seegeのまとめサイト

もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

脚本の力

ウチの娘は、彼氏が出来ない!!

日本テレビのドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」は、菅野美穂さん、浜辺美波さんが親子役で出演しています。

浜辺さんは、これまで色々なドラマや映画に出演していますが、どれも抜群の訴求力で存在感でした。

今回も菅野美穂さんの影が薄くなるだろうなぁと思っていましたが、全くの逆で、浜辺美波さんの影が薄くなるほどの存在感です。

浜辺さんが今回、地味な役だというのもあるのかもしれませんが、浜辺さんは、役に関係なく、セリフを口にするだけで、その場の雰囲気を全部、持って行ってしまう力があります。

そんな浜辺さんより存在感を出しているなんて、さすが、ベテラン女優さんです。

ふと、気になることが・・・

まてよ?このドラマ、脚本は誰?

北川悦吏子(きたがわえつこ)さん???

もしかして、このドラマの菅野さんが演じている、小説家 水無瀬碧って北川さん自身がモデルってこと?

水無瀬碧はドラマでは「恋愛の神様」と言われている小説家です。

f:id:seege:20210131163336p:plain

そして、北川悦吏子さんといえば、脚本家で、「ロングバケーション」「あすなろ白書」「ビューティフルライフ」といった大ヒットした恋愛ドラマの脚本を書いてこられた、「恋愛の神様」です。

小説家と脚本家の違いはありますが、北川さんがモデルになっているのは、疑いようがありません。

しかも、北川さんは、今回のドラマの主題歌の作詞まで担当しています。

自分をモデルに書いたドラマですから水無瀬碧への思いの強さの表れですよね。

北川さんの脚本で好きだったドラマ

僕も北川さんが脚本を書かれたドラマはかなり見てきたと思います。その中でも「ビューティフルライフ」が一番好きでした。

主演は木村拓哉常盤貴子さん。

木村さんが演じたのは、美容師の沖島 柊二、常盤さんは図書館司書の町田杏子です。

一番好きでしたと言ったのに、ストーリーが不思議と思い出せません。

髪の手入れが不十分だった常盤さんが車椅子に乗っていて、木村さんに髪を切ってもらって、凄く綺麗になったとか、シーンは出てきますが、じゃあ、どんな話だったの?って聞かれると何も出てきません・・・

f:id:seege:20210131163548p:plain

それで、よく好きだったなんて言えたものですね(笑)多分、僕の中では、脚本よりキャストが印象に残っていたということなのでしょう。

北川さんが書いた脚本のドラマはたくさんありますが、木村拓哉さんが主演のドラマが多かったという印象があります。

そしてドラマの名前は出てきますが、ストーリーは不思議と覚えていません。

同じ脚本家で、尾崎将也さんという方がいます。

正直、尾崎さんは、一般的には北川さんほど有名な脚本家ではないと思います。尾崎さんが、これまでに書かれた脚本のドラマで僕が好きだったのは、「夏子の酒」、「湾岸書婦警物語」、「特命係長 只野仁」、「結婚できない男」です。

北川さんが書かれた脚本のドラマと比較すると尾崎さんが脚本を書かれたドラマでヒット作というのは多くはないと思います。

でも、尾崎さんのドラマのストーリーというのは、どれも記憶に残っています。

ビューティフルライフより前に制作された夏子の酒のストーリーは今でも覚えています。

あくまで僕の主観ですが、北川さんの脚本で、木村さんを俳優として売り出したというよりも、木村さんが出演したドラマが北川悦吏子さんをメジャーにしてくれたのではないでしょうか?

北川さんは、これまでに色々な大ヒットドラマの脚本を書いて、賞も受賞しています。

脚本家の名前を出して欲しいと言われると脚本家10人の中に出てくる方だと思います。

実際、僕もビューティフルライフのストーリーが思いだせないことに気づくまでは、そう思っていました。

それなのに、北川さんが書かれた脚本のドラマのストーリで覚えているものが、一つもないというのは、どういうことなのでしょうか?

ストーリーは覚えていても、ラストだけが思い出せないということもあります。これってラストが自分の中で納得できない時に起きている気がします。

つまり、ストーリーを覚えていないというのは、自分の中で納得できていないってことなんだと思います。

きっと、北川さんの脚本って僕には合わないってことなんでしょうね。

それなのに、面白いと感じたのは、なぜでしょうか?キャストが演じた役の魅力に惹かれたのでしょうね。

 

北川悦吏子さんってどんな人?

本当に、北川さんの脚本は僕には合わないのか?と疑問に思ったので、北川さんが書かれた本を探しました。そして、恋愛の神様という北川さんが書かれたエッセイを見つけて、読んでみました。

僕は、そこで大きな勘違いをしていることに気づきました。

北川悦吏子さんの名前をずっと、「きたがわ えつこ」さんだと思ってました。

しかし、実際は、「きたがわ えりこ」さんでした。

恋愛の神様 (角川文庫)

恋愛の神様 (角川文庫)

 

本を読むと、自分が思っていた北川さんのイメージと違っていることが伝わってきます。

僕の中では、真面目な、しっかりしたタイプの方だという勝手な印象だったのですが、実際は僕がイメージしていたのとは違ってました。

どちらかというと、当時の今時の女性って感じの業界人。

男女で友情は成立するのか?といった議論は無駄だということを書いたりする、恋愛を感情ではなく理屈で語る方でした。

彼女のエッセイは読んでも、読んでも共感できる部分が見つかりません。

10分の1程度読んで流石に辛くなり読むのを止めました。

このエッセイですが、2000年3月24日に初版が出版されているということなので、丁度、ビューティフルライフの放送が終わるかどうかくらいの時期です。

北川さんの最盛期時代に書かれたものだと思います。

北川さんの年齢だと当時39~40歳の頃だと思いますが、エッセイの中では、20代後半から30代のように感じられました。

ドラマ「ロングバケーション

ロングバケーションの中で、瀬名がマンションの3階からスーパーボールを地面に落とすと戻って来て、キャッチしてしまうシーンがあります。

ストーリーは覚えていなくても、このシーンは覚えています。

これは北川さんの脚本では次のように書かれています。

  • 瀬名 「面白い物、見せるよ」
  • 南  「何?」
    瀬名、スーパーボールを持って立ち上がる。
    南、ついて行く。
    窓、開ける。
  • 瀬名 「いい?」
  • 南  「どうすんの?」
  • 瀬名 「これを落とすの」
  • 南  「えっ‥‥‥?そいで?」
  • 瀬名 「それだけ」
  • 南  「どこが面白いのよ」
  • 瀬名「 ちゃんと戻ってくるんだ。ここまで」
  • 南  「ウソ。ここ3階よ」

このあと、瀬名がやったのを見て、南も真似をして、しっかりキャッチすることができて大喜びするというシーンでしたが、光景が思い浮かぶ実に見事な脚本だと思います。

スタッフは、最初、このドラマをどこで映像化すれば良いのか迷っていましたが、このシーンを実現する場所を見つけたことでドラマの成功が確信に変わったそうです。

一つのシーンの場所を見つけたことでドラマ全体の世界観のイメージがスタッフ全員、共有できるようになったということです。

しかし、スタッフが撮影前に実際にスーパーボールを落としてもドラマのようには戻ってこないで失敗の連続だったそうです(笑)

脚本の力

ドラマでのマンションのロケ地として使われたビルはドラマ終了後もファンの方が集まるほど、印象的な場所になったということです。(今は取り壊されてマンションになったそうです)

以上のことから北川さんの脚本ってストーリより、「シーン」の描写に訴求力があるように感じます。

もう一つ、北川さんの脚本(ロングバケーション)で、印象的なのが、瀬名が南に言った「あっ、また、俺、地雷踏みました?」というセリフです。

これ、今でも使われていますよね?

f:id:seege:20210206144703p:plain

北川さんが、友達と話している中で、よく使っていたのをロングバケーションのセリフに使ったそうです。

脚本って、文章から登場人物の気持ちが伝わってくるかどうか?というのが重要だと思うんですね。

 

脚本の世界観を形にした、スタッフ、キャストの力も凄いと思いますが、やる気にさせるだけの脚本がないと、スタッフ、キャストの力を引き出すことができないはずです。

そういう意味で、北川さんの脚本には力があったということだと思います。

朝ドラの脚本

北川さんは、NHKの朝ドラ「半分、青い」の脚本も書かれています。

f:id:seege:20210206143059p:plain

月曜日から土曜日まで毎日、半年間放送されるドラマです。

北川さんは朝ドラの脚本を書いて「地獄」と表現しています。

3日に1本のペースで「決定稿」を仕上げていかないといけなくて、それを156回繰り返さないといけないというのは「精神的拷問」だったようです。

ドラマは半年の放送ですが、脚本は、3日×156回=468日、つまり1年半かかったわけです。ドラマの放送中、北川さんのTwitterが炎上したという話もあるようですが、3日に1回決定稿という話を聞くと、何があったか知りませんが、許してあげてって感じになります。

こうやって、北川さんのことを調べていくと、北川さんの凄さが分かってきました。

ストーリではなく、印象的なシーンで人を惹きつけるというのが北川さんの脚本なんだと思いました。