はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」
少年自然の家
小学生の時に「少年自然の家」に行った時のことは今も楽しい思い出の代表です。
立派な宿泊施設ではなく、高級な食事が出たわけでもありません。
僕の小学5年~6年の頃ってみんなが仲が良くて毎日が楽しかったです。
遠足に行っても、運動会も、みんな一緒に笑ったり泣いたりしていたので、人間関係で悩むということがありませんでした。
そんな時に少年の家に行って皆でお泊りで出かけられるというのは、とても楽しみなことでした。
みんなと食事をして夜まで遊んで、一緒に寝て、朝起きるとまた、朝からみんなと一緒にいられるんです。
こんな楽しいことはありません。
オリエンテーション?
到着すると最初に、オリエンテーションだと言われました。
正直、何のことかわかっていませんでしたが、施設内の説明や注意事項などを話してくれていたような気がします。
これから、みんなと何をしようかということばかり考えていて、ほとんど聞いていなかったと思います。
山登り
オリエンテーションのあとは、みんなで山に登りました。
山に登るというよりは、どちらかというとハイキングのイメージですね。
山道をみんなでワイワイ話ながら歩いていた感じです。
昼食は山頂で食べました。
おにぎりとお茶、それと各自が用意した「おやつ」を食べただけでしたが、山頂で食べると何故か、普段より何倍も美味しく感じました。
帰ってきたのは、午後3時くらいだったでしょうか?
帰ってくると、風呂に入りました。
小学生が風呂に一緒に入れば「泳ぐ」これが当たり前でした(笑)
疲れているはずですが、それでも泳ぎましたね。
自由時間
風呂から上がると、夕食までは自由時間。
当時、トランプの「大富豪」、当時は「大貧民」と呼んでいましたが、そのゲームがクラスでは流行っていたのでトランプで遊んでいました。
夕食まで、みんなと大貧民をして遊べるなんて、あり得ないことで、とても楽しい時間でした。
夕食
食事の時間になると食堂来るように館内放送が流れました。
お腹が空いていたので、みんな一目散に食堂へ向かいました。
みんなとくだらないことを大声で話し、笑いながら、ここでも楽しい時間を過ごせました。
食後は、外の運動場に出ました。
空を見上げると、星が凄く近くに感じます。
山の上にある場所だからということもあると思いますが、空気が澄んでいて周りに明かりがない状態だから星の光が普段より明るくて近くに感じるのです。
就寝時間
夜9時になると就寝の時間で部屋の電気が一斉に消されます。
部屋の中は2段ベッドが4セットくらいあり、みんな自分のベッドに向かいます。
でも、目は冴えていて簡単に寝るなんてことはできません。
誰かが持ってきたラジオを鳴らしながら、みんなで色んな話をしました。
話をしていると、時間はあっという間に過ぎて、午後11時になりました。
ラジオから時報が流れるので時計を見なくても時刻がわかります。
松任谷由美さんの卒業写真
暫くすると、松任谷由実さんの「卒業写真」が流れました。
当時、松任谷由美さんのことは知りませんでした。
「卒業」という経験もないので、曲名も歌詞の意味も理解できないまま何となく聴いていました。
それでも以下の部分の詞と歌声が僕の心に響いてきたんですね。
- 人ごみに流されて変わっていく私をあなたは、ときどき、遠くでしかって
何もわかっていないのに、何かを感じたんですね。
今日の楽しい思い出が、この部分にピッタリ当てはまったのだと思います。
1年後には自分も「卒業」を経験することになるのに、その時は、この楽しいひと時は、これが最後なんだということを考えてもいませんでした。
それを、この詞の部分で教えてくれたのかもしれません。
だから「卒業写真」を聴くと、今でも、みんなで真っ暗な部屋の中でラジオの音声をBGMに話していたあの時の楽しい思い出が鮮明に甦ってきます。