世界一が多いダチョウ
「世界で一番大きな鳥」といえば、「ダチョウ」
時速60Kmで30分間走り続けられる。
二足歩行で「世界で一番早い」のも「ダチョウ」
そんなダチョウは凶暴だという。
そして、跳び蹴りの威力は4トン。
そんな威力の蹴りを人間がくらえば、粉砕骨折。
視力は25、2.5ではなく25!
25の視力があれば、40m先のアリの動きが見えるという。
脳は目(60g)よりも遥かに小さな大きさ(40g)なので記憶力がほとんどない。
このため、15年一緒にいても攻撃の対象でしかないと語るのは、京都府立大学学長の塚本康浩。
ダチョウとのキッカケ
彼は獣医でもあり、鳥がとにかく大好き。
このため、京都府立大学のキャンパス内では週に2回ほど、エミューが散歩で走り回っている。
ダチョウと関わるようになったのは25年前で、ダチョウ牧場の主治医になって欲しいと依頼されたことがキッカケだった。
往診を続けるうちにダチョウは病気になりにくい、怪我をしても直ぐに治る。
人間なら1週間はかかるような傷でもダチョウは2日間で治ってしまう。
そんなことから、学長はダチョウの身体の中は凄く強くできているのではないか?と考えるようになった。
そして、ダチョウのパワーを卵から取り出す研究を始めた。
ダチョウの卵から抗体
ダチョウは1か月で100個の卵を産む。
重さは鶏の卵の30倍で1.6Kg。
長さ約16㎝、幅13㎝程度。
これまた、「世界最大」の卵になる。
ダチョウの卵(無精卵)から抗体(ウイルスや細菌から体を守る物質)を抽出して、花粉症・インフルエンザ・エボラウイルスの抗体を作って来た。
ダチョウのメスに無毒化したウイルスを注射すると体内で猛スピードで抗体が作られて卵にも送り込まれる。
ダチョウの卵は大きいので、抗体もタップリと含まれている。
学長はダチョウの抗体を染み込ませたマスクを開発して1億枚以上を出荷している。
ダチョウの卵1個で、8万枚のマスクが作れるほど、ダチョウの卵には大量の抗体が含まれている。
また、ダチョウが作った抗体は新型コロナの治療薬にもなるようだ。(まだ承認されていない)
卵を採取するのは命がけ
しかし卵を採取するのは命がけで、ダチョウのテリトリーに侵入してくれば、敵とみなされて攻撃される。跳び蹴りの威力は4トン。
実際、学長は一度、蹴られて粉砕骨折をしている。
そんな学長の研究は国からも認められて文部科学大臣賞を受賞している。
ダチョウの卵から抽出した抗体を含浸させたフィルターで、ウイルス飛沫も花粉も遮断。
これまでにない着けごこち。
マスクの息苦しさや口元への接触を緩和。
3Dプリーツ形状記憶構造。
ダチョウ抗体を製品化した抗体マスクは、文部科学省・科学技術振興機構(JST)の独自的シーズ展開事業・大学発ベンチャー創出推進プロジェクトの研究成果を基に、産学官連携開発により実現した商品です。使い切り商品ですので、洗濯などの再使用はできません。
そして、学長は「ダチョウはアホだが役に立つ」という人気ドラマのタイトルに似た本を出版している。
ダチョウが人類を救うのかもしれない。