新しい資本主義実現会議の第一回では、ビジョンと具体化という議題で行われたが、正直なところ、どこが新しい資本主義なのかは理解出来なかったし、具体化という面でも、具体化を想像させる内容ではなく的外れだったように感じた。
新しい資本主義実現会議 第ニ回
第二回は「緊急提言(案)について」という議題だった。
何のころだろうか?
議事次第を見ても、「緊急提言(案)について」しか書かれてない。
緊急提言(案)概要を見てみると、以下のようなことが書かれてある。
Ⅰ:新しい資本主義の起動に向けた考え方
Ⅱ:成長戦略
Ⅲ:分配戦略
- 民間部門における長中期も含めた分配強化に向けた支援
- 公的部門における分配機能の強化
どこが、緊急提言なのだろうか?
内容を読み進めてみた。
どうやら、新しい資本主義というのは、世界各国で行われており、そして内容は、持続可能性や「人」を重視し、新たな投資や成長につなげるというものらしい。
つまり、岸田総理が日本の問題や課題から到達した解決案ではなくて、世界各国で行われているので、日本でも実施しないといけないという「パクリ」だった。
そして「具体的には」ということで以下の内容が書かれてあった。
1980 年代以降、短期の株主価値重視の傾向が強まり、中間層の伸び悩みや格差の拡大、下請企業へのしわ寄せ、自然環境等への悪影響が生じていることを踏まえて、政府、民間企業、大学等、地域社会、国民・生活者がそれぞれの役割を果たしながら、格差の是正を図りつつ、民間企業が長期的な視点に立って「三方良し」の経営を行うことで、現場で働く従業員や下請企業も含めて、広く関係者の幸せにつながる、長期的に持続可能な資本主義を構築していく必要がある。
全てを市場に任せるのではなく、官民が連携し、新しい時代の経済を創る必要がある。
その際、人的資本や無形資産、社会・自然環境・人権への配慮などを可視化すること
で、成長の質や長期的な企業価値を評価するための環境を整備することが重要である。
成長と分配の好循環の起爆剤として、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーン分野の成長を含めた科学技術立国を推進し、イノベーション力を抜本的に強化する必要がある。
その際、民間がイノベーションを起こし、それを官が支援することを基本とする。また、イノベーションを社会課題の解決に活用することで、利便性の高い社会を作るとともに、地方の中堅・中小企業や下請企業、スタートアップを含めて、幅広い産業や企業の生産性向上を促進し、豊かな中間層を生み出していくことが重要である。
製品だけでなく、サービスのイノベーションも進めていく必要がある。
逆に、従業員に賃金の形で分配してはじめて、消費が拡大し、消費拡大によって需要
が拡大すれば、企業収益が更に向上し、成長につながる。分配戦略は、成長を支える重要な基盤である。
さらに、成長と分配を同時に実現するためには、幼児教育・保育や小中学校から企業
内まで、「人」への投資を強化する必要がある。多様性(ダイバーシティ)と包摂性(インクルージョン)を尊重し、女性や若者、非正規の方、地方を含めて、国民全員が参加・活躍できる社会を創り、一人一人が付加価値を生み出す環境を整備する必要がある。
また、リカレント教育やセーフティーネットの整備を通じて、やり直しのできる社会、誰一人として取り残さない社会を実現する必要がある。働く人の評価や処遇を成果に基づき行う慣行を定着させる必要がある。
このような視点を含めて、我が国においても、成長戦略によって生産性を向上させ、
その果実を働く人に賃金の形で分配することで、広く国民の所得水準を伸ばし、次の成長を実現していく「成長と分配の好循環」の実現に向けて、政府、民間企業、大学等、地域社会、国民・生活者がそれぞれの役割を果たしながら、あらゆる政策を総動員していく必要がある。
最後に書いてあった。
- 本緊急提言は、早速、実行すべきものは実行に移し、新しい資本主義を起動するため、当面、岸田内閣が最優先で取り組むべき施策を整理するものである。
更に言えば、どれが早速、実行すべきものなのだろうか?
今回、書かれていることが全てだとしたら、直ぐに実行できるはずがない。
読んでいて疑問ばかり出てきた。
- 新しい資本主義というのは、白紙状態だったはず。それで早速実行すべきものというのは、この会議で決まったら実行するということなのだろうか?
- 短期の株主価値重視の傾向が強まったことで、中間層の伸び悩みや格差の拡大、下請企業へのしわ寄せ、自然環境等への悪影響が生じているということなのだろうか?
- 成長の質や長期的な企業価値を評価するための環境がなぜ必要なのだろうか?
- 従業員に賃金の形で分配とあるが、消費が進まない環境で、どのように賃金を分配するのだろうか?スタートアップ企業を推進したりしても肝心の消費が生まれやすい環境、一番多い、日本で最も多いとされる中間層・貧困層が経済的に余裕がでない限り富裕層ばかりが消費しても日本経済の活性化はない。
- やり直しのできる環境ということで、セーフティーネットの整備とはどのような整備を指しているのだろうか?リカレント教育のことなのだろうか?
- 我が国企業のダイナミズムの復活というのは?ダイナミズムというのはここでは「勢い」のことを指しているのだろうか?わざわざカタカナにする理由があるのだろうか?
科学技術立国の推進
第二回の会議の中で「科学技術立国の推進」という内容があった。
10兆円規模の大学ファンド・大学改革という内容が最初に挙がっていた。
結局は「人」ではなく「金」で解決しようということだ。
人を育てるには大学生になってからでは遅い。小学校に入る前から育てなければ意味がない。
三つ子の魂を受け継いだ大学生を育ててどうなるというのだろうか?
科学技術立国が1年や2年で実現できると思っているように感じられる。
第二次世界大戦に負けて、全てを失った日本が短期間で経済大国になれたのは、どうしてなのか?を理解していない証拠だと思う。
デジタル田園都市国家構想とは???
何のことだろう?
「新しい資本主義実現会議」で公開されている資料には以下のように書かれている
- 新しい資本主義は、地方からスタートする。過疎化や高齢化といった地方の課題
にデジタルを実装することで解決する「デジタル田園都市国家構想」を起動する。
デジタル田園都市構想の中に、「テレワーク・ドローン宅配・自動配送などデジタルの地方からの実装」という内容がある。
ドローン宅配・自動配送というのは、安全面を考えれば直ぐに実現できる内容のようには思えないので現時点で、このような話を持ち出すこと自体が緊急性には反する。
現状、配送業者が1件1件配達しているので負担が大きくなるのであって、PUDOステーション、Amazonロッカーのような宅配便ロッカーをコンビニ・スーパーなどの近所に配置してくれれば買い物のついでに引き取りに行けるので宅配業者の負担は減るはずだ。
しかし、現状は、Amazonで注文する際に、PUDOステーションを利用したくても、指定ができない。再配達になっても、なぜかPUDOステーションを利用できない場合もある。
PUDOステーションを利用できない方が問題なので、宅配便ロッカーをもっと普及させるべきだと思う。
もう一つ、高齢化による買い物難民の問題もある。
地方の高齢者で免許を返納できない大きな理由として自動車がないと買い物に行けなくなることがある。
近所に国営のストアを作ることで定年を過ぎた人の再雇用の場にもなると思う。
配達業者の負担軽減や買い物難民の問題はデジタルでは解決できる問題ではない。
そもそも、このような会議の内容は高齢者にも理解できる言葉で話し合わないと高齢者には理解できない。
今回も、前回同様にまだまだ具体化されていたとは言えない内容だった。
次回に続く