プロ野球選手のキャッチボール
子供の頃に、プロ野球を始めて見に行った時のことをふと思い出した。
しわ一つない綺麗なユニフォームを着た、身長の高い選手が1塁側でキャッチボールをしていた。1塁ベース横に1人、ライトフェンス前に1人。
距離にすると60m程度だったと思う。
自分なら力いっぱい投げないと届かない距離をプロ野球選手は、軽く投げているのに、見事に胸の前へボールが勢いよく飛んでいきグローブに吸い込まれていく。
小学生が投げる時のような不安定要素は微塵も感じられない。
凄い技術を間近で見る
テレビで見ていただけでは、この時の「凄い」という感情はなかったと思う。
直接、実際のプレイを間近で見るのとテレビで見るのとでは感じ方が全く違う。
そういう意味で、子供の頃に身近で「凄い技術」を見ることは大切だと思う。
目の前で見た技術は、一つの基準になると思う。
野球でいうなら、小学生のプレイだけを間近で見ていれば、その中で一番上手な人のプレイが一つの基準となり、そのレベルを自然と目指そうとする。
ところが、プロ野球選手を間近で見れば、レベルの差は歴然で、しかも凄いプレイなので繰り返し見ることができれば自然と脳裏に焼き付いていくと思う。
これがとても大切なことだと思う。
何を真似るのか?
「学ぶ=真似る」ところから始まるので、何を「真似る」のか?で結果が変わって来る。
小学生のプレイを真似るのと、プロ野球選手を真似るのでは、どちらが上達するのかは言うまでもないと思う。
演劇をやっているとよく言われるのが「学芸会か?」って言葉で、セリフが頭に入っているだけだとどうしても「読んでいる感」が強くなる。
小学校の授業等で教科書の内容を読まされた経験は誰もがあると思う。
その時のイメージが焼き付いてしまうので、声に出して読むときには、小学生レベルの読みになってしまうので、学芸会でも同じになる。
プロの演劇などを見ることでイメージも変わるはずだが、子供の頃は演劇に興味がないので、真剣に見てくれない場合が多いので、学芸会レベルからの脱却は難しい。
スター選手不在の日本
プロ野球はスター選手がいないと、見ていても、どこかつまらない。
今や日本のプロ野球はメジャーリーグに行くためのステップになってしまった感があり、メジャーリーグの2軍的な位置付けになっている。
これでは日本人の一流プレーを間近で見ることができない。
テレビ中継も減ってしまい、かっては、シーズン中は全試合といってもよいほど中継されていた巨人戦が今では開幕戦と日本シリーズくらいしか放送されなくなりプロ野球の存在自体が影がかなり薄くなっている。
これでは野球選手を目指そうという子供も少なくなる。
小学生がなりたい職業
小学生がなりたい職業ランキングでも、男児では1位がサッカー選手で野球選手は2位になっている。
サッカーも野球と同じでスター選手が海外に行ってしまい野球と同じく目指そうと思う子供が減っていると思っていたので、正直、意外な結果だった。
ちなみに、3位が医者、4位がYouTuberとなっていた。
【出典】https://www.jafp.or.jp/about_jafp/katsudou/news/news_2022/files/newsrelease20220421.pdf
小学生がなりたい職業で、会社員・事務員が男女児ともにベスト10入りをしているというのも、夢がなくて寂しいように感じたが、これは、お父さん、お母さんのようになりたいと思う子供が増えたということなのだろうか?
それともコロナ禍でプロ野球が中止とか無観客での開催だと騒がれていたのを見ていて不安に感じたのだろうか?
もし、そうだとすれば、小学生がなりたいと思えるような人がいないと、目指そうとする子供もいなくなっていくのは間違いない。
ベスト10の中に男女児ともに芸能人が消えてしまったのも気になる。
特に女児のベスト10が堅実な職業ばかりでスポーツ選手、芸能人といった不安定要素が強い職業は一つもない。
YouTuberでさえ入っていない。
現実的な職業
以前は男児だとお笑い、女児だとアイドルやアナウンサーがランクインしていたが子供にもテレビ離れの影響が出ているようだ。
その代わりが、男児でのYouTuberランキング入りなのかもしれない。
間近でみたりして凄いと思った人に子供は影響されるものなので、今は、なりたい職業の人に影響されていることになる。
女児が比較的現実的な職業が多いことから、夢をみないようになっているのかもしれない。
男児は2種類に分かれているが、今後は、女児と同様に現実的な職業を夢見るようになっていくように思う。
小学生がなりたい職業が20年後の日本を見せてくれていると思うので、20年後の日本は夢見る人が減り、現実的な人で構成されるようになっているのではないかと思う。