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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

千里浜が消滅する・・・

以前に、「思い出の味 ホットドック」ということでブログに書きました。

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そのホットドックは石川県羽咋市にある「千里浜」という日本で唯一の自動車が砂浜を走ることができる海岸に移動販売車が来て販売されていました。

世界的にも自動車が走れる海岸というのは3か所しかないそうです。

新車を買うと「千里浜に試乗で行くか?」というのが僕の周りでは冗談でよく言われていました。これ、どういうことかというと、千里浜は当然、海です。海と言えば海水。

海水には塩が含まれていて、その海水は砂にはたっぷりと含まれています。

そんな浜を新車で走ったら?

塩分が新車に付着して錆びてしまう。ということです。

昔、海風が当たる場所で、しっかりとメッキされた細い金属針を外に放置したことがあるのですが、1週間後には錆びていました。

それくらい、海の塩分というのは強烈なんです。

なぜ千里浜は車が走れるのか?

なぜ、千里浜は車が走れるのか?というと、当然ですが砂浜が固いんです。

なぜ固いのか?というと、普通の海岸の砂の粒は、約0.8㎜ですが、千里浜は約0.15㎜で揃っています。そして地盤が適度に湿っているので砂浜を上から押さえつけると「ダイラタンシー現象」によってアスファルトのように固くなるというものです。

ダイラタンシー現象

ダイラタンシー現象というのは、固体粒子と水分が混ざったドロドロしたものをダイラタント流体と呼びます。普段は粒子間の隙間が最も小さくなるように並んでいるので、水分が隙間に入り込んで潤滑材のような役割を果たしていますが、外部からの圧力が加わると粒子間の隙間が大きくなって隙間から水分漏れ出します。すると潤滑剤を失った粒子は固定され固くなるというものです。

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千里浜より約40km南西に位置する手取川、千里浜周辺の大海川や宝達川が運搬した土砂が沿岸流(対馬海流)や北西の季節風によって運ばれ、なおかつ羽咋市の北にある滝崎が土砂をUターンさせ千里浜に堆積したことによるものです。

この海岸の砂粒が一般的な砂の半分程度ときめ細かく、海水を吸って舗装道路のように固くなるため、普通の砂浜のように沈まないからである。

【出典】千里浜なぎさドライブウェイ - Wikipedia

世界的にも珍しい海岸だということで、千里浜は観光地になっています。

僕が行ってた頃は、全長8Kmで、浜の幅が70mほどあったので車がすれ違うことができました。

観光バスが走れるほどでした。

観光バスが砂浜を走れるということから、千里浜近くに「千里浜レストハウス」というバスを停めてレストハウスから千里浜を見ながら食事ができる観光拠点がありました。

  • 駐車場:バス(30台)、乗用車(100台)
  • 最大収容人数(460名)
    椅子席 460 席 1 階 ( 和室 108 席椅子テーブル ) 

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【出典】千里浜レストハウス

 その「千里浜レストハウス」の運営会社が北陸鉄道から和倉温泉加賀屋のグループ会社(雅総合研究所)に譲渡されることになりました。(2021年1月)

北陸鉄道金沢市)は2日、グループ会社が運営する「千里浜レストハウス」(石川県羽咋市)を2021年1月に和倉温泉の加賀屋(同県七尾市)のグループ会社に譲渡すると発表した。譲渡金額は公表していない。加賀屋グループはパートを含む16人の雇用を引き継ぐ。

【出典】石川の「千里浜レストハウス」 北陸鉄道が事業譲渡: 日本経済新聞

そして、2021年2月11日リニューアルした「能登千里浜レストハウス」が開業しました。

  • 羽咋市千里浜町に十一日、既存施設をリニューアルした「能登千里浜レストハウス」が開業する。長年、千里浜レストハウスとして親しまれてきたが、一月に加賀屋グループ(七尾市)が取得。能登かきの養殖や料理店を手掛ける能登風土(同)の運営で再出発する。十日、関係者向けのお披露目会があり、六十人が出席した。

【出典】能登の玄関口 里海味わって 千里浜レストハウス きょう新装:北陸中日新聞

しかし、肝心の千里浜が存続の危機なのです。

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2021年2月21日までに、千里浜の砂浜部分が数百メートルに渡り消えていたという報道がありました。

 

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昨年末、千里浜の入口付近の砂浜の幅が10m程度にまで縮まり波が押し寄せているということで、ずっと通行禁止になっていました。

70mあった砂浜も今では30mです。

その30mの砂浜の一部が侵食されて消滅してしまったのです。

消滅したのは全長8Kmの砂浜の中間部分です。

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千里浜は基本的に年中自動車が走れるのですが天候が悪い時には通行止めになっていました。以前は、1年間で46~77日間程度でしたが、昨年は、緊急事態宣言による33日間の閉鎖を含め年間119日間が通行禁止で、1年の三分の一が通行できなかったことになります。

侵食の理由は地球温暖化による海面上昇によるものなのかと思っていたのですが・・・ 

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それだけでは、ないようです。

千里浜周辺の河川の護岸や手取川ダムの建設といった人為的な要因もあるようです。

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ダムや護岸整備により、波間を漂う砂が海岸に流れ着きにくくなっているというものです。

そして、このままだと2050年には砂浜は消滅するのでは?と言われています。

石川県としては、日本で一つだけの海岸を失うわけにはいきませんので、早急に対策を行いたいのですが原因がわかっていないため難航しています。

おそらくダムなどにより千里浜に流れ着く砂の量が減ったことで、なだらかなスロープだった砂浜が傾斜が急な状態に変わったのでしょう。

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その結果、波を抑えることができなくなり高い波が砂浜まで到達するようになり侵食が加速したのだと思います。砂が自然と千里浜に流れてくるようにするのがベストだと思いますが色んな自然の要素が絡み合って成り立つことなので人間の力で、どうこうできるものではないでしょう。そうなると人工のスロープを設置するしかないような気がします。

スロープには穴をあけておいて、砂がスロープの下に溜まっていき、砂が溜まってきたらスロープを除去することで波を抑えながら自然に砂を溜めることもできます。

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今回、消滅した数百mの個所から人工スロープ化してみて効果を確認するということもできます。

できるだけ、自然の姿で千里浜を戻してあげられれば良いと僕は思っています。