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高度成長時代の人達の知恵

八重洲のエネルギーセンター

燃料を都市ガスとした発電設備を装備したエネルギーセンターをミッドタウン八重洲の地下に作ったとか。

三井不動産東京ガスが共同で設立した三井不動産TGスマートエナジーによるプロジェクト。センターは約1万2000平方メートル。燃料は都市ガスで、エネルギー供給能力は2万2000キロワット(一般家庭の約7000世帯分)。1日から供給を始めた。
 発電時に出る廃熱は冷暖房に有効活用し、エネルギー効率を高めた。二酸化炭素排出量は一般的なビルに比べ約26%削減。大地震に耐えうる設備で、非常時も都市ガスの供給がある限り発電できるため、バスターミナルや一時待機施設にも電気と熱を供給。地域の防災力向上に役立てる。(砂本紅年)

【出典】ミッドタウン八重洲の地下にエネルギーセンター 都市ガスで発電、非常時も 廃熱は冷暖房に活用 :東京新聞 TOKYO Web

記事によれば、大地震にも耐えられるように作られているというが、燃料が都市ガスなので、都市ガスが停止すれば発電機も停まる。

地震の時は、これまで電気が停まれば、ガスも一緒に停まっている。

そして、ガスの方が復旧が遅れることが多いので、設備が大地震に耐えられてもガスが供給されなければ、発電できないし、ガスより先に電気が復旧してしまうので意味がないように感じた。

阪神淡路大震災の際のライフラインが復旧するまでの日数は、電気が7日間 、都市ガスは84日間も要している。

そういうことを考えると、本当に都市ガスを利用した発電システムが役に立つ機会があるのだろうか?と疑問を感じた。

東洋一だった神子畑選鉱場

何日か前に偶々、行った場所でテレビ番組を見ていると神子畑選鉱場(みこばたせんこうじょう)の撮影が許可されたということで公開されていた。

かつては、錫の選鉱場としては東洋一と呼ばれた神子畑選鉱場(みこばたせんこうじょう)があって昭和62年1987年に閉鎖されている。

場所は兵庫県朝来市(あさごし)

長崎の軍艦島は日本のエネルギー源だった石炭を得るための炭鉱施設で世界遺産

神子畑選鉱場は半導体の材料となる錫(すず)の鉱石を専攻する施設。

錫は半導体製品でのメッキなどで使用する。

錫は比較的安全な物質なため食器などでも使われてきた。

※人工的に作られた有機錫には有害物質が含まれている。

空気中でも水中でも錆びることもない。

そして錫メッキは、はんだ付け性、伝導性、防錆、潤滑性、耐薬品性に優れていることから半導体製造には欠かせない材料になっている。

知恵の結晶

ここには、鉱石を運んで来てから砕いて選鉱するための当時の人の素晴らしい知恵がたくさん盛り込まれている。

鉱石は細かく砕いて鉱物を抽出しないといけない。これを以下に安く行うのか?が大切だったので鉱石を砕きながら選別するときに平地で行うと、工程が変わる都度、持ち上げて、降ろすという作業が必要になってくる。

採掘した鉱石を30車両のトロッコ電車で運ぶ。

しかし、トロッコ電車には1車両に5トンもの鉱石が積まれている。

最初は人間が車両に乗せられた鉱石を降ろしていた。

これを、鉱石を積んだ車両にだけ3つ目の小さな車輪を追加して鉱石を降ろす場所に3つ目の車輪用の山型レールを配置した。

すると山型レールに3つ目の車輪が転がっていくので車両が反対側に傾く。

台車はダンプカーの荷台のようになっているので、車両が傾くことで傾いた方から鉱石が落ちていく。

鉱石を下ろしたあとは、運搬の無駄を省くために山の斜面に22の段を設けて鉱石を砕きながら下へ転がしていくように作られている。

鉱石は、まずクラッシャーという機械で1㎝程度の大きさに砕く、次に、ボールミルという機械で0.1㎜程度の大きさまで砕く。ボールミルには5Kg程度の鉄球(直径5㎝程度)が多数入っていて、これに鉱石を入れて回転させることで細かく砕かれる仕組み。

そして、浮遊選鉱という工程に入る。

0.1㎜以下に砕いた鉱石と水を混ぜた泥に薬品を入れてかき混ぜると錫の粒子が浮き上がって来る。

そして浮き上がって来た錫の粒子を取出し、水と錫を分離する振動型選鉱機に通すと錫だけが抽出できる。

更に抽出した錫は、1200℃の電気炉で溶解し錫以外の成分を取り除く。

このような工程で抽出された錫の純度は、99.99%。

当時世界最高品質と言われていた錫を1か月で50トン生産していた。

錫を抽出したあとの、泥と水を分離するためのシックナーという巨大なろ過装置を使用し水は再利用していた。

八重洲のエネルギーセンターの時は、疑問ばかりが気になったが、神子畑選鉱場に関しては驚くことばかりだった。

技術は向上しても知恵は低下してまった

35年前と今を比べれば技術的には比較にならないかもしれないが、知恵を出すことに関しては見事だと思う。

今の日本人が、同じ技術レベルで、神子畑選鉱場を新たに作ることになった場合、どんなものが出来上がるだろうか?

おそらく、比べ物にならほど、お粗末なものができあがるはず。

そうなれば、経済大国・電子立国と呼ばれた日本は存在しておらず、今の日本は戦後まもない時の状態が今も続いていたのではないか?と恐ろしくなった。

そして、日本が今の危機的状況から立ち直るための問題点も「知恵」を以下に出せるか?にかかっているのではないだろうか?