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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

やめられないのは法律が原因

これで生活ができる?

もし、以下のような契約や手続きができない状態で生活ができるだろうか?

  • 銀行口座の開設
  • 携帯電話の契約
  • クレジットカードの契約
  • 賃貸物件の契約
  • 各種ローンの手続き

銀行口座やクレジットカードが無くても生活はできるかもしれないが、住む家がなければ生活はできない。

実は、これらは暴力団に対しては認められていないことになる。

このことを、廣末登さんという方が書かれた、「だからヤクザを辞められない」という本を読んで初めて知った。

最初、このタイトルを見て、ヤクザというのは、そんなに魅力的なものなのか?と思っていた。

しかし、読んでみると、大きな勘違いだったことに気がついた。

本には、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」と、各都道府県の「暴力団排除条例」にて定められている内容の問題点が具体的に書かれている。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律やそれに関する条例は、暴力団を排除することに主体が置かれている。

このため、暴力団を離脱した人のことは考えられていない。

暴力団を離脱した人の就職率は、各都道府県毎に異なるが、概ね、2~4%だという。

90%以上の人は就職できていないことになる。

なぜか?

暴力団を離脱しても5年間は、暴力団員として扱われるので、先の法律や条例が適用されてしまう。

このことを、元暴5年条項と呼んでいる。

つまり、暴力団を離脱しても、家は借りられない、口座やクレジットカードも作れない。

スマホや携帯電話も契約できないことになる。

身分を偽って契約した場合には、逮捕される。

家も借りられない状況で、どうやって生活しろというのだろうか?

客として利用していた飲み屋などに就職しようとしても「離脱しても5年経過していない暴力団」を雇うのは、色んな意味で問題がある。

これでは、就職もできないので、生きていけなくなる・・・

結局は、元に戻るしかなくなる。

本当にそんな法律なのか?

実際に法律と条例を確認してみた。

どちらも実にわかりにくい。

こういう時には、具体的な内容を調べてみるところから始めると自然と慣れてくるもの。

そこで、まず、暴力団とはどう定義されているの?というところから始めた。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の第二条第二号に以下のように定められている。

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 暴力的不法行為等 別表に掲げる罪のうち国家公安委員会規則で定めるものに当たる違法な行為をいう。
二 暴力団 その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。
三 指定暴力団 次条の規定により指定された暴力団をいう。
四 指定暴力団連合 第四条の規定により指定された暴力団をいう。
五 指定暴力団等 指定暴力団又は指定暴力団連合をいう。
六 暴力団員 暴力団の構成員をいう。
七 暴力的要求行為 第九条の規定に違反する行為をいう。
八 準暴力的要求行為 一の指定暴力団等の暴力団員以外の者が当該指定暴力団等又はその第九条に規定する系列上位指定暴力団等の威力を示して同条各号に掲げる行為をすることをいう。

【出典】https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000077

  • その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。

実にわかりにくい文だ・・・

暴力的不法行為というのは、別表に掲げられている、59項目のうち国家公安委員会規則で定めるものだという・・・

結局は、常習的または集団で不法行為を行なっている団体と定義されているようだ。

しかし、法律では、刑に処せられて刑の執行を受けることがなくなってから5年を経過するまでといった内容は記載されているが、暴力団を離脱して5年間といった内容は書かれていない。

つまり、暴力団員であっても刑に処せられるようなことをしていないなら離脱すれば適用範囲外になるのでは?

条例で定めれたいるのかと確認してみると・・・

石川県暴力団排除条例

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 暴力団 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する暴力団をいう。

二 暴力団排除 暴力団員による不当な行為を防止し、及びこれにより県内の事業活動又は県民の生活に生じた不当な影響を排除することをいう。

三 暴力団員 法第二条第六号に規定する暴力団員をいう。

四 暴力団員等 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者をいう。

五 県民等 県民及び事業者をいう。

六 事業者 事業を行う法人その他の団体又は個人をいう。

七 暴力団事務所 暴力団の活動の拠点である施設又は施設の区画された部分をいう。

【出典】石川県暴力団排除条例

石川県の条例には、「暴力団員等=暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者」と記載されていた・・・

もう一つ、法律を見る限り、クレジットカード、スマホなどの契約を禁止するといった内容も記載されていないように思う。

これも条例に記載されていた。

第十条 事業者は、その行う事業の円滑な実施を図るため、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

一 暴力団の威力を利用する目的で、金品その他の財産上の利益の供与(以下単に「利益の供与」という。)をすること。

二 暴力団の威力を利用したことに関し、利益の供与をすること。

3 事業者は、前二項に定めるもののほか、その行う事業に関し、暴力団員等又は暴力団員等が指定した者に対し、情を知って、暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる利益の供与をしてはならない。ただし、法令上の義務又は情を知らないでした契約に係る債務の履行としてする場合その他正当な理由がある場合は、この限りでない。

(暴力団の威力を利用することの禁止)

【出典】石川県暴力団排除条例

どうやら、共通項目は、法律で定めておいて、都道府県毎に異なる内容に関しては、条例で定めるということのようだ。

強い暴力団排除の風潮

第一線で活躍していた芸能人が反社会勢力の人と交流があったと問題になり、所属事務所を辞めることになる時代なので、反社本人の場合は、更に厳しいのだろうだと思っていたが、離脱したあとも、こんなに厳しい制限があるとは思ってもいなかった。

営業を依頼された、交友関係にあったというだけで、信用を失い、職を失ってしまうのだから、当の本人だと更に酷いことになるとは思っていたが、離脱しても5年間は同じだとは思ってもいなかった。

5年間というのは意外と長いので、この間、職も家のない状態で人が生きていくというのは現実問題として無理があるので、離脱=リセットということにはならないことになる。

離脱すれば生きていけない、離脱しなければ何とか生きていける。

そうすると、多くの人が死ぬまで続けるしかない選択をせざる得ない。

だからといって、5年間の制約を無くすのも現実問題として難しいと思う。

離脱したふりをして騙している可能性もあるからだ。

法律は読んで理解するだけでも難しいのだから、作る方は更に難しいことだと思った。