ゴールデンウィークに小説を読みたいと思って選んだのが喜多川泰さんの「運転者 未来を変える過去からの使者 」でした。
なぜ、この本を選んだのかは以下の記事で書いてますので、そちらを読んで頂ければと思います。
ストーリーは?
主人公は東京で保険の営業マンとして働いています。
そして、営業所に戻ると自分が学習塾で取ってきた20人の新規の契約が解約されてしまったと言われます。
完全歩合制で保険の契約を取ると最初の1年だけは一定の割合が給与・賞与となりますが、2年目以降は、それが無くなるので営業マンには1円も入らず0円です。
このため、常に新規契約を取らないと収入がなくなります。
それどころか解約された場合には、給与、賞与として受け取った分を返却しないといけません。
主人公には奥さんと不登校の娘が1人います。
そして一人暮らしの母親が岐阜県にいるので、いつかは面倒をみないといけないという状況です。
解約された保険が再契約に戻ることは、まずないとは思いつつも、学習塾に向かいます。
家では娘が学校に行きたくないと引きこもり。
母親は離れた場所で一人暮らし。
プラス思考という言葉が大嫌いな主人公にとって、この状況は前向きに捕らえられるものではありません。
学習塾で、事情は確認しましたが予想通り、どうにもなりません。
塾を出たところで、奥さんからの電話です。
学校から娘のことで話があるから学校に来て欲しいという日だったのを忘れていました。
一旦は、仕事で行けないと断りつつも、まだ間に合うとタクシーを探します。
着信履歴を見ると母親からも電話があったので、気になり電話をします。
ここまで、読んでみて、うーん、何とも気持ちが暗くなる小説です。
マイナス思考の主人公、ブラック企業のような保険会社、暗くなりたくて小説を読みたかったわけではないので、読むのをやめようかな・・・と思い始めました。
しかし、ここで読むのを止めてしまっていたら、この小説の良いところを何一つ知らずに終わるところでした。
この少し先からが、この小説の本題だったのです。
しかし、その時の僕は、そんなことは考えもしないで、この調子で話が続けば気分転換どころか気持ちが落ち込んでしまうと考えていました。
迷っていると、一つのことに気がつきました。
この本のタイトルである「未来を変える過去から使者」が、まだ登場していません。
せめて、「使者」が登場するまでは読んでみようと頑張ることにしました。
この後、主人公が乗ったタクシーの運転手が使者でした。
そして、使者から色々なことを学び、変わっていくというストーリーです。
使者が出てきてからの話は、面白くなりました。
読んだ感想
詳しくは本を読んでいただくのが1番だと思うので、ここからは、僕の読んだ感想になります。
使者は主人公にとって「運が良くなる場所」までタクシーで連れて行ってくれるのですが、主人公は、最初、そのことを知らされておらず、無駄にしてしまいます。
考えてみると、人生って、そういうものです。
どこが人生の分岐点かなんて、自分でもわかりませんし誰も教えてくれません。
2回目は、使者から運が良くなる場所に連れて行くのが使命だと教えてもらいましたが、どうすれば良いのかが分からず、また転機を無駄にしてしまいました。
確かに、ここは運が良くなる場所だと言われても、何をどうすれば、良いのか知らなければ僕も主人公のように無駄にする気がします。
次は更に以下のことを教えてくれます。
人には運が劇的に良くなる時を感じ取るアンテナがあって「上機嫌の時」に感度が最大になる。
人って起きた出来事だけで運が良いとか悪いとか判断してしまいますが、それだけでは、良いか悪いかなんてわかりません。
宝くじで10億円が当たったとします。
この出来事だけを考えれば運が良かったと言えるかもしれません。
しかし、まとまったお金が入ったことで、新しい事業を始めますが、なかなか軌道に乗らず10億円はどんどん減っていきます。
ついには借金まですることになったとしたら、これは運が良かったと言えますか?
逆に宝くじを100万円分買っても高額当選は一つもなければ運が悪いと思うのではないでしょうか?
しかし、残ったわずかの定額当選金を換金し参加したセミナーで、運命の出会いを果たし始めた事業が軌道に乗り一躍、成功者になったとしたらどうでしょうか?
宝くじで大損しても、これは自分にとって必要な出来事だったと捕らえて、良い方向に変えるにはどうすれば良いかを考えるのがプラス思考です。
今回は100万円を宝くじに使って大失敗だったけど、次はきっと当たると考えるというのがプラス思考ではないのです。
「運転者」という小説ですが読んでみると気楽に読める内容ではなく自己啓発本のような内容でした。
しかし、使者が現れてからのストーリーは、次はどうなるんだろうか?とワクワクさせる内容だったので時間を忘れて一気に読み終えることができました。
このため、期待以上に楽しめました。
この本との出会いを、ただ、楽しめたと思って終るのか?
それとも、読んだことを、どのようにすれば活かせるのか?
どう行動に移すかで人生は違った結果になるはずです。
良かった出来事を良い結果にできない人が悪かった出来事を良い結果に変えることなんてできませんよね?
まずは、良い出来事を良い結果に繋げられるようにすることを繰り返すことで習慣化して、悪い出来事でも、良い結果に繋げられるようしておくことが大切だと思います。
結果というのは、過程の積み重ねです。
何もしないのに結果が得られることはありません。でも、人間って結果は直ぐに出るものだと勘違いしているんですね。
例えば花を咲かせたいと思います。
花が咲かないかな?と思っているだけでは何も起きません。
このため、普通は何をするかと言えば、まず種を蒔くはずです。
しかし種を蒔いただけでも花は咲きません。
水をあげたり、陽に当てたり育てないといけません。こうして、ようやく花が咲くんです。
でも、多くの人は種も蒔かずに地面ばかりみて、いつ咲くんだろう?って感じなんですね。
これって、お金持ちになりたいと思っているだけで、何もしていないのと同じなんです。
種を蒔いて育てないと花が咲かないように、お金持ちになるための種、つまり行動を起こす必要があります。
種を蒔いたからと直ぐに花が咲くこともないので、しっかり育てる必要があります。
そうなると、沢山ある中から咲かせたい花の種を選ぶ、そして種毎に異なる育て方を学んで、実際に種を蒔き育てる。
当然、失敗することもあります。
失敗は成功のもとです。
失敗からも、しっかり学び次に生かさないとダメです。
そうして、いつか花が咲くんです。