前澤氏が宇宙へ
株式会社ZOZOの創業者「前澤友作」氏が民間人としては日本人としては初めて、国際宇宙ステーション(以下ISSと記述)にロケットで到着した。
その費用が100億円と言われているので、「金持ちの道楽だ」、「金で夢を買ってんじゃねえよ」といったことを一部の人だと思うが、言っている人もいるようだ。
2021年7月にはAmazon創業者の「ジェフ・ベゾス」氏が自身が保有する企業のロケットで宇宙に行った。
ジェフ・べゾス氏の場合は、ロケットで打ち上げて最高高度(約107Km)に達したあとはパラシュートで降下するという、遊園地のフリーフォールのような宇宙旅行だったが、前澤氏は「ISS」に滞在する。上空400Kmの高さに位置するのでジェフ・ベゾス氏の時の約4倍の高さになる。
ISSは15の国々で共同運営されている宇宙の実験施設になる。
ISSに滞在するためには、厳しいメディカルチェックを受けたのち、合格しないと次に進めない。
ISSの中は15の国のエリアに分かれているので、各エリアで生活するためには、世界各国でのトレーニングが必要になる。その後、ロシア(ガガーリン宇宙飛行士訓練センター)での最終訓練を受けたのち、試験に合格して初めてISSでの滞在が認められる。
メディカルチェックは8Gの重力、心拍負荷、低酸素訓練、重力変化の耐性テストといった自分達が病院で受ける内容とは別の苦しい環境でのチェックになる。
メディカルチェックで合格したのち、前澤氏はロシアに渡り100日間の訓練を受けた。
ロシアでの訓練なので、英語だけではなく、ロシア語も覚えないといけないので言葉の壁もあった。
全ての訓練を受けて、試験に合格してISSに滞在できたことになる。
更にメディカルチェックを受けるまでにも、7年間を要しているので、単純に100億円を払ってロケットに乗り込んでISSでの滞在ができるようになったわけではない。
これでも、お金で夢を買ったと言えるだろうか?
宇宙飛行士になればいい
宇宙に行きたいなら、100億円も使わずに宇宙飛行士になるという方法もあるというかもしれない。
しかし、宇宙飛行士になるには色々な条件がある。
例えば、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の場合だと、宇宙飛行士候補者の募集に応募し、採用される必要がある。
応募の条件もある。
応募条件
- 理学部、工学部、医学部、歯学部、薬学部、農学部など自然科学系の大学を卒業し、自然科学系の研究、設計、開発などの実務経験を3年以上持つ40歳程度までの日本人であること。
前澤氏は上記の条件を満たしていなかった。
仮に満たすように努力をしたとしても選ばれる保証はない。
一度は諦めた夢
前澤氏はおそらく、一旦は宇宙への夢は諦めたのだろう。
だから会社を設立した。
1995年に有限会社スタート・トゥデイを立ち上げ、アパレルのオンラインショッピングサイト、ZOZO TOWNを作った。
そしてZOZOは売り上げを伸ばしていくと、宇宙への夢が復活してきた。
しかし、宇宙飛行士になるのは難しい。
だったら、前澤氏が所有している株を売却すれば、宇宙に行ける可能性がある。
2019年に、ヤフー(現:Zホールディングス)に売却し、2019年11月22日付で前澤氏の通帳には、102,008,741,097円の振り込みが記入されていた。
12桁の数字なので、通帳には3桁区切りのカンマを印刷することもできていない。もう1桁多い額、つまり1兆円だと通帳には印刷できないことになる。
これだけの、お金を手に入れることができる人が日本に何人いるのだろうか?
どうすれば、その何人の中に入れるのだろうか?
そう考えると「金持ちの道楽」と簡単に言えなくなるはずだ。
前澤氏が叶えた宇宙への夢は、結果的にはJAXAの宇宙飛行士候補者に応募して採用されるよりも難しい方法だったのではないだろうか?
お金だけでは叶えられない夢
夢の中には、お金だけでは叶えられないものがある。
宇宙で滞在するという夢も、その一つだと思う。
宇宙に行くロケットは、今の飛行機のようにチケットを買えば、メディカルチェックも、訓練も行うことなく普段着のまま気軽に行けるというものではない。
前澤氏のように宇宙に行くにはお金がないとダメだが、お金があっても厳しいチェック、訓練に耐えられないと実現しない。
金で夢を買ったという人は、前澤氏が、それまでに行ってきた努力をしたことがあるのだろうか?
金持ちの道楽だと言ってる人は通帳にカンマが印刷できなくなるほどの金額が振り込まれたことがあるのだろうか?
どちらも、自分には努力もしないで批判ばかりしている人にしか思えない。
批判している時間があるなら夢を叶える努力をした方がいいのではないだろうか?
前澤さんのことは正直、好感は持っていないが、宇宙に行くという夢を実現したことは正直、凄いと感じた。