いつもの書店で
書店をブラブラしていると、「三千円の使い方 原田ひ香」という本に目が止まった。
タイトルではなく、著者の名前の方が気になった。
「はらだ ひか」?なぜ、「ひか」ではなく、「ひ香」?
男性なのだろうか?女性なのだろうか?
そんなことが気になって手に取ってみた。
元々は「中村比香」という名前だったようだが、偶然乗ったタクシーの運転手が姓名判断をしている人だった。
「原田ひ香」という名前を勧めてくれたことで改名したということだ。
確かに「中村比香」という名前だったら、「三千円の使い方」という本に目が止まることも、手に取ることも、なかったかもしれない。
三千円の使い方
この本は、短編小説で「三千円の使い方」は最初の話になる。
以下の文から始まっている。
- 人は三千円の使い方で人生が決まるよ、と祖母は言った。
どういう意味かというと・・・
- 三千円くらいの少額のお金で買うもの、選ぶもの、三千円ですることが結局、人生を形作っていく、ということ
主人公の女の子は、お年玉でもらった三千円を「アンの愛情」という本と友達と何回かマクドナルドに行って使い切ってしまったが、主人公の姉は、母親とデパートに行ってエナメルで、できたピンクの財布を自分のお小遣いを足して買った。
祖母は「二人の性格がよく出ているじゃないか」と言った。
その時、主人公は祖母の言った言葉の意味が理解できず、本が好きな妹と、かわいいものが好きな姉というだけで、それは性格ではないと思っていた。
そして、一人暮らしをするような年齢になった時にポットがなかったのでガラス製のポットを買おうとした。
ガラス製なので、中に入れたものの色がわかるし、白を基調とした部屋のインテリアにも馴染むと考えていた。
価格は、ピッタリ三千円。
主人公は姉が買ったポットのことを思い出した。
珈琲用の琺瑯のポット。
カリスマの節約主婦がオススメするものだ。
お湯を沸かせて「やかん」としても利用できる。
これをお金を少しずつためて買った。
価格は3980円
お金の使い方には性格が出る
とても、読みやすい文で、ついつい読み進めて、「三千円の使い方」の話を全部読んでしまった(笑)
このまま、元の場所に戻すのは申し訳ないのでレジに向かった。
本屋で手にとった本は、パラパラと、めくるのが日常で、最初から読み進めてしまうということは、珍しい。
家に帰り改めて読んでみた。
姉はお金を節約し計画的に貯めて目的のものを買うという性格に対し、妹の方は節約とは無縁で、無計画で細かいことは気にせずにお金を使ってしまう。
祖母が言ったように、お年玉の使い方、ポットの買い方には性格が出ている。
毎日100円を貯める
小説の中で、毎日、100円貯めれば1ヶ月で3,000円という話が出てきた。
毎日100円を貯めようと思えば普段の何かから100円を捻出しないといけない。
妹は普段、コーヒーショップで当たり前のように飲んでいた484円のプラペチーノが無駄だということに気づいた。
同じコーヒーショップでもアイスコーヒーにすれば、319円。
コンビニなら更に安くなって100円だ。
こんな風に考えるのが、お金を貯める第一歩のように書かれていた。
毎日100円でも1年続ければ36,500円になる。
普段、何気に会社の自販機で飲み物を買って飲んでいるので「主人公」と自分が重なってしまった。
大切なのは、貯めたお金をどう活かすか?ということになる。
小説の中では口座を作り「投資信託」インデックスに連動したものに毎月積み立てていくというものだった。
毎日の飲み物で費やすはずだったお金だと思えば、リスクはあっても気楽につぎ込めるのではないかと思う。
溢れた水を飲む
ビジネス書などでお金の貯め方を比喩した表現として書かれあることで、コップの水は溜まったら直ぐに飲むのではなく、零れ落ちた部分を飲むんだという言葉がある。
水がお金だとすると、コップに溜まった水を全部飲んでしまうと1円も残らないが、溢れた水を飲むのであればコップの水はそのまま残る。
普段何気なく、コップに水を注いで飲んでいるが、お金を貯めるということに関しても何気なくお金を使っていることは多いのではないだろうか?
コーヒーショップでプラペチーノにお金を使えば494円になるが、コンビニでアイスコーヒーを買えば、100円なので394円が溢れ落ちていることになる。
この零れ落ちた、お金を貯めていかないとお金は貯まらないということだと思う。
今回、三千円の使い方を読んでみて、細かい点ではあるが考えさせられたので、興味のある方は、読みやすい本なので一読されてはどうだろうか?