パスタとスパゲティ
以前は、イカスミパスタと呼ばれていたはずだが、今、検索してみるとイカスミスパゲティという名前の方が多く出てくる。
スパゲティというのは、パスタの種類の一つで、紐のような細長いものを指す。
こんなことを書いていると、最近、イカスミスパゲティを食べていないな?と思うかもしれないが、まさにその通り(笑)
では、イカスミパスタのことを本場、イタリアでは、何と呼んでいるのか?
「Spaghetti al nero di seppia」日本語だと、イカスミのスパゲティとなる。
「nero di seppia」でイカスミ。
seppiaというのはセピア色のことではなく、Seppia(甲イカ)という種類のイカを指す。それで、neroというのが、黒・墨という意味になる。
「pasta al nero di seppia」で検索しても出てくるので、どちらでも間違いではなさそうだ。
パスタには以下のようなものがある。
自分が子供の頃は、スパゲティを食べに行こうと言ってたが、知らない間に「パスタ」を食べに行こうに変わっていた。
そして、今はまたスパゲティに変わっている。
これは一体、どういうことなんだ?
イカスミソースのマカロニサラダというのはある。
じゃあ、イカスミラザニアは?これも、イカスミラグーのラザニアだ。
色々、難しいイタリア料理
何とも難しいイタリヤ料理。
更に、難しかったのがフォークとスプーンでスパゲティを食べることだった。
フォークとスプーンで食べるのは日本だけだと言われているが、目の前で友人が実に器用にスプーンの上でフォークを使ってパスタを巻いて食べている姿に憧れさえ感じた。
子供の頃からスパゲッティをフォークとスプーンで食べるなんてことは教わっていなかった。
それどころから、フォークで食べることさえしてこなかった。
自分の家では、ここは日本でありスパゲティを食べるのも箸で食べれば良いという方針だったので、スパゲッティは箸で食べていた。
店で食べる時も箸を用意してもらえば良いという考え方だった。
このため大人になり、スパゲティは普通、フォークとスプーンで食べるものだということを知った時に、イタリア料理に対して苦手意識が生じた。
このため、友人たちとイタリアンの店に行ってもフォークで巻いて食べないといけないようなパスタ料理を注文することはなかった。
しかし、いつまでも、そんなことを続けていてはいけないということで、自宅で食べる時に箸ではなくフォークで食べるようにして練習を開始した。
なぜ、フォークとスプーンではないかというと、フォークだけの方が簡単な食べ方で、スプーンを使う方法は、次のステップだと思っていたからだ(笑)
実際にはフォークだけで食べる方が難しいということを知ったのは、もっとあとになる。
最初は、思うがままに巻いてみた。
まず、なかなか巻けない。
フォークだけが回ってパスタが引っかかってこない。
何度か繰り返していると巻けるようにはなったが、口に入らない程、パスタがフォークの先に丸まってしまう。
こんなことを繰り返しているうちに、一つのことに気が付いた。
フォークで巻くパスタの本数が多いから巻いていくと、どうしても口に入らないようになってしまうので、数本だけをフォーク先に引っ掛けるようにして巻くようにすると、丁度良い感じになった。
更に、フォークの先に数本引っ掛けることでスムーズに巻けるようになった。
あとから知ったことだが、フォークでパスタを巻くときは半時計周りに巻くとソースが向かい合わせの方に飛び散る可能性があるので時計回りに巻くというのがマナーだそうだが、運よく最初から時計回りに巻いていた。
そしてスパゲティを箸で食べるよりフォークの方が食べやすいとさえ感じるように、なった。
こうして、スパゲティをフォークで食べることに対してのコンプレックスを克服できたので、イタリアンの店に行くことも、パスタを注文することにも抵抗はなくなった。
そして、フォークだけで食べることができれば、スプーンを使う理由もないので、スプーンを使って食べることは結局しなかった。
イカスミパスタとの初対面
そんなある日、会社の同僚とイタリアンの店に行くことになった。
その時に、イカスミパスタを食べようということになり、全員がイカスミパスタを注文することになった。
みんなで食べれば歯が黒くなっても怖くないという理由だったと記憶している。
自分は、その時、イカスミパスタを食べたことがなく、内心、ドキドキしていた。
それに、イカスミパスタを食べることには抵抗があり、食べると歯が黒くなるということに対して凄く抵抗があった。
頭の中は、歯が黒くなることばかりで、その時の会話は頭に入ってこなかった。
テレビなどで見たことはあり、大体が食べたあとに、真っ黒になった歯を見せていたので、イカスミパスタを食べると歯が黒くなるということだけは周知していた。
しかし、あんなイカの墨をソースにしたパスタが美味しいのだろうか?そして食べられるのだろうか?という不安の方が強かった。
そんなことを考えている間に注文されてしまった。
暫くすると、イカスミパスタが出されてきた。
初めてみるイカスミパスタだった。
真っ黒で、美味しそうには見えない。
勝手に、生臭い、炭のような味がするものだと決めつけていたので、なぜ、こんなものを食べたいのだろうか?と不思議だった。
食べないわけにもいかず、勇気を出して食べてみた。
想像していた味とは全く違って、生臭くもなく、炭のような味も全くなかった。
しかし、まずいものだと決めてつけていた脳が味を正確に理解しようとしなかったので、美味しいとまでは感じることができなかった。
何より、歯が黒くなっているのでは?ないかと不安だったことの方が味をわからなくさせたような気がする。
同僚たちは舌が黒くなった、歯が黒くなったと盛り上がっていたが、自分はその光景を見て怖さが増したので、一生懸命に存在感を無くすことに徹していたが、見つかり歯を見せることになってしまった。(泣)
このため、イカスミパスタを食べたのはその時、1回限り。
そして、イタリアンに関しては、このような嫌な経験が続いたため、今でもどこか苦手意識があるので好んでは行ってない。
親の価値観を押し付ける食育は問題あり
そう考えると、食育というのは重要で、親の価値観を押し付けるというのは、後々、恥ずかしい思いをすることにもなる。
少なくとも、スパゲティは箸で食べるよりも、フォークで食べた方が美しく食べられるのは間違いない。
しかし、日本人には、麺は一気にすすって食べた方が麺に絡んだ汁を落とさずに食べられるので美味しいといった文化がある。
つまり、マナーよりも美味しく食べる方を重視する部分があるように思う。
それを無視してしまうと、自分のように苦手意識を持ったり、恥をかくことになる。
日本は世界中の料理が食べられる国でもあるので、食べ方というのは、子供の頃から和にこだわることなくグローバルに経験させてあげる必要があると思う。