マグロは泳ぐのをやめると死んでしまう。
なぜか?
呼吸ができなくなるからだ。
マグロは、口を開けて泳ぐ。
そしてエラを通過する海水に含まれている酸素を取り入れながら呼吸する。
このため、泳ぐのをやめると酸欠状態になる。
人は歩くことをやめても呼吸ができなくなることはないが、学ぶという行為が脳に対して呼吸と同じような役割を持っているのではないだろうか?とふと思った。
学ぶのをやめたら?
アルツハイマー型認知症は、脳の一部が縮んでいくことにより、もの忘れなどが生じる病気になる。
しかし原因は、まだ解明されていないようで、脳に特定のタンパク質がたまることが関係しているという説もある。
そして高齢者ほど発症する傾向がある。
人は歳をとるほど、自分の身の回りで起きることに対して、これまでの経験で対処しようとする。
いや、対処できてしまう。
だから、新しいことを学ぶ機会が少なくなる。
筋肉が使わなければ弱体化するように脳も使わなければ弱体化するのではないだろうか?
だから人は学び続けなければいけない。
安岡正篤の言葉
安岡正篤(やすおかまさひろ)氏は、「人間は学び続けなければならない。学ぶことをやめたら、人間でなくなる。」と言っている。
安岡氏は、東洋の古典・哲学に対して広い知識を持っている方で、軍部や官財界に支持者を広く持ち、金鶏学院(きんけいがくいん)を設立した方になる。
このため、昭和の時代の歴代総理(吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、福田赳夫、大平正芳等)が師と仰ぎ政界の指南役のような立場にあった。
そんなことから政界・財界にも強い影響を与える存在だったと言われている。
また、「読書は小さい頃からの習慣だから少しでもいいから毎日、何かを読むようにしなさい」ということも話されると共に自身でも実施していた。
【出典】安岡定子著 [新版]素顔の安岡正篤 わが祖父との想い出の日々より
新聞を読むというのは社会の動向を知るために必要だといったことを言われているが「毎日、何かを読む」という意味でも必要なことだと思う。
読むという意味だけを考えれば新聞に限ったことではなく、ネットニュースでも構わないはずだ。
随分前になるが、40代~50代で経理の仕事をしている女性が認知症になってしまったといった内容のテレビ番組を見たことがある。
経理の仕事をしている方なら計算や会計の仕訳、事務処理と頭を使うはずだと思った。
番組では日々、仕事をしていても、同じことばかりを繰り返していると認知症になる可能性があるといったことが言われていた。
考えてみれば、経理の仕事を長年している方にとっては、ルーチンワークのようになってしまい、身体が覚えてしまっているような状態で頭を使うことなく条件反射的に出来てしまうのかもしれないしれない。
そうすると、脳に負荷がかからず、脳が使われないのと同じ状態になってしまう。
安岡正篤さん
安岡氏は政界に対して強い影響力を持っていたことから「昭和の黒幕」といった表現が使われる場合もある。
その点については事実関係を知らないので、肯定も否定もできないが、お孫さんである安岡定子さんが書かれた、素顔の安岡正篤 わが祖父との想い出の日々を読む限り「黒幕」という印象は受けなかった。
まぁお孫さんに対して「黒幕」の面を見せることもないとは思うが、本の中に書かれているエピソードを読むと「孫を可愛がっているおじいちゃん」という感じしかしなかった。