爪切り
爪切りといえば、高くても3000円程度。
コンビニなら500円くらいで買えるもの。
そんな中、8000円以上もする爪切りをご存じだろうか?
下の写真は、爪切りが見つからないので、ニッパーで爪を切っているわけではない。
これが、8000円以上する爪切りになる。
刃は爪の形に添うようにカーブした曲がり刃で、しかも閉じた時に刃と刃がピッタリと重なり隙間がないので継ぎ目が見えない。
これで爪を切ればヤスリがけが不要なほど切った断面が滑らかになる。
そんな爪切りを作っているのが諏訪田製作所。
諏訪田製作所は噛切鍛冶
どんな会社なのか?
金属加工業の中でも鍛冶屋というカテゴリーで、その中でも刃物鍛冶で、更にその中でも鋏鍛冶になり、その中の、喰切(くいきり)鍛冶になる。
喰切というのは、両側の刃がぴったりと合わさって対象を切るもので、ニッパーのような形状で釘の頭を切るためのものになる。
一般的に鋏というのは、刃はついているが大したものはついてない。
鋏というのは、2枚の刃が、真っすぐに切るものに線で当たるのではなく、刃と刃がクロスした点で当たる。
クロスして当たった点がずっと先に擦れていって切れる。
点で切るため、点を超える厚さのものを切るのに鋏は適さない。
コピー用紙1枚、2枚はシャキッと切れても、10枚になってくるとシャキッとは切れない経験があるのではないだろうか?
このため、厚いものを切るためには点ではなく線で切らなくてはいけない。
そうすると、刃はナイフに近い作り方をしないといけなくなる。
2本のナイフの刃が線で当たって切れるようにすることで厚いものも切れるようになる。
そんな考え方で作られたものが喰切なので釘の頭でも切ることができてしまう。
釘の頭が切れるのであれば爪を切ることなんて造作もないことだ。
本質が重要
諏訪田製作所の社長は、刃物というのは、飾りではないので本質が重要だという。
では、刃物についての本質は何かといえば、「切れる」こと。
そうすると「切れるようにするため」にというところから、どういう材料で、どういう作り方で、どういうデザインで・・・といったことを考えていく。
本質を大切にすることで自ずと形が決まってくるので、自然と美しさに繋がる。
「Form follows function」という有名な言葉がある。
Form = 形 follows = ついてくる function =機能。
形態は機能に準ずるという意味になる。
デザインにおける美しさは機能に従属するという考え方が今は去れていないことが多い。
作る側の都合、見た目だけの美しさ、そんなことを優先するので本質が疎かになってしまう。
iPhoneが世界的大ヒットに繋がったのは本質に基づき作られたものだったからだ。
道具は使えなければ意味がない。
そんな簡単なことを見失っている作り手が多いのはとても残念だ。
そんな中で、本質を重視したモノづくりに徹している諏訪田製作所の爪切りは、30の工程を経て何人もの職人の手により丁寧に作られる。
それはまるで、爪切りに命を吹き込んでいるような作業になる。
そんな爪切りだから、スタンダードのSUWADA CLASSIC Sサイズで税込6,930円、Lサイズで7,150円
※2023年4月1日からは価格改定され一律税込8,530円
これを高いと考えるか、安いと考えるのか?
是非、一度、使ってみて判断してみては?と言いたいところだが、丁寧に作っているために、どうしても作るのに時間がかかる。
このため、現在、品薄状態で、Amazonに出品されているものは定価よりも3000円程度、高い価格になっている。
そんなことから、今、買うと必要以上に高くなってしまうので、お勧めはできないので、落ち着くのを待った方が良さそうだ。