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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

【今週のお題】子供の頃、よく飲んでいた番茶

今週のお題「好きなお茶」

名もない売店

小松空港の国内線到着ロビーは1階で、2階が出発口となっている。

小松空港に着くと通常は、そのままリムジンバスに乗るにしても、駐車場に向かうにしても、そのまま1階から出ていくことになる。

しかし、1階の到着ロビーを出て、たまに2階に戻ることがある。

それは、2階に時々飲みたくなるお茶が売られているからだ。

2階に向かうエスカレーターに乗り、降りると右前方に、寿司・酒などが販売されている売店がある。

この売店、「寿司・お茶・地酒」という看板しかないので、名前はあるのかもしれないが、少なくとも自分は知らない。

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献上加賀棒茶

そこまでして、買いにくお茶が、丸八製茶場の「献上加賀棒茶」。

今は、金沢駅に直営店もあり、スーパーでも見かけるので手に入れるのに苦労がなくなった。

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袋入り(60g)864円

缶入り(60g)1,296円

【出典】丸八製茶場オンラインショップ

棒茶と言うのは、通常、お茶と言えば、お茶の木の葉っぱの部分を使用するが、棒茶は茎の部分を使用したものになる。

お茶の葉っぱは、傷つけてしまうと、どんどん茶色くなるということで、茎の部分から折っていた。

しかし、茎の部分は使用することがなかったので、廃棄するか畑に戻すことになる。

京都や静岡では茎の部分をお茶にした、「茎茶」というものがあることを知り、石川県でも何とかできないかと考えたのが、茎を焙煎した、ほうじ茶だった。

これが安くて美味しいということで評判となり、一般家庭で飲むお茶といえば、茎を焙煎したほうじ茶、つまり棒茶になっていった。

普段使いのお茶

自分も子供の頃から家で出されるお茶といえば、棒茶、いや番茶だった。

金沢では棒茶と呼ぶ人もいるが、「番茶」と呼ぶ人も少なくない。

自分の家では「番茶」と呼んでいた。

味は、苦みと渋みが合わさった何とも言えない感じで番茶独特の香りがする。

袋入りで買ってきて、缶に詰め替えていたのを思い出す。

袋は「献上」よりももっと細い感じだったと思う。

お客さんには「玉露」、家では「番茶」というのが定番だった。

一般的に番茶といえば、市場流通品では規格外、低級品のお茶という意味になる。

しかし、金沢の場合は、普段使いのお茶のことを番茶と呼ぶ。

色は緑でも黄色っぽくもなく、どちらかと言うと、茶色に近い。

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食事に合うお茶だということで祖母が、ご飯に番茶をかけて食べていたのを思い出す。

今では、家で出されるお茶も変わっていて、緑茶、煎茶、冷たいものだと、麦茶、烏龍茶といった感じで、番茶を飲むことが少なくなった。

そんな時に偶々、空港の売店で棒茶を見つけ、更に「献上」という文字が付加されていたので、これは美味しい番茶に違いないと思って買ったのが、「献上加賀棒茶」だった。

母親にも1袋買って行き、値段を言うと今は高くなった、昔は、何百円だったと言っていたが、「献上品」だと言っても番茶は安いものだというイメージしかないようだ。

誰に献上したのか?

最初、献上というのは、加賀百万石藩主の前田利家に献上していたお茶だと思っていた。

しかし、違っていた。

前田利家ではなく、昭和天皇だった。

昭和58年。昭和天皇全国植樹祭加賀温泉の「よしのや依緑園別荘」に宿泊された。

そして宿泊先から丸八製茶場に「陛下のお茶を持って来て欲しい」ということで依頼があった。

しかし、その時、昭和天皇は80歳を超えられていたので刺激のあるものは飲めない。

高級なお茶と言えば「抹茶」であるが、刺激のある抹茶は出せない。

「陛下は白いご飯にうなぎの蒲焼を乗せて、ほうじ茶をかけて食べるのがお好きらしい」ということで「ほうじ茶なら」と考え、新茶の茎だけを使って試作を繰り返して完成させたのが、献上加賀棒茶だということだ。

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番茶は冷やすと美味しくない

ペットボトルの加賀棒ほうじ茶というものがJRの駅の自販機や売店でよく見かけるようになった。

自分も新幹線を利用するときに金沢駅だけではなく、関東の駅でも自販機で見かけるようになったので普段飲みの番茶が今では高級茶のように扱われているので時代というのは変わるものなんだと驚いてしまう。

ペットボトルの加賀棒ほうじ茶は、自販機などで冷えた状態で売られているものは直ぐに飲むと、番茶本来の味が薄れてしまう。

このため、直ぐには飲まずにペットボトルが冷たく感じなくなる程度、つまり常温になったタイミングで飲むようにしている。

そうすると、番茶本来の味や香りがペットボトルでも、美味しく飲むことができる。

特に食事の時に一緒に飲むのであれば、常温がオススメだ。

子供の頃は遠足の水筒に入れてくれるお茶が番茶で、水筒に入れる場合には、熱い状態で入れる。

これは夏でも変わらない。

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番茶は温くても美味しいが、冷やすと味が弱くなる。

これは番茶に限ったことではなく、麦茶、緑茶でも同じではないだろうか?

お茶離れが進んでいるということだが、ご飯にはお茶が一番合うと思う。

いくら珈琲や紅茶が好きでもご飯にかける人は、まずいないはずだ。

ご飯にはお茶、特に番茶。これが西洋式に言えば、マリアージュだと思う。