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「今週のお題」祝日なのに出勤日にしていいの?

今週のお題「祝日なのに……」

友人が、うちの会社は祝日でも出勤日の時があると言ってました。

休日出勤ではなく、全員が普通に出勤するということです。

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え?、祝日って出勤日にしてもいいの?

調べてみました。

労働基準法

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

【出典】労働基準法 | e-Gov法令検索

なるほど、週1回の休日を設定しておけば、祝日を出勤日にしても良いということです。でも確か「週40時間を超えて労働させてはいけない」っていう法定労働時間が法律で定められているはずです。

労働基準法

第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

【出典】労働基準法 | e-Gov法令検索

仮に週6日を出勤日にすると、8時間×6日=48時間で週40時間を超えます。

そもそも、完全週休二日制になっていない会社もまだ世の中には多いので、出勤日が週6日間という会社は普通にあるはずですが、これは違法なのでしょうか?

変形労働制

世の中には色々な会社があります。

そして、ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始と休みが多い月があると売り上げが減って経営状態に影響することになります。

このため、完全週休二日制にしてしまうと困る会社もあるのです。

そんな時のために、変形労働制という制度があります。

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完全週休二日制になっていない会社というのは、変形労働制(期間:1年以内)で届け出を行っています。(従業員・組合の同意が必要な場合もあります)

1週間だけだと40時間を超えても、これが例えば、1か月単位であれば、週の平均は40時間になるという場合もあります。

例えば、勤務時間が1日7時間の会社で月1回だけ土曜日が出勤日という場合だと、7時間×6日=42時間で、2時間超過となります。

しかし、他の週は7時間×5日=35時間で、5時間余裕があります。

そうすると1週間という単位だと週40時間を超えますが、2週間だと、(35時間+42時間)÷2=38.5時間となり、週40時間以内となります。

このように、一定の期間(1か月以内)を定めて、その期間内で週当たりの平均労働時間が法定労働時間以内であれば、法定労働時間の規制を超えて労働時間の配分を変えることを認める制度が変形労働制です。

労働基準法

第三十二条の二 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
② 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。

 

第三十二条の四 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第三十二条の規定にかかわらず、その協定で第二号の対象期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第一項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
二 対象期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月を超え一年以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
三 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。第三項において同じ。)
四 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を一箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下この条において「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)
五 その他厚生労働省令で定める事項

【出典】労働基準法 | e-Gov法令検索

そうすると、1日の勤務時間が8時間だと土曜日を出勤日にできなくなります。

そのため、組合または従業員の過半数の同意が書面で得られれば、「一定の期間」を1か月を超え1年以内にまで延長できます。

例えば1年に延長できれば、1日の労働時間が8時間であっても、1年を通すと、祝日やお盆休み、年末年始といった祝日以外の休みがあります。

祝日は、1年間に16日ありますので、月1回の土曜日出勤があったとしても、1年間で12回、40時間をオーバーしますが、祝日が16日ありますし、通常は、お盆休み、年末年始といった祝日以外の休日もあるので、この分で週の労働時間を減らしてくれますので1年を通して週平均の労働時間を計算すると、40時間を超えないことになります。

祝日の出勤日は割増賃金?

ここで疑問が生じます。

例えば、2021年3月20日(土)は、春分の日で祝日です。

土曜日なので振替休日にはなりません。

しかし偶々、この日が会社の出勤日だと祝日でも出勤ということになります。

この日は割増賃金が必要になるのでしょうか?

答えは、「NO」です。

法定休日と所定休日

会社の休みには、法定休日と所定休日があります。

法定休日というのは、1週間に最低1日は休日が必要という法律により会社が任意の日を定めることができます。

普通は日曜日ですが、日曜日が稼ぎ時という場合には、日曜日以外を法定休日に定めることもできます。

所定休日ですが、これも法律の範囲内(週40時間を超えない)で会社が定めることができます。

このため、祝日を出勤日にすることもできるのです。

出勤日なので、祝日であっても割増賃金は不要となります。

これは、日曜日が法定休日となっていない場合も同じです。

祝日(祭日)と休日の違い

祝日というのは、国が大きな出来事や記念日を制定し、その日を休日とするというものです。そして祝日が休日と重なった場合は、月曜日以降に休日(振替休日)にして休日の日数を減らさないようにすることになっています。

祝祭日という言葉あるように、「祭日」というのも以前はあったようです。

祭日というのは、戦前まで「皇室祭祀令」で定められていた皇室が神道の大事な行事を執り行う日ですが、戦後、「皇室祭祀令」が廃止されたことで祭日はなくなり、全て祝日となっています。

個人事業主や芸能人は?

個人事業主の方は従業員とは異なり、休日に出勤したからといって割増賃金が貰えることは、ありません。

誰が支払うの?ってことです。

そもそも、個人事業主労働基準法の対象にはならないので、ここまで話してきたような内容は全て適用外となります。

これは、個人事業主は「自分の意志で決められる」からです。

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労働基準法は「労働者」が立場的に優位な「雇用主」から保護する目的で制定されているものなので、「雇用主」である「個人事業主」を保護する目的の法律ではないのです。

では、芸能人はどうでしょうか?

これは、芸能事務所等とどのような契約を結んでいるのか?で異なってきます。

フリーランス(特定の企業や団体、組織に属さず、社会的に独立した個人事業主)契約の場合には、個人事業主ということになり、労働基準法の対象外になります。

雇用契約かどうか?が労働者か個人事業主の分かれ目になります。

最近、吉本興業に所属している芸能人が、専属エージェント契約に変えて、契約を解除されたという報道がありましたが、これは、双方が3カ月前に告知すれば解除できる契約だということなので、雇用契約ではありません。

芸能人の方が事務所を独立するというのは、まだ日本では難しいような気がします。

会社員も会社を辞めて独立を考えている方も多いかもしれませんが、思ってた以上に面倒なことが多いので、強い気持ちと頼れる協力者がいないと難しいと思います。

店を開業する際に下積みが必要なのと同じで、独立というのは芸能人も会社員もしっかりと下積みを積んでおかないと成功しないということだと思います。

中には、下積み無しでも成功している方もいますが、宝くじで1等を当てるよりも確率は低いのではないかと思います。