開かずの踏切
ニュース番組で「開かずの踏切」について放送していた。
東武東上線「大山駅」と2つの商店街の間にある踏切の警報機が鳴り響いている。
遮断機が降りているにも関わらず踏切を渡る人がいる。
中には降りて来た遮断機に頭をぶつけている人もいる。
遮断機が上がったかと思うと、3秒後にはまた警報音が鳴り始めた。
警報音が鳴り始めて、遮断機が降りてくるまでに踏切を渡り切らないといけない。
しかし、遮断機が降りてしまい踏切内の取り残される人もいる。
取り残された人は、遮断機の下をくぐり抜けないといけない。
テレビスタッフが遮断機の下をくぐり抜けてきた人にインタビューをしていた。
女性にインタビューすると以下のように答えていた。
- まだ時間があって渡れるかな?って思ったんです。
- 普段はやらないんですけど、ちょっと急いでいたんで。
あまりにも待たされるので、降りている遮断機に怒りをぶつけている人もいる。
踏切道安全通行カルテとは?
国土交通省は、このような「危険な踏切」を「踏切道安全通行カルテ」として公表して対策を講じている。
2016年6月 | 2021年10月 | |
---|---|---|
開かずの踏切 | 532 | 539 |
自動車ボトルネック踏切 | 408 | 289 |
歩行者ボトルネック踏切 | 599 | 527 |
歩道が狭隘(きょうあい)な踏切 | 164 | 99 |
通学路要対策踏切 | 159 | 96 |
事故多発踏切 | 83 | 82 |
移動等円滑要対策踏切 | ー | 170 |
合計(上記重複分を除く) | 1479 | 1336 |
(単位:箇所) |
上の表を確認すると、2021年10月時点で「開かずの踏切」が最も多い。
しかも対策を講じているにも関わらず、増えてしまっているのはどういうことだろうか?
まず、「開かずの踏切」の定義を確認すると以下のようになっている。
- 踏切の遮断時間が1時間に40分以上
開かずの踏切の中にはピーク時で、1時間以上遮断されたままの個所もあるようだ。
開かずの踏切になってしまうのは、以下の2つの要因がある。
- 1時間当たりの運航本数が多い
- 複数の鉄道会社が使用している
東武東上線の時刻表(大山駅)を確認すると、平日の朝7時台では往復の電車で1時間に24本以上の電車が大山駅に入っている。
1時間に24本と言えば、2.5分に1本電車が入って来ることになる。
2.5分というのはあくまで、平均であり、最も短いと1分間隔で入って来る。
踏切の警報音は、列車が到達する遅くとも20秒以上前に鳴り始め、遮断機が閉じてから15秒以上経過してから列車が通過することになっている。
このため、最短でも35秒間。更に電車の駅での停車時間(混雑時だと1分~1.5分)もあるので、2分程度踏切が閉まったままになる。
2.5分間隔で2分では0.5分しか余裕がない。
これでは、開かずの踏切になるのも当然だ。
ダイヤ改正で電車の運行数が増えれば、駅に到着する電車が増える。
すると踏切は遮断時間が増えるので、これまでは開かずの踏切には該当しなかった箇所が該当するようになってしまう。
ちなみに、石川県は、踏切道安全通行カルテに掲載されているのは1件で「歩道が狭隘な踏切」になる。
場所は以下になる。
- 石川県金沢市糸田1丁目51
鉄道会社だけの問題ではない
開かずの踏切の対策を行うと言っても電車の運行数は減らせないので、線路の高架化または地下鉄化しか方法はないが、費用的なことや、電車を止めずにどうやって工事を行うのか?鉄道会社だけでは、どうにもならない要因もあるので簡単に実施することはできない。
時間ばかりが過ぎていき対策より先に「開かずの踏切」が増えてしまい前回より増える結果になる。
鉄道会社だけに押し付けるのではなく、国や都道府県市町村が一緒に考えて対策を講じていかないと、いつまでも開かずの踏切はなくらない。
開かずの踏切対策として、宮城県の「志賀街道踏切」では、踏切道の北側にバイパス、南側に自由通路を整備し交通分散により渋滞の緩和及び生活道路の安全性を向上させている。
こういった取り組みは国・県・鉄道会社が一つになることで実現できるので、良い意味で関係を密にして対策に取り組んで欲しいものだ。