサス州での上限価格は9ドルです。
日本の感覚だと、ざっくり、1KW/h 20円って感覚なので、2ドル(約208円)でも高いと感じました。
寒波が襲来した4日間で仮に500KW/h使用した場合、9×500=4500ドル。
日本円にすると約47万円です。
電気料が4日間で47万円なんてあり得ません。
テキサス州では、このような価格を容認しているのです。
しかも、電力不足とならないような工夫も行っていないのです。
電力が自由化されると、収益を生まない設備は老朽化すれば、そのまま更新されることなく電力が停止してしまいます。
この問題を解決する案として容量市場があります。
設備を維持し、必ず電力を供給することを約束する見返りとして、設備量に応じた一定額を支払われるようにするのです。
また、電力需要量が急増した時に備えて予備力を用意するという方法もあります。
例えば、老朽化した石炭火力発電所を廃止させず、休止の形で維持しておき、電力供給が不足すると稼働できるようにするのです。
しかし、テキサス州では、このような対策が一切、用意されていなかったのです。
郵便投票の回収所を制限
昨年の大統領選挙の際に、アボット知事は「違法投票」の脅威を理由に郵便投票の用紙を回収する場所を大幅に削減しています。
- アボット知事は声明で「違法投票」の脅威を理由に、郵便投票の投票用紙を回収する場所を大幅に削減する正当性を主張している。
- アボット知事は郵便投票の投票用紙を回収する場所を各郡1カ所に限定するとしており、新型コロナウイルスのパンデミックの中、広範囲に居住する数百万人の有権者が同じ回収場所を利用せざるを得ない状況だ。
- アボット知事は、郵便投票の回収場所を減らすことで、セキュリティを強化できると述べている。だが、テキサス州に本拠を置く非営利団体OSET研究所(OSET Institute)の選挙管理専門家であるエディ・ペレスによると、郵便投票に関してはすでに不正を防止するための厳格なルールが存在するという。
トランプ氏が劣勢だったのが、郵便投票で「違法投票」があったと騒いでいましたが、アボット知事はトランプ氏と同じ共和党に所属しています。
このため、アボット知事の言動は、どうしてもトランプ氏と重なってしまいます。
郵便投票の件で訴訟を起こしましたが、テキサス州の最高裁では、郵便投票の回収所を制限した知事命令は有効と判断したのです。
ちなみに、決定を下した3人の判事はアボット知事と同じで、全員が共和党員です。
選挙だけではなく裁判でも利権が大きく影響する米国の体質には正直呆れてしまいますが、日本は米国のポチなので同じ道を歩んでいます。
怖いのは、これが正しいと考える米国人が多いことなんです。
トランプ氏のやり方というのは、僕には受け入れられませんが、トランプ氏を支持する人は何故か多いんです。
アボット知事も支持する人が多いので知事をやってるのですから、一番怖いのはトランプ氏やアボット知事を支持する人達です。
支持する人が多ければ、間違った選択であっても正しいと感じてしまいます。
このようなことが続けば、感覚が麻痺してしまってアボット知事のように、おかしな選択を連発してしまうのではないかと思います。