資本家による搾取
どこかの国の総理が、「新しい資本主義」などという中身も何も考えずに、キャッチコピーのように政策として発表していた人がいる。
資本主義は、資本家が企業の資本(資金や設備など)を提供する。
提供された資本を使って、労働者は労働力と時間を提供し、その対価として賃金を受け取る。
労働者が働き得た利益は全て資本家に渡ることから資本主義は資本家が労働者が生み出した利益を搾取する仕組みだと言える。
資本主義の仕組み上、利益が労働者に還元されることはない。
労働者が得ている賃金や賞与は全て利益から還元されたものではなく、売り上げの原価に含まれているものになる。
このため、原価を決定する際に、想定していた売上額を越えた場合、固定費となる賃金や賞与の分が資本家に還元される。
本来は労働者に還元されるべきものだが、今の資本主義ではそのような仕組みにはなっていない。
もちろん、想定していた売上額を越えない場合には、資本家が損をするリスクがある。
労働者には、想定した売上額を越えても越えなくても、利益が出ても出なくても、最低でも賃金は得られることになる。
資本家にはリスクはあるが、労働者にはない。
だから、利益は資本家に還元されるべきものという考え方になる。
新しい資本主義とは?
利益を資本家だけで分配することが搾取だと言われるのであれば、それを改善したものが「新しい資本主義」ということになるのだろう。
利益を還元する仕組みとして持ち株、ストックオプションといった制度は、一見すると利益を労働者に還元する仕組みのように思える。
しかし、これは労働者が株を買って資本家の一部に加わっただけの話で、利益の配分率でいえば、大資本家と比べると得られる利益は比べ物にならないほどわずかな額。
利益の半分は労働者に分配するくらいでなければ、搾取の域を脱したとは言えない。
国も搾取
ところが、日本では法人税があって、利益の23.2%(約4分の1)は税金として聴取する仕組みがある。
労働者にはほぼ、分配されていない利益が何もしてない国が23.2%も搾取していることにも注意しないといけない。
国が搾取している分が差し引かれると、11.6%へり、38.4%ずつの分配になってしまう。
搾取しているのは資本家だけではなく国家も搾取しているというのだから資本主義というのは国家と資本家で労働者から搾取する仕組みだということになる。
労働者はこの恐るべき搾取システムに早く気づき、手を打たないといけない。
新しい資本主義というのは、重要な位置づけのものだと思う。