ZARDの苦手な曲
ZARDの曲は基本的に、どれも良い曲だと思う。
しかし、ZARDの曲の中でなぜか以下の2曲だけ苦手意識を持っている。
ZARDは曲選びから入るので、作曲、作詞の順に書かせてもらった。
「負けないで」は6作目のシングル、「永遠」は22作目になる。
他の曲は、BGMなどで流れて来たりすると一緒に頭の中でリズムを刻んだり、時には口ずさんだりもするが、この2曲だけは口ずさむこともないし、頭の中で曲が流れることもない。
「嫌い」ということではなくて、うまく説明ができないが、どちらも曲が流れてくると、なぜか胸が痛んで何とも言えない気持ちになる。
負けないで
このため、24時間マラソンのゴール間近などで「負けないで」が繰り返し流されるが、その都度、胸が痛む。
負けないでは、元々は作曲した織田哲郎さんのアルバム用の楽曲だった。
しかし、この曲に坂井さんの詞を当てはめて坂井さんが歌ってみるととてもいい感じになったと好評だった。
そして、フジテレビのドラマ「白鳥麗子でございます」のエンディング曲に採用されZARD初のシングル曲でのミリオンセラーとなった。
テレビ朝日の「ミュージックステーション」に出演してテレビで初めて「負けないで」を唄ったが、悲惨な歌唱状態だった・・・
本当に彼女が唄っているのか?口パクではないのか?といった悪い噂が流されていたこともあり、それ以来、坂井さんがテレビの音楽番組に出演することはなかった。
永遠
「永遠」は元々、キヤノン「NEW EOS KISS」のCMソング「Falling of the Rain」として使用されていた。
しかしCMソングということや、他にも色々なことが重なりサビ部分しか作られていなかった。
約一年後?に日本経済新聞に掲載されていた小説「失楽園」が大ヒットとなり「映画化」された。
映画も大ヒットしたことから日本テレビが「ドラマ化」することになった。
このドラマ主題歌にFalling of the Rain」を使用したいということになった。
しかし、キヤノンの一眼レフカメラのCMとして使用されている曲なので、さわやか系のCMとして使われていた曲が「失楽園」でも使用されるのは、よろしくない。
しかし、キヤノンは了承してくれた。
おそらく、失楽園が大ヒットしブームのようになっていたので「イメージ」より「話題性」を重視したのだと思う。
この頃には「失楽園」のキーワードとなる「不倫」ということばが小説や映画で社会的に寛大になり始めていたこともあったり、カメラは芸能人の不倫を撮影する週刊誌カメラマンが使っていたりするので、あまり商品の売れ行きに影響はないと考えたのかもしれない。
マイケル・ブラウアとの出会いがZARDを変えた
ベストセラーとなった小説のドラマ主題歌だということで、力を入れるようになった。
ドラマとなればCD発売も必要になるのでフルサイズの曲として作ることになり、曲のアレンジは「マイケル・ブラウアー」に依頼した。
この方、「グラミー賞の最優秀アルバム技術賞」を始め色々な賞を受賞している凄い人になる。
マイケル・ブラウアーとの接点は、ZARD初のベスト(ZARD BLEND〜SUN&STONE〜)の製作からになる。
「ベスト」と言えば、聞こえはいいが、実際には新曲を作っても売れなくなったアーチストの逃げの手段であり、ZARDの場合は、セレクションアルバムと呼ばれてはいるが実質、ベストアルバム。
このため、坂井さんはベストアルバムにはずっと反対だったが、擦った揉んだの末、「セレクション」アルバムが実現した。
その時に「マイケル・ブラウア」氏にミックスを依頼することになった。
その際に、マイケル・ブラウアから事前に、ミックスされたものをインターネットで送ってもらっていた。
当時、回線が細いので、ステレオではなくモノラルデータで送られてきた。
坂井さんは、これを聴いて凄く衝撃を受けていた。
そのあと、テープでステレオ録音されたものが送られてきたが、モノラルの方が良かったと首を傾げている。
ミックスを依頼するに際して日米の違いが思わぬ発見に繋がった。
当時、日本はデジタル化したものをテープに録音して作業を行っていたが米国ではアナログ録音テープが主流だったので、デジタル録音したテープをアナログ録音としてテープにコピーする必要があった。
デジタル録音のものをアナログ録音でコピーすれば音は劣化すると誰もが思っていた。
ところが、アナログにコピーした方がデジタルより圧倒的に歌っている臨場感が伝わってきたことから関係者は驚いた。
出来上がった曲がインターネットで送られて来て聴くと「素晴らしい出来栄え」で坂井さんをはじめその場にいた人たちは驚いた。
そして「永遠」のPVは、米国カルフォルニア州にあるエルミラージ砂漠で撮影された。
これだけ力を入れて作った曲で、話題のドラマの主題歌としてテレビで繰り返し流されれば売れないはずはない。
ZARDが変わってしまった・・・
これらの2つのエピソードからデジタルよりアナログ、ステレオよりモノラルという考えに変わり、この時を境にZARDの楽曲制作は変わっていった。
坂井さん自身「永遠」を制作する中で新しいZARDの方向性が見えたということから、新しいアルバムのタイトルも「永遠」に決まった。
このため、ZARDの曲は「音質を意図的に悪くするようになった」と言われるようになった。
そして「永遠」がZARDの中でミリオンセラーを記録した最後のシングル曲になった。
「負けないで」がシングル初のミリオンセラーで、「永遠」がシングル最後のミリオンセラー。
自分にとって苦手な2曲の共通点は、どちらもミリオンセラーで最初の曲と最後の曲というくらいで、ZARDは「負けないで」を皮切りにヒットを連発し、「永遠」をキッカケにZARDは変わった。
しかし、ZARDが自分が望んでいない状態に変わってしまったから「永遠」に恨みがあるといったことではない。
それは「負けないで」についても同じで何の恨みがあるわけではない。
このため、別の何かが、自分の感情を刺激しているのだと思う。