「乗れる扇風機」というものが売れているとか。
あまりに売れているため、小売価格の約2倍の価格で転売されているようだ。
作ったのはあの「サンコー」で、弁当箱タイプの炊飯器を大ヒットさせた会社だ。
扇風機に乗るってどういうことだろうか?
その名も「のれせん」
浴室の扇風機で、浴室だと扇風機を置くと狭くなったり、そもそも置けないという場合がある。
それで、体重計のような形の扇風機「のれせん」を作った。
上に乗ると電源が入り風が下から吹き上げてくるということから「乗れる扇風機」何ともうまい表現だと思った。
風呂上がりに使うことになるので濡れたまま乗っても良いように防水加工(IPX2)が施されていて、内部に入った水は底面の水抜き穴から出る仕様となっている。
また、扇風機なので、風の取り込み口を底にしてしまうと、風を取り込むと同時に床のホコリを一緒に舞い上げてしまうので、本体の上に設置して床のホコリを舞い上げないよう工夫も施されている。
実際に使ってみて試作を繰り返した跡が伺える。
発想が凄い
「のれせん」という発想、自分には全くなかったので凄いと思った。
開発者は、どういう発想で作ったのかが気になったので調べてみると、開発担当者の日常の不満から生まれたようだ。
開発担当者は大の風呂好き。
しかし夏場の脱衣所は蒸し暑く、せっかく風呂に入ってスッキリしたのに汗だくになってしまう。
温泉や銭湯の脱衣所に置いてあるような、大きな扇風機の風に当たるのはとても気持ちいいことから、扇風機を脱衣所に持ち込んでみたが、置く場所に困る上、風も全身に当たらず物足りなかった。
何とか、自宅の狭い脱衣所でも実現できないか?開発に着手したという。
完成までには約2年かかったそうだ。
結局、発想というのは普段の生活の中に転がっているものを拾い上げる作業だということのようだ。風呂が好き→夏は風呂から上がると汗だくになる。→銭湯の大型扇風機のような風を家でも実現したい。
この考えの流れ自体は、どれも当たり前のことで何ら特別なものではない。
ここから、どうやって乗る扇風機の発想に到達したのか?というと、やはり浴室に置いてある体重計だったのではないだろうか?
風呂から上がって体重計に乗る。
この瞬間、下から冷たい風が吹いてきたら?なんて感じで思いついたのではないだろうか?
「のれせん」の進化に期待
だとすると「のれせん」を置くと体重計を2つ置くようなものだとは思わなかったのだろうか?
そして体重計と一緒にしようとは考えなかったのだろうか?
体重計の機能も含めると、気温によっては冷たい風より暖かい風が出て欲しい場合もあるので温度センサーと連動して風を冷たくするか、温かくするかの判断、更には風を出すのか出さないのか?の判断も必要になる。
そうすると、使い方が複雑になって行く可能性が高い。
人間というのは高機能でも複雑なものは嫌う傾向にあるので、シンプルにした方が受けはいいはず。
そんなことから、体重計の機能は含めず、冷たい風に絞ったのだろう。
ただ、「のれせん」が「体重計」と一緒になれば、新しい家電として定着するような気もするので、是非、実現させて欲しいと思う。