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1粒約5万円のブドウ

石川県の全国的にも有名になった、ぶどう「ルビーロマン」の初競りが2021年7月16日の朝に行われ、1房が過去最高の140万円で落札されました。

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今回は、金沢市内の卸業者(堀他)が落札し台湾の富裕層向けスーパーマーケット(裕毛屋)の経営者(謝明達(しゃめいたつ)氏)が購入したということです。

外国人が最高値のルビーロマンを購入したのは初めてのことです。

今回、140万円で落札されたルビーロマンは「特秀Gクラス」で約900グラム。

1粒30グラム以上の大粒が30粒前後あり、1粒あたり約4万7千円。

1粒約5万円って普通じゃないですよね。

なぜ、こんなに高いのか?

ルビーロマンは、石川県農業総合研究センター砂丘農業試験場が14年の歳月を費やして育成しました。巨峰の約2倍になる粒の大きさ、鮮やかなルビーを思わせる紅色が特徴です。

石川県のブドウというと、粒の小さい「デラウェア」でした。

ところが、1990年に入ると巨峰の消費が増え始めデラウェアの消費は減っていきます。このため、石川県は品種改良を余儀なくされます。

そして1994年に自然交雑で採取した「藤稔(ふじみのり)」という黒色の大粒ブドウの種を400粒蒔きます。

2年後に発芽した40本の木の中から、赤い実をつけたものが4本。

さらにそのうちの1本から、とりわけ大粒なブドウができました。酸味やえぐみがなく上品な甘み。400粒の種から偶然誕生したブドウがルビーロマンです。

この1本の木を接ぎ木して苗木を作る作業が始まりました。

しかし苗木に実がつかないこと、ついても割れてしまっていることもあります。

ブドウは種なしの方が食べやすいので、ルビーロマンも種なしで開発しています。

しかし、種なしだと果頂部周辺の果皮に亀裂が発生しやすくなります。

更にビニールハウスの夜間温度を22度に保たないと色が黒くなってしまいます。

その後、試行錯誤を重ねて14年の歳月の末、安定させたのが現在のルビーロマンです。

通常のブドウは1本の木から約20房が成ります。しかし、ルビーロマンは1本の木に、いくつもの房を育てようとすると実が大きくならないので6房しか成りません。

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ルビーロマンには以下のような等級が決められています。

  • 秀:房型が優れ、粒重が概ね20g以上
  • 特秀:房量・粒ぞろいに優れ、粒重が概ね20g以上
  • プレミアム:品質外観が優れ、粒重がすべて30g以上で1房700g以上

更に以下の条件が揃うとG classが等級に追加されます。

  • Gclass:概ね30g以上の大粒ぞろいの房

そしてルビーロマンには「種なし」と「種あり」があります。

これは、大半は「種なし」なのですが稀に「種なし」でも種が入ることがあるためです。

今回、140万円で落札されたものが特秀のG classなので上から2番目の等級のGクラスということになります。

しかし、これだけだと、ルビーロマンが1房140万円になるような価格にはなり得ません。

ブランディング戦略

ルビーロマンの開発に当たり、石川県はブランディングを重視していました。

このため、民間のブランディングプロデューサーを招聘(しょうへい)します。

そして、ルビーロマンは、「希少性を武器にした高級ブランド」ということで方向性を定めます。

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その結果、苗木の頒布は県内に限定するだけではなく、栽培できる農家さえも限定するクラブ制を導入しました。

更にブランディング戦略は続きます。

販売開始から2年間は石川県でしか販売しないというものです。

大きな市場の東京にPRして販売するのではなく、まずは石川県でしか買えないブランドに育てて大きな市場から声がかかるようにする戦略を取りました。

ルビーロマンは、14年間の努力に加えて、徹底したブランディング戦略を取ったことで、これだけの高値で取引されるような「ブドウ」になったのです。

しかし、中国の通販サイトでは「浪漫紅宝石」というルビーロマンを思わせる名前の苗木が販売されていたそうです。

苗木は、石川県農業総合研究センター砂丘農業試験場で生産して農家へ配布しているので普通に考えれば中国に流出するはずはありません。

中国に流出してしまうと好き放題に拡散されてしまうので、絶対に流出させてはいけないのです。

手軽にルビーロマンを食すには?

140万円のルビーロマンは難しくても、普通に販売されているルビーロマンは食べてみたいと思いますよね。

一番、現実的なのは、ふるさと納税の返礼品として頂く方法です。

羽咋市かほく市津幡町etc へのふるさと納税(5万円~)を行うと、返礼品としてルビーロマンが送られてきます。

これでもまだ高いと感じる場合には、ルビーロマンが話題になると、必ず「ルビーロマン」のピューレを使ったお菓子、スイーツというのが登場します。

更に手軽にということだと、つぶつぶグミの「ぷっちょ」があります。

つぶつぶグミがおいしいソフトキャンディぷっちょから、ルビーロマン味が登場。
石川県産の最高峰ぶどう「ルビーロマン」のピューレを使用。
ルビーロマンは、日本国内品種の中でもトップレベルの粒の大きさと、鮮やかな赤色が自慢の爽やかな甘みのぶどうです。

ルビーロマンに関しては、正直、石川県らしくないような戦略がしっかりと練られているので、他の事でもこのようにしっかりした考えのもとに行って欲しいものです。