寝る子は育つ
試験前夜に徹夜で勉強することを一夜漬けと言うが、試験で良い点を取ることだけを考えれば、試験直前まで情報を詰め込むことができるので、目が冴えている状態で試験に望めれば効果があると言えるのかもしれない。
しかし、日本には「寝る子は育つ」という言葉がある。
これは、単なることわざのようなことではなく、今では医学的にも立証されているようだ。
骨や筋肉を発達させるには「成長ホルモン」が必要があり、これは睡眠中に多く分泌される。
睡眠時間が短ければ「成長ホルモン」の分泌が妨げられるので、子供の成長に睡眠時間は重要な役割を果たすので、寝る子は育つというのは間違っていないことになる。
風邪などをひいた時に一晩寝るとスッキリするというのも「成長ホルモン」の働きにより、細胞が修復されたり、身体全体の疲労を回復してくれることによるものだ。
コロナ渦こそ、「成長ホルモン」が必要で、質の高い睡眠を取ることは重要だと言える。
それだけではなく、睡眠時間の長い子供ほど成績が良いという結果も出ていることから勉強・学習に「睡眠」というのは重要な役割を持っているのではないだろうか?と思った。
試験前日の失敗
自分は、勉強しようと机の前に座っても、直ぐに勉強しないで、机の上や引き出しの中をあれこれ整理することから始めるような子供だった。
整理が終わると。それで勉強したような気になってしまい結局、教科書も参考書も開くことなく、テレビを見たりマンガを読んだりしていた。
普段から地道に勉強するようなタイプではなかったので、試験前日に徹夜して勉強していた。
所謂、一夜漬け。
しかし、徹夜で勉強しても、試験が終われば覚えていないことが多かったので、なぜ一度、覚えたことを忘れてしまうのだろうか?という疑問は持っていた。
眠い状態で勉強を続けるというのが辛かったので、こんな状態で勉強を続けても時間ばかりかかって効率が悪いと思いながらも抜け出すことはできなかった。
自分の勉強方法を変えるキッカケになったのが高校生時代の失敗からだった。
中間試験だったか、期末試験だったかは忘れたが、試験前日に帰ってきてから勉強をしていた。
今日も徹夜かぁと暗い気持ちになっていた。
食事を終えて勉強をしていると眠くなってきたので、ちょっとだけ休憩しようとベッドで横になっていると、そのまま眠ってしまった。
目が覚めたのは深夜の3時を過ぎていた。
眼が覚めて正直、焦った。
夢かと思ったが紛れもない現実だった。
慌てて、勉強を始めた。
意外と頭がスッキリしていて、夜勉強するよりもすっと頭に入ってくる。
夜に睡魔と戦いながら勉強するより、ずっと楽だった。
試験の結果はというと、徹夜で勉強した時よりも勉強時間は短かったものの、いつもと変わりなかったので、自分は朝型なので、やはり夜より朝、勉強した方が良いのだと感じた。
そして「眠る」ことにより何かが変わるということも感じた。
勉強法が変わった
これまで試験で合格点を取れれば良いということで「一夜漬け」で試験勉強を行っていたが、これを以下のように変えることにしてみた。
- 毎日の学校の授業を真剣に聞く。
- その日は復習はしないで自由な時間とする。
- 決まった時間に寝る。
- 起きたら前日の内容を復習する。
- 復習は問題を解くことを中心に行う。
これだと試験前日に寝るという冒険をする必要がないので精神的には、かなり楽だ。
同じことを最低2回学ぶことになるので、記憶も定着しやすいのではないかと思った。
復習だけなら1日1時間程度で終わる。
試験前日に寝てしまうという失敗から勉強方法が変わった。
すると成績も安定するようになった。
それまでは、前日に勉強した個所がどれだけ試験に出てきたか?で成績が上下していた。
しかし、勉強方法を変えてからは少なくとも試験問題を見て初見だということがなくなった。
そして、同時に「睡眠と学習」について興味を持つようになった。
睡眠学習
ある時、「睡眠学習」という勉強法のことを友人から聞いた。
睡眠学習というのは、寝ている間に記憶させたいことを音声で流すと記憶してくれるというもので、寝ている間に記憶してくれると随分昔に流行していたとか。
しかし、睡眠中に聞いたことが本当に記憶されるのかを実験したところ睡眠中に聞いたことは記憶されないことが立証された、流行は収まった。
しかし、人間は起きている間に記憶したことを寝ている間に再生すると記憶が定着することがわかってきた。
寝ている間に再生?
どういうことか?
被験者に物の位置を記憶してもらいながら、バラの香りをかがせた。
その後、眠っている間に一部の人に再びバラの香りをかがせたところ、匂いの刺激を受けた人は、受けなかった人より正確に物の位置を思い出すことができることがわかった。
その後、次のような実験も行われている。
被験者が起きている時にパソコンの画面に出てくる50種類の物の位置を覚えてもらった。
その際に、ネコなら「ニャー」という鳴き声、やかんなら「ピー」という音など、対象物と関係のある音を聞かせた。
その後、被験者に仮眠を取ってもらってノンレム睡眠の間に起きる、深い睡眠の状態である「徐波睡眠」の間に、先ほどの音を聞かせた。
目覚めた被験者たちに物の位置を聞くと、眠っている間に聞いた音に関連する物についてはよく記憶していた。
「ニャー」という声を聞いた人はネコの場所を、「ピー」という笛を聞いた人はやかんの場所を思い出しやすかった。
つまり、寝ている時に覚えていないことを音声で流しても記憶に残ることはないが、一度、覚えたことを寝ている時に、記憶していた時の状況を連想するようなキッカケを与えたり、起きている時に覚えたことを連想するようなキッカケを寝ている時に与えることで、覚えたことが再生される。
その結果、記憶が定着するということになる。
睡眠学習は効果があるのか?
一見すると、なるほど!という気がする。
やり方次第で、効果はないとは言い切れないが、効果があると断言できるほど仕組みが出来上がっているわけではないので、未来のある学習法だというのが自分の結論になる。
一番、疑問を感じているのは、成長ホルモンの分泌を阻害するのではないか?ということだ。
成長ホルモン寝ている時に多く分泌されるのだから、睡眠のを阻害するような音声を睡眠中に流すというのは、睡眠を浅くし成長ホルモンの分泌に影響を与えてしまう気がする。
この部分の答えが見つけることができなかった。
やはり、地道に毎日の積み重ねを繰り返していくというのが今の人間の記憶の仕組みに一番合致しているのではないかと思う。