2022年4月26日の新聞を見ると「PFU」をリコーに売却の記事が1面に掲載されていた。
しかし、PFUの親会社である富士通のホームページを確認すると・・・
富士通が発表したものではないと書かれている。
当社および当社子会社に関する一部報道について
日本経済新聞などにおいて、当社が当社子会社である株式会社 PFU の株式を売却する旨の報道がなされておりますが、これは当社の発表に基づくものではありません。
当社が、本件に関して検討していることは事実ですが、現時点で当社として決定した事実はございません。
今後開示すべき事実が発生した場合には、速やかに公表いたします。
もう一社のリコーのホームページを見ても、どうように以下のような内容が掲載されていた。
日本経済新聞などの報道機関において、当社による株式会社PFUの株式取得に関する報道がなされておりますが、これは当社から発表したものではありません。当社は本件について検討を行っていますが、現時点で決定した事実はございません。今後開示すべき事実を決定した場合には、速やかに公表いたします。
と、ここまで記事を書いていると、2日後の2022年4月28日に売却すると正式発表された。
当社は、本日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社PFU(以下、PFU)の株式を、株式会社リコー(以下、リコー)に譲渡することを決議し、株式譲渡契約を締結いたしました。
今後、2022年7月1日を目途に株式の譲渡を目指し、2023年3月期において本株式譲渡に伴う譲渡益の計上が見込まれますので、下記の通りお知らせいたします。
発表された内容を確認すると、報道された内容と一致していた。
「純粋経験」の街にあるPFU
PFUと言えば、宇野気(石川県かほく市)に本社がある石川県の企業になる。
宇野気というのは、金沢駅から能登の方(北側)に向かった20Kmの位置にある。
哲学者の西田幾多郎氏の出身地であり、日本で最初の哲学書と言われている「善の研究」の著者になる。
自分の主観と客観がわかれる前の「純粋経験」
コップに入った水は、既に知っている情報に基づき「水」だと認識することができている。
しかし、池で不意に「ポチャッ」とした水音を耳にすると、何が起こったのか、がわからず、考える余裕さえない。
この時の経験こそが純粋経験であり、そこから「道徳」「宗教」、人生の全てを考え直してみようとした試みが、「善の研究」になる。
「純粋経験」の街にあるPFUの主力商品はスキャナーと高級キーボードのHHKB(Happy Hacking Keyboardの略)
スキャナーに関しては、あえて説明するまでもないが、複合機等に搭載されている。
まだ、電子書籍が十分に普及していなかった頃、「自炊」と呼ばれていた、紙の書籍をスキャナーで読み込んで電子書籍にするということが流行っていた。
自炊を代行する業者まで現れたがこれは、書籍の「複製行為」に該当すると判断され、違法行為になる。
スキャナーの技術は、単に紙の情報を画像として電子化するだけではなく、手書き文字をデジタル化する技術、QRやバーコードと言った情報を読み取る技術も含まれる。
ICタグがかなり普及してきてはいるが、それでもコスト的には安価になるQRコード、バーコードの方が圧倒的に多く利用されているので、まだまだ、ロジスティクスの分野では必要なものになる。
HHKBは3.5万円もするようなキーボードで、何が凄いのか?というと、「打鍵感」だという。
自分は、使用したことはないし、3.5万円もするような高いキーボードを使いたいとも正直思っていない。
しかし、キーボード入力が仕事の一部になっている人にとっては、指を長時間動かし続けることになるので、打鍵感というのは重要になる。
HHKBは、静電容量無接点方式になる。
通常のキーボードはメカニカルキー(有接点方式)なので、キーボードを押さないと押したと認識してくれない。
しかし、静電容量無接点方式の場合は、触れるだけで認識してくれる。
キーボードの押し過ぎで、腱鞘炎になってしまっているような人の場合、高くても押さなくても良いキーボードに魅力を感じるのは当然だと思う。
自分も腱鞘炎になった経験があるが、常に筋肉が引っ張られているような感じで、指を伸ばすのが凄く辛い。
海外出張に行った時に、視察がメインだったので、パソコンを操作することがなく、打ち合わせと食事だけの3日間だったので、キーボードをこの間全く使わなかった。それだけで、日本に帰ってきてキーボードを入力すると異常に軽く感じた。
この時に、指を休ませることは必要だということを強く感じた。
PFUは名前が3回変わっている
キーボードの話から脱線してしまったが、PFUは、ウノケ電子工業から始まり、ユーザック電子工業と社名が3回変わっている。
実は、自分も就職先を決める際に、PFUが選択肢の中に含まれていた。
結局、入社試験を受けることもなかった。
理由は簡単で自宅から遠かったからで、片道20Kmなので、車でも40分は要する。
往復だと80分。
今なら片道40分なら普通かもしれないが、まだ若かった頃なので、車で毎日40分というのは耐え難かった。
それ以上に大きな問題として自分はあまり社員の多い会社には就職したくなかった。
このため、従業員が少ない、少数精鋭という感じの会社を探していたが、その頃は既に、自分の許容範囲を超える社員数に達していたので、自分には合わないと判断した。
PFUに入っていたら、また違う人生を送っていたことは間違いない。
そんなPFUは、リコーの傘下になるが、今の富士通の子会社よりもリコーの子会社となった方が面白い商品やサービスを提供できるようになると思っている。
PFUにとって、リコー傘下に入るということは、新しい血が入って来ることになる。
それは新しいPFUとして生まれ変わるチャンスのはずなので、今後に期待したい。