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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

アドバンテストからエーディーシーへ

アドバンテスト

日経新聞を見ていると、「アドバンテスト」の業績が好調だという記事が気になった。

半導体需要の活況を受け、試験装置を手掛けるアドバンテストの業績が好調だ。2022年3月期の連結業績は売上高と純利益が過去最高を更新する見通しだ。同社の試験装置は家電やパソコン向けから大量のデータを処理するサーバー向けまで、幅広い半導体の生産に欠かせない。

出典】アドバンテスト社長、半導体試験装置の部材調達を再編: 日本経済新聞

記事の内容よりも、「アドバンテスト」という社名が懐かしかった。

アドバンテスト」のデジタルマルチメーターR6451A、ユニバーサルカウンターTR5822をGPIBで接続してテスト装置のプログラムを作ったことを思い出す。

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デジタルマルチメーターだと、5桁半(5 1/2桁)の表示、サンプリング速度(2.5回/秒)、TrueRMS(真の実効値表示)

表示桁数について

例えば、5桁半の場合、0.00000 ~ 99999.9まで表示されるわけではない。

0.00000~1.9999.9や、0.00000~39999.9までしか表示されない場合が多い。

最大値が9でない場合に、最終桁は9まで表示できませんよという意味で表記するのが、1/2桁という内容になる。

真の実効値表示とは?

交流電圧というのは直流電圧とは異なり、正弦波と言われる波型で電圧が変動している。

例えば家庭用のAC100V電源だと、141V~-141Vの間で電圧が変動している。

これが日本では、この電圧変動の周期が、2つの周波数、50Hz(1秒間に50回繰り返す)、60Hz(1秒間に60回繰り返す)に別れている。

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上図のように変動している電圧は、何ボルトになるか?

ある時は、141V、別の時は-141V、また0Vの時もある。

交流電圧は、直流電圧に換算した場合の値になる。

これが「実効値」ということになる。

実効値=瞬時値の二乗平均の平方根で算出できる。

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正弦波の場合は、上記のように簡単な計算式に変換できる。

サンプリング速度が遅いなどの理由で、正確な瞬時値を求めることができない場合には正弦波とみなして平均値を実効値に換算する方法をMEAN(平均値方式)と呼ぶ。

これに対して、真の実効値方式は、瞬時値の二乗平均の平方根で算出する方法になる。

測定システムというのは、ソフトウェアよりも、ハードウェアで、どのような測定回路を作るのか?に時間を要する。

今は、どんなデジタルマルチメーターを販売しているのかとホームページの「製品」を見てみると、半導体検査装置のようなものしか表示されない。

エーディーシー?

どうしたのだろうか?と「アドバンテスト」「デジタルマルチメーター」で検索すると、「電子計測器のエーディーシー」という内容が最初に表示された。

アドバンテストという名前で会社は残っているので、エーディーシーに名前を変えたわけではないはずだ。

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どういうことなのだろうか?とクリックして見た。

会社のホームページを見ると、懐かしい感じのデジタルマルチメーターが掲載されていた。

自分が使用していた時の面影がある。

今のデジタルマルチメーター

今は、主流が5桁半、6桁半表示のものになっていた。

自分の時は、4桁半、5桁半だったが、今は高いものだと8桁半のものも販売されている。

驚いたのは、表示桁数ではなく、サンプリング回数だった。

自分が使用していた頃は、80回/秒が最高で、しかも4桁半に表示精度は落ちてしまっていた。

しかも、値のバラツキが凄すぎて使い物にならなかった。

それが今は、安いものでも5000回/秒(MAX)?高いものだと20000回/秒(MAX)と表示されていた。

それと交流電流(True RMS)の最小分解能が1μAから10naや1nAに変わっていた。

交流電流の0.1μAを測定するのに、最小分解能が1μAでは、話にならなかったので、これだけはデジタルマルチメーターでの測定ができなかった。

電圧に変換して測定しようとしても、デジタルマルチメーターのインピーダンスが低いため、デジタルマルチメーターを接続するだけで測定値が変わってしまうので微笑電流の測定には使えなかった。

なぜ、アドバンテストの製品をエーディーシーが?

つい、懐かしくて測定器の方を見てしまっていたが、アドバンテストの製品をなぜ、エーディーシーという会社が引き継いでいるのだろうか?

アドバンテスト(旧:タケダ理研工業)の全額出資子会社だったタケダシステムが、2003年に独立して、エーディーシーと名前を変えただけのようだ。

このため中身は同じで、名前だけがエーディーシーに変わっただけになる。

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アドバンテストは利益が見込める半導体の試験装置、エーディーシーは、アドバンテストにとっては利益にならない事業の部分、つまりデジタルマルチメーターやユニバーサルカウンターといった小規模汎用計測器の事業を引き継いだということなのだろう。

2003年と言えば、自分が測定関係の業務から離れた頃になる。

自分が使用していたデジタルマルチメーターもユニバーサルカウンターも既に生産は終了していた。

それだけ、時が経過したということになる。

久しぶりに懐かしい感じがした。