ジェネリック医薬品は信用できるのか?
薬局に処方箋を提出すると、ジェネリックを希望しますか?との確認が行われる。
ジェネリックとは、ジェネリック医薬品のことで、日本語だと「後発医薬品」と訳されている。
「新薬」(先発医薬品)の特許が切れると、他の医薬品メーカーも同じものを販売することが認めらえる。新薬と同じ有効成分・品質・効き目・安全性が同等であると国から認められるとジェネリック医薬品として販売可能になる。
新薬の開発には9~17年ほどの歳月と数百億円以上の費用がかかるので、新薬の単価の大半は、開発費だと言われている。
しかし、ジェネリックだと開発費は不要なので、新薬から開発費を差し引いて単価が決まるので、新薬より5割も安価な価格で提供される。
※ジェネリックは新薬の5割と決められている。
ジェネリックを使用する人が多い
そんなことから、最近は同じものなら安い方が良いということで、ジェネリックでお願いしますという人が増えているのではないかと思う。
薬局は高い先発品を売った方が儲かるのでは?と思っていたが、売値~仕入れ値(差益)はあまり変わりがないので、どちらを販売しても同じになる。
薬局も差益が同じなら仕入れ値の安い方を在庫で持つ方が有利なはず。
薬も有効期限や使用期限があるので、万が一、期限が切れた場合は廃棄しないといけないので、高いもので在庫にするより安価なもので在庫したいことだろう。
後発医薬品使用体制加算制度
ジェネリック医薬品は先発医薬品より安いうえに、ジェネリックを処方した割合に応じて保険点数が加算される後発医薬品使用体制加算制度がある。
これは国が医療費を削減する目的で導入した制度になる。
ジェネリックを処方する割合が国の定めた基準を満たした場合には診療(病院)や調剤報酬(薬局)の保険点数(1点=10円)が加算される。
逆に基準を満たさないと保険点数が低くなる。
ジェネリックの割合が70%以上だと報酬として加算され、40%を下回ると2点減点になる。
※ジェネリックの使用割合は2021年9月の時点で79%
加算点数があるとはいえ、仕入れ値と売値(薬価)の差額である『薬価差益』はそれほど大きくない。
このため、ジェネリックを販売しても薬局は、さほど儲からないが、減点措置があるために国の推奨に従わざるを得なくなっている。
ジェネリック医薬品が品不足?
ところが、ジェネリック医薬品が品不足になっているらしい。
2021年の夏ごろから全国的に薬の供給不足が深刻な状態が続いている。
現在(2022年5月時点)、依然として少なくとも2500品目の出荷が滞っている。
原因は、2020年12月に発覚した福井県の後発医薬品メーカー「小林化工」が製造した水虫などの真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した不祥事。
これにより2021年6月5日まで(116日間)業務停止となっていた。
その結果、ジェネリック医薬品の供給不足が生じ、現在に至っている。
ジェネリック医薬品の供給不足により先発医薬品の需要が増えたが、これにより先発医薬品も不足する事態になった。
国や県の問題でもある
これは、一見すると、小林化工の問題だと思うかもしれないが、このような事態を想定せずに、安いジェネリック医薬品ばかりを販売させようとしていた国にも問題があると考えている。
国の問題は、もう一つある。
2022年9月2日、石川県の辰巳科学が、国に承認を得た製造工程とは異なる方法で製造を20年以上も行っていたとの「自己申告」を石川県に対して行っていたとの報道があった。
※辰巳化学は石川県に対しては2022年1月に報告
20年以上も承認を得た製造工程とは違っていたにも関わらず、国も県も発見することができなかった。
小林化工の睡眠薬混入についても、問題が起きた工程は承認されていた製造工程ではなかったが、これも発見できなかったために、人為的事故が起きてしまった。
小林化工の前には、富山に本社があるジェネリック大手「日医工」でも出荷検査で不合格となった錠剤を取り換えて再試験を行ない、錠剤を砕いて再加工するなどの不正が発覚しているが、このような製造工程も承認されたものではなかった。
これも未承認のまま10年以上続いていた。
不安しか感じないジェネリック医薬品
つまり、国や県が製造工程のチェックを行っていないために、製造工程を自由に変えて医薬品を製造するのが当たり前になっている。
製造工程の承認という規則は、このような事故がおきないようにということで制定されたものだと思うが、承認後の確認が行われていなければ、意味がない。
他にも同じような問題がジェネリック医薬品製造メーカーで起きているとのこと。
こんな状態で、ジェネリック医薬品を安心して使用できるだろうか?
認められた方法以外で製造されて、更に水虫の治療薬に睡眠薬を混入させてしまうような可能性がある工場で製造されている医薬品を安心して使用できるだろうか?