ゼロコロナ政策に抗議
中国ではゼロコロナ政策に反対する抗議運動が活発になっている。
なぜ、だろうか?
中国政府は、新型コロナウイルスの市中感染を抑止する目的からゼロコロナ政策を3年にわたって実施している。
ゼロコロナ政策とは、クラスタ感染が発生した都市等に対してロックダウン(都市封鎖)や厳しい検疫措置などを行い感染拡大を抑えようというもの。
2022年3月にオミクロン型が増えた際には、中国最大の経済都市である上海であってもロックダウンを行なった。
国産ワクチンに拘る中国
そこまで行っているのに中国でコロナ感染が過去最大になっているのは、中国でのワクチン接種にも問題があるようだ。
中国は国産ワクチンに拘っている。
しかし中国のワクチン技術は発展途上であり、欧米製のモノと比較すると有効性が低い。
ゼロコロナを解除すれば感染爆発?
もう一つ、米中共同で分析した、ゼロコロナを解除した場合の結果が感染爆発が必至だということも大きな要因のようだ。
そんなことから、中国だけが未だにウィズコロナではなくゼロコロナが継続している。
中国以外の国々では日本を含めてワクチンによる効果で感染者は増えても死に至るような重症患者の数は増えていないので中国も国産ワクチンに拘らず、欧米製のワクチンへの転換を行うことで同様の効果が見込めるのではないだろうか?
中国国内でもワクチンに関しては不満があるはずだ。
高層集合住宅で火災
そんな中、2022年11月24日に西部ウルムチ市の高層集合住宅で火災が起きて10人が死亡した。
火災時に集合住宅の住民が部屋から出るのをウルムチ当局に阻止されたとの証言があったという。
証言から逃げ遅れたのはゼロコロナ対策で逃げようとした住民をウルムチ当局が阻止したことで避難が遅れたとの声が上がった。
中国政府もウルムチ当局も、これを否定していた。
2022年11月25日以降、SNS等でこれらの証言が拡散されて抗議しようと人が集まり抗議活動を行ない、ウルムチ当局と衝突した。
その後、ウルムチ当局は2022年11月25日夜遅くになって職務を放棄した者を罰すると発表すると共に異例の謝罪表明を行なった。
また、ウルムチでは2022年8月上旬から規制が敷かれているが、現在、ウルムチ当局は段階的に廃止するとも約束している。
【出典】「ロックダウンやめろ」、中国・ウルムチで異例の抗議 10人死亡の住宅火災きっかけ - BBCニュース
白紙の抗議
抗議を行なった人達は、白紙を顔の前に掲げて言葉だけで行なっていた。
これは、以下の思いからだった。
「言いたいことがすべて削除されてしまう。だから何も書いていない白い紙を持っている」
この光景を見て、中国の国民は言いたいことも言えないのかと哀れに感じた。
中国では、言論統制というものがあって検閲制度などの手段を用いて、言論・表現を制限することができる。
主にマスコミに対して行われることになるが、状況に応じて個人に及ぶこともある。
これを回避するために「白紙」での抗議を行ったということになる。
白紙には以下のような思いが込められているのだろう。
- 習近平に対する不満
- 自由が欲しい
- ゼロコロナ政策によって人命が失われている
- 言いたいことを言って逮捕されるなんておかしい
こういった国民の思いは習近平には届いていないだろうし、仮に届いていたとしても大きな問題にはなっていないように思う。
中国もロシアも共産主義・社会主義の国になるが、最終決定は一人の最高権力者が決めるということ。
資産や財産は共有しても何かを決定する時には一人の人間が決めてしまう点に危うさを感じる。
中国を世界の工場にしたのは江沢民、これを更に伸ばして世界第二位の経済大国にまで押し上げたのが胡錦涛。
そして権力にモノを言わせて全ての権力を自分に集めて、昔の共産主義国家に逆戻りさせようとしているのが今の習近平だと思う。
このため、ロシアのプーチンと、どうしてもイメージが重なってしまう。
中国で白紙の抗議をしなくてもよくなる日は来るのだろうか?