好きな本を10冊選ぶ。
正直、難しい。
このため、ランキングという方式ではなく、「テーマ別」に選んでみたい。
1:繰り返し読んだ本
まず、これまでに読んだ本で一番多く、繰り返し読んだ本となると・・・
最初に思い浮かんだのは「Delphiオブジェクト指向プログラミング」(塚越 一雄著)
Delphi(デルファイ)というのは、プログラミング言語で、デンマークのプログラマで、アンダース・ヘルスバーグが開発した。
昔、一世を風靡した、ボーランド社のTurbo Pascalを開発した人でもある。
そして、直近だと、.NET Framework及びC#の開発者だ。
この本は、以下の3部作のうちの最終作になる。
実は、Delphiの前に、マイクロソフト社の「Visual Basic」との出会いがあった。
Visual Basicは、自分の中では一番の衝撃だった。
フォームにコントロールというWindowsソフトの基本となる部品を配置するだけでWindows上で動作するプログラムが作れる。
割り込み処理はフォームやコントロールに用意されているイベント処理内に処理を書くだけで良い。
とにかく、全てが新しくそれまでのプログラミングとは全く違う考え方でプログラムを簡単に作成できた。
Visual Basicの本を買って読んだ時には、こんな開発言語があるとは信じられなかった。
新しく作るソフトウェア、これで作るんだと、「Visual Studio Professional」を注文した。
しかし、残念ながら、Visual Basicは、動作がとても遅かった。
何故なら、インタプリタ(プログラム実行時にCPUが理解できる形式に翻訳する)だったからだ。
それでも、Visual Basicによって「オブジェクト指向」という考え方に興味を持つようになった。
「オブジェクト指向」というのは、これまで、実行することを順番に書いていくだけだったプログラミング手法ではなく、クラスという設計図からインスタンス(オブジェクト)作り、これらを組み合わせることで基本的なプログラムを作り上げていくプログラミング手法になる。
GoTo文を使わないプログラムというのは、N88-BASICを使っていた頃は考えられない考え方で衝撃的だった。
そして、オブジェクト指向で作れるものがないかと探していき、「Delphi」はコンパイラという実行時に逐次翻訳を行うタイプではなく、コンパイルという作業を追加することで翻訳済みの状態にしてくれるタイプのものだった。
Delphiに添付されていた、マニュアルは非常にわかりやすいものだったが、概要だけは頭に入れておきたかったので、入門書(何を購入したか忘れた)を1冊購入した。
その後、オブジェクト指向について、もっと知りたくて見つけたのが、「Delphiオブジェクト指向プログラミング」ということになる。
2:挫折した本
7つの習慣( スティーブン・R・コヴィー著)は未だに読み切ることができておらず、何度も挫折した本になる。
自己啓発本の代表作の一つで世界的ロングセラーであり、名著なので、説明の必要はないと思う。
これは読むのが難しくてということではなく、第一の習慣から実際に行っていきながら読んでいたからで、その第一の習慣がなかなか取得できずに次に進めずに挫折したということになる。
何度挫折したか、数え切れない。
今も「第一の習慣」で止まっているので本自体は読み終えていないことになる。
しかし、7つの習慣のセミナーに参加したので、第一~第七の習慣までについては理解はできている。
この本を読み終えるは、きっと自分のライフワークになると思う。
3:今の自分を作ってくれた本
少女漫画なので少し恥ずかしいが、「エースをねらえ」になる。
スポーツ漫画と言えば、必殺技とか魔球といった、実際にはあり得ないような技が出てくる漫画が多いなか、この漫画は、テニスの王道を目指す内容だった。
テニス初心者の「岡ひろみ」に才能を見出したコーチの宗方仁が指導して日本を代表する選手に育てていくという内容になる。
漫画の中で、一番、印象に残ったのは、宗方コーチの以下の言葉。
- ありえない技ににげるその精神の弱さが問題だ。
小手先の邪道にはおちるな。
目指した以上は堂々とテニスの王道をいけ!
それまで、野球でもサッカーでも魔球だの何だの、あり得ない技に必死になっていた自分の性根を叩き直してくれた言葉で、今でも、「王道」つまり「基本」を大切にする考え方が自分には染みついている。
4:食のバイブル
「エースをねらえ」が自分の基礎を作ってくれた本だとすると、「美味しんぼ」は、食に対する考え方を教えてくれた本になる。エースをねらえのように名言が連発されるような内容ではなく、一話ごとがまるで、実際に体験していることのように感じられた。
このため、読み進める都度、食に関する経験を積み重ねていくことができた。
残念なのは、勝負ばかりが増えてしまい37巻激突 アボリジニー料理!!で、読むのが嫌になり途中でやめてしまったことだ。
できれば、勝負形式よりも、何気ない日常を背景にした話を展開していって欲しかった。
しかし、それまでの内容だけでも、色々な経験ができたのは間違いないので、食に関する教科書であることに変わりはない。
5:何度も助けられた本
ティック・ナット・ハンというベトナムの僧侶が書いた、「微笑みを生きる」本を偶々、書店で手に取って読んでみた。
過去でもなく、未来でもなく「今」この一瞬を意識する。
具体的には、自分の呼吸に意識する。
「吸った」、「吐いた」、「吸った」
これにより、どれだけ救われたか・・・
大勢の前で話すことになり、緊張した時、もう、どうにもならないと追い込まれた時、これまでに何度となく、逃げ出したくなるような場面に遭遇したが、その都度、今を意識することで救われた。
この方は、一時期、話題になっていた「マインドフルネス」という言葉を考案した人であり、キング牧師の推薦により、1967年度のノーベル平和賞の候補にもなった、凄い人だ。
しかし、自分にとっては、「今」を意識することを教えてくれた凄い人だ。
6:問題を解決できるようにしてくれた本
ロジカル・シンキング(照屋 華子 (著), 岡田 恵子 (著) )という本を読んで、ロジカル・シンキングについて興味を持った。
しかし、当時は具体的にどう使うのかがピンと来なかった。
その後、マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書(大嶋 祥誉 (著))を読んで、問題の本質を見抜くことの重要性を思い知らされた。
「問題解決」をテーマにロジカルシンキングの技術が使われていた。
問題を分解するのに、ロジックツリー、具体的に問題を分解するために、「モレなく、ダブリなく」こんな風に使うものなのか・・・と二つの本の内容が一致した。
これがキッカケで、「7つの習慣」、「ロジカル・シンキング」、「マインド・マップ」の3つをマスターしていれば、何でもできると思った。
7:複雑なことが整理できるようになった本
基幹システムの買掛・売掛・会計部分を担当していたころの話になる。
頭がよくなりたいと思って、本を探していると、「トニー・プザン 頭がよくなる本」(トニー・プザン著)という、そのまんまの本を見つけた。
その中に、マインドマップについて書かれてあった。
中央にテーマとなる内容を簡潔にまとめて書き出す。
それを中心として枝葉を同じく簡潔にまとめて繋げていく。
まるで、脳が記憶する時のように。
買掛・売掛・会計の仕様書は凄い量があり、一度読んだ程度では全体が繋がらない。
つまり、わからない部分が多いということになる。
何とか、理解できないものかと、買掛システムの仕様書の内容をマインドマップにしてみた。
すると、それまでバラバラだった内容が全て頭の中で繋がった気がした。
何かあれば、自分で描いたマインドマップを見るようになった。
マインドマップであれば1枚の紙に収まっているが、仕様書は大量な紙があるので、そこから探すのは大変だった。
分からないことがあればマインドマップを見ることを繰り返している内に、全体が繋がるようになっていた。
それ以来、複雑なものは、マインドマップにして頭の中を整理するようになった。
8:お金に関する考え方を学んだ本
マイホームは資産ではなく、負債だ。
資産と負債の違いを考える必要があることに気づかせてくれたのが、「金持ち父さん貧乏父さん」(ロバートキヨサキ著)だった。
お金は消費するのではなく、投資しろ。
消費とは資産にならないものを買うことで、投資は資産になるものを買うことだ。
1年間仕事が出来なくても収入が得られるか?いくら高い給与をもらっていたとしても、自分が働かないと収入がなくなるのでは、真の金持ちとは言えない。
真の金持ちの所得は勤労所得ではなく、不労所得だ。
この本は、お金について、自分がこれまで考えていたことを根底から覆してくれた。
9:ホテルに泊まる楽しさを教えてくれた本
ホテルに泊まるといふこと(林 俊介 著)を読んで、一流ホテルほど、家と同じように居心地が良いものだということだと考えられるようになった。そして、この本の最初に書かれていたのが、「フォーシーズンズホテル椿山荘 東京」
今の、「ホテル椿山荘東京」のことだ。
この本を読んで、フォーシーズンズホテル椿山荘 東京に宿泊してみたいと思った。
外資系の先駆けと言われた高級ホテルで、本を読むまでは自分にとって敷居が高いホテルだった。
初めてこのホテルに宿泊するためにタクシーで向かった。
最寄り駅からだと長い坂があり、夏の暑い日に登るのは大変だったので東京ドーム近くでタクシーに乗って向かった。
タクシーが車寄せに入ろうとしたときに、左側の駐車場を見ると「ランボルギーニ・カウンタック」が当たり前のように停まっていた。
部屋まで案内してくれた女性は、自分が窓から外を見ている間、何も言わずに、ずっと待っていてくれた。
我に返り、振り返ると何もなかったかのように、部屋の説明をしてくれた。
一流と言われたホテルの凄さを感じた。
これまで、東京の高級ホテルに関してはほぼ、宿泊した経験があるが、その中でも「フォーシーズンズホテル椿山荘 東京」が一番、居心地が良かったホテルだと言い切れる。
10:撮影の心構えを学んだ写真
最後は、写真集。
偶然、徳光ゆかりさんの写真を見つけた。
言葉での表現は難しいが何気ない写真だが、ずっと見ていたいと思えるものだった。
山や海に行った時に、素晴らしいと感じる景色に出会うことがあると思う。
そんな景色に出会えば、ずっと見ていたいと思うのではないだろうか?
徳光ゆかりさんの写真は、何気ない場面を素晴らしいと感じさせてくれるそんな写真だと思う。
それで、最初に買った徳光さんの写真集が、「ジャポン・ヌーボー―新日本写紀 徳光ゆかり写真集」になる。
徳光ゆかりさんの写真は、「こころ優先」だという。
最近のカメラには「絞り優先」「シャッター速度優先」の二つのモードが搭載されている。
絞りはレンズから入る光の量を調整することで、シャッター速度というのは、レンズに光を取り込む時間になる。
絞りとシャッター速度を調整することで露出(光を取り込む量)が決まる。
光をたくさん取り込めば明るい写真になり、少なくすれば暗い写真になる。
適切な量にすれば、人間が見たままの写真になる。
絞り優先というのは、レンズから入る光の量を固定にしておき、シャッター速度を変えることで適切な露出にする機能のことで、シャッター速度優先は、シャッター速度を固定して絞りを変えることで適切な露出にする機能のことになる。
これらの優先機能に、なぞらえて、撮影者の「こころ」を固定にして撮影することを、こころ優先と名付けたのだと思う。
徳光さんの写真は「こころ優先」で撮影されているから、いつまでも見ていたいと思える写真になるのだと思う。