大丈夫ですとは?
何かを断る時に「大丈夫です」という言葉を使うのは、おかしいという人がいる。
大丈夫を、そのおかしい意味で、積極的に使っている自分としては、そう言われると耳が痛い(笑)
ということで、「大丈夫」について改めて考えてみることにした。
大丈夫という文字をじっくりと見てみると「丈夫」の頭に「大」が追加されている。
丈夫という言葉の意味は、元気、健康、壊れないといった感じだろうか?
国語辞典で調べてみると以下のように書かれている。
じょう ぶ[丈夫]
①からだが しっかりしていて、病気にならないようす。達者。
「━で病気一つしたことがない」
②こわれたり くずれたりしないようす。
「━な箱・━な ひも」
派生丈夫さ。【出典】三省堂国語辞典第七版
そうすると、「大」がついた「丈夫」は、凄く丈夫という意味になる。
レジ袋、どうしますか?と聞かれて「大丈夫です」と答えるのは、「凄く丈夫です」と答えているようなものになる。
更には、時間は大丈夫ですか?と聞くのも、時間は凄く丈夫ですか?と聞いているようなもの。
三省堂国語辞典
ところが、最近は、いいですよ、不要ですよという意味で使用する「大丈夫」が認知されてきたのか、国語辞典にも掲載されるようになっていることを調べているうちに偶然、知った。
その国語辞典とは、「三省堂国語辞典」
通称、「三国(サンコク)」
リアルな言語生活を客観的に捉え、新語・新語義を積極的に採録している辞書になる。
もしかすると、三省堂 現代新国語辞典 という名前の辞書なら高校時代に先生に勧められて購入したことがあるという人も多いのではないだろうか?
三省堂国語辞典が、リアルな生活に密着した内容であるのに対して、現代新国語辞典の方は高校の教科書に密着した、国語現代文、地理・歴史・公民の入試問題の調査により大型辞書にも載っていないような言葉・語義まで採録された辞書になる。
その、三省堂国語辞典第七版では、「大丈夫」について以下のように書かれている。
だい じょうぶ[大丈夫]
①病気や けが、損害などが(深刻で)ないようす。無事。
「頭の けがは━ですか」
②不安や心配がないようす。問題が起こりそうでないようす。
「天気は━かな・君なら、どこを受験しても━だ」
③〔俗〕よろしい。けっこう。
「おさらをお下げしても━ですか・『レジぶくろは━〔=ご不要〕ですか』『はい、━です〔=いりません〕』」
二
(副)〔古風〕きっと。まちがいなく。
「汽車は、━来るんでしょうね?」【出典】三省堂国語辞典第七版
(俗)と記載した上で、「よろしい。けっこう。」と書くだけでなく、使用する場面を想定した例も記載されている。
肯定的な「お断り」の言葉
国語辞典に記載されたということは「大丈夫」が、お断りの場面でも使用することが社会的に「認知」されたとも受け取れる。
そして、それは、お断りの言葉として他に適切な言葉がない場面があることを意味していると思う。
自分が、「大丈夫」という言葉を「お断り」の場面で積極的に使用する理由が、まさに適切な言葉が見当たらない場面があるからだ。
辞書の例にも書かれているが、「コンビニでレジ袋は必要ですか?」問われた時に、何と答えるのが適切なのだろうか?
断る言葉というのは、どうしても否定的になってしまう。
- 不要です。
- 欠航です。
- いりません。
自分が店員さんの立場で、こんな風に言われたいと思うだろうか?
何とか、肯定的な言葉で、断ることができないか?と考えた末に出てきたのが、「大丈夫です」という言葉。
これなら、相手を傷つけることなく、断れるのではないだろうか?
レジ袋は、用意して頂かなくても大丈夫ですよ。という気持ちからの「大丈夫」になるので、意味も十分、通じるはず。
何かを確認されて、「大丈夫」ですという言葉は、断る時まで相手の気持ちを察したもので、実に日本人らしい気配りがされた実に美しい言葉だと思う。