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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

「紙」は環境に優しくなった?

カップヌードルは「地球にいいことやってます」?

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カップヌードルの容器が2008年4月から紙に変わったというのは知っていましたが、最近、CMでバイオマスECOカップに進化していますということをアピールしていました。

カップヌードル」シリーズの容器を紙製の「ECOカップ」に変更しました。紙は「バイオマス」の一つで、燃焼時にCO2が発生しますが、木が生長する際にCO2を吸収するため、ライフサイクル全体でCO2は増加せず、地球に優しい資源です。
【出典】「カップヌードル」は、いつから紙容器に変えたのですか?

バイオマスというのは、バイオ(生物資源)+量(マス)で、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」になります。

バイオマスは、太陽エネルギーを使って水と二酸化炭素から生物が光合成によって生成した有機物であり、私たちのライフサイクルの中で生命と太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な資源です。

石油などの化石資源はいつかは無くなるものです。

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バイオマスには3種類あります。

  1. 廃棄物系バイオマス
    廃棄される紙、家畜排せつ物、食品廃棄物、建設発生木材、製材工場残材等
  2. 未利用バイオマス
    稲わら・麦わら・もみ殻等
  3. 資源作物(エネルギーや製品の製造を目的に栽培される植物)
    サトウキビ・とうもろこし等

紙は廃棄物系バイオマスになります。

カップヌードルだけでなく、コカ・コーラもボトルを紙に変えるため試験利用が始まるとか。

米飲料大手コカ・コーラは、プラスチック容器の廃止に向けた長期計画の一環として、紙製ボトルの試験利用を開始する。

プロトタイプ(試作モデル)はデンマークの紙製ボトルメーカー「パボコ」が製造したもので、強化された紙の殻の中に薄いプラスチックが使われている。

しかし最終的には100%再生利用でき、プラスチックを一切使わず、炭酸飲料の炭酸が抜けないボトルの製造を目指しているという。

また、内容物に紙の繊維が混ざらないことも重要だという。繊維が混入すれば飲料の味が変わってしまうだけでなく、安全・品質検査を通らない可能性も出てきてしまうため。

それでも、コカ・コーラをはじめとする飲料大手は紙製ボトルへの移行を支持している。同社は2030年までに廃棄物ゼロを目指している。

【出典】米コカ・コーラ、紙製ボトルを試験利用へ 夏からハンガリーで炭酸飲料を販売 - BBCニュース

紙の原料は「木」で、紙を使用すると森林破壊が進むのでペーパーレスを行いましょうみたいなことを言ってた時もありましたよね?

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日本での森林資源ですが、面積は変わっていないのですが、体積は年々増えているようです。

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【出典】林野庁 森林資源の現況 調査結果の現況

これは、日本では木の使用量が減ったわけではなく、輸入に依存していたからです。

 

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【出典】「平成30年木材需給表」の公表について:林野庁

なぜ、日本は木材の輸入が多いのか?

国内にも木材はあるのに、なぜ日本は輸入しないといけなかったのでしょうか?

日本は戦時中の軍需用材、戦後の復興に伴う木材の需要により、乱伐や皆伐によって山の保水力が無くなり自然災害が多発しました。

そこで政府は災害対策のため「拡大造林政策」を行い、成長の早い針葉樹の植林を奨励しました。

その後、木材輸入の自由化に伴い、価格の安い外材の需要が高まり、国産材の価格が高騰し、国内林業が衰退しました。

つまり、国産材の価格が高くなってしまい、国内林業が衰退してしまったので、輸入に頼るしかなかったということですね。

それが2000年を境に木材の自給率が増えていきました。

これは、高度経済成長期に集中して植林した人工林が伐採の「適齢期」を迎えた、輸入材の価格が安定しないといったことが要因です。

農林水産省では、2009年12月に、我が国の森林・林業を再生する指針となる「森林・林業再生プラン」を策定し、10年後の木材自給率50%以上」を目指すべき姿としました。

残念ながら、2018年時点で木材自給率は36.6%と50%には及びませんが、平成23年から8年連続で上昇しています。

時代と共に考え方は、随分と変わるものです。

紙を使うと木が減っていく?

紙を使うと木が減っていくという考えは、今では誤りだと言われています。

しかし、バイオマスの考え方では、化石資源はいつかは枯渇しますが、森林資源は再生可能です。伐採後には再植林を行うことで資源の再生が可能です。

いつかは枯渇するものより再生可能な資源を活用したほうが持続可能な社会の実現へ繋がるというのが今の考え方です。

植林で生態系が変わる?

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日本で沢山している紙製品を輸入している国の中にインドネシアがあります。

2019年日本に輸入されたコピー用紙の63%がインドネシア産だと知るとその量が想像できるのではないでしょうか?

インドネシアでは長年にわたり、紙の原料となる木を植林するために豊かな熱帯の森が広く失われてきました。

インドネシアの泥炭湿地林は、枯れた植物の死骸が、水中で分解されずに泥炭となって蓄積され、その上に森林が形成されるのです。

その結果、多種多様な木が混在する自然の熱帯林となります。

こうした熱帯林が、絶滅危惧種となってしまったトラやゾウの命を育んでいるのです。

これが、人工林に変わると、生態系が変わってしまいます。

このように、木を伐採したから植林すれば良いというものではないのです。

そして森林を消失させてしまうと、そこに存在した生態系をもとの状態に戻すには長い年月がかかります。

色々なことが関わる、エコロジーというのは難しいです。