銀行、JTB、ホンダ、ニコン、ファミリーマート・・・次々に企業が人員削減、早期退職といった動きを見せています。
銀行に関しては世界的に人員削減が進んでいるようで、景気が悪くなると真っ先に人件費にメスを入れようとします。
労働力不足はどこへ?
数年前までは、労働力が不足すると騒いでいたのが嘘のようです。
今後、40代、50代の方が、人件費削減ではターゲットにされるのは間違いありません。
つまり、60歳を超えて年金が受給できる65歳までどう過ごすのか?ではなくて定年まで今の会社で働くことができるのか?を考えないといけなくなっている状態です。
40代、50代だと管理職という方が多いはずです。
管理職っていなければ、いないで何とかなるものなんですよね。
それよりも、実際に実務を行なってくれる人の方がいなくなると困るものです。
スポーツでも監督やコーチがいなくても試合はできますが、選手がいないと試合にならないですからね。
このため、スポーツの世界だと監督、コーチよりも選手の方が収入は高いのですが、サラリーマンの世界では、管理職の方が収入が高いんです。
いなくても何とかなる人に、高い報酬を支払うっておかしくないですか?
だから、管理職ってリストラや早期退職が必要になると、真っ先にターゲットになっててしまうわけです。
それでも世のサラーリマンは、ターゲットにされやすい管理職を目指して頑張るのですから不思議なものです。
今後、サラリーマンはどうすれば良いのでしょうか?
必要な人材になる
結局は必要な人材になることだと思います。
今、自分が行っていることは、自分にしかできないし、育てるにしても2年や3年では育てることもできない。今、自分がいなくなれば会社が困るので既に必要な人材だと思っている人はいませんか?
でも、今、自分が行っていることは、会社にとって10年、20年先も必要なことだという保証はありますか?
どんな業界も時代と共に進歩し変わっていきます。
あなたしかできないことが、技術の進歩で不要になったり、方法が変わって誰にでもできるようになる可能性だってあります。
これでは、会社にとって必要な人材とは言えません。
現在、新型コロナ渦で体力のない企業や店舗が倒産に追い込まれています。
まだ体力はあっても、この状態が続くと倒産に追い込まれる会社も少なくないはずです。
売り上げが増やせないなら、出費を減らさないと経営が傾きます。真っ先に目が向けられるのは固定費です。固定費の代表は労務費、つまり給与です。今は派遣社員を採用することで労務費の変動費化を行っています。このため派遣社員は最初に契約が切られてしまいます。次は正社員ですが、こちらは簡単に契約を切ることができません。体力のある間なら退職金を増やすなどして早期退職者を募集することもできます。それができなければリストラによる異動です。配置転換で給与を安くしたり辞めざる得ないような環境にしたりして辞めてもらうのを待ちます。
早期退職、リストラの際には人材の選択があります。会社にとって必要がないと判断した人材が選ばれるということです。
3種類の人材
では、どんな人材が必要ないと判断されるのでしょうか?
人材は、以下の3種類に分類されます。
- 人財(財産的存在)
- 人在(いないと困る存在)
- 人罪(不要な存在)
「人財」というのは、会社にとって利益を生み出してくれる財産です。
そして、「人在」とは、存在するだけ、投資した分は最低限返ってきますが、プラスにはなりません。最後が、「人罪」で投資した分が戻るどころから、減っていくばかりです。
会社にとって何といっても必要なのは、変わりがいない「人財」です。
そして、次に必要なのは、とにかくいないと困る「人在」です。
「人罪」は不要です。
どんな場合でも3種類の人材が存在する
全員が「人財」になれば良いのですが、そううまくはいきません。
仮に人財だけを残したとしても、その中で、また、3種類に分かれてしまうのです。
その比率は必ず以下のようになると言われています。(2:6:2の法則)
- 人財:20%
- 人在:60%
- 人罪:20%
アリでの実験ですが、アリが動いているところを見ていると、大きな食料を持って歩いているアリ、働きにムラのあるアリ、何もしていないアリの3種類に分かれます。
そして、3種類のアリは、2:6:2の割合で「常に」存在するのです。
そして何もしていないアリを取り除けば、損はなくなると考えて、人罪アリを集団から分離します。
すると、残りの8割の中で、また、2:6:2の割合で分かれてしまいます。
じゃあ、人財アリだけを残せば、大丈夫なのでは?と思うかもしれませんが、それでも2:6:2の割合で分かれます。
つまり、今は会社にとって「人財」であっても、何かをきっかけに「人在」や「人罪」に変わってしまう可能性があるということです。
誰もが人財にも人在にも、人罪にもなれる。
今、あなたが、人財だったとしても、新しい人が入ってきて育っていくことで、人在から人罪に変わっていくかもしれません。
逆もあります。
あなたが人罪だったのに、人財、人在が次々に辞めていき、あなたが人財になる可能性もあるんです。
それは、自分の思いや、スキルといった事とは関係ないんです。
そもそも、「会社の役にたつ」というのが変わるからです。
あなたは今の上司の元で、素晴らしい売上成績を残しました。
上司の方針とあなたの考えがピッタリと一致していたことが大きな要因です。
上司が1を話してくれれば10理解できました。
ところが、その上司が実績を評価されて新しい事業の部署へ異動となりました。
後任には前任の上司とは全く方針が合わない人が来ました。
あなたは、後任の上司と言い争いになるほど、ことごとく衝突しました。
いつも最後は上司命令の一言で、押し切られてしまいます。
これでは、売れるものも、売れません。
当然、あなたの成績は大幅にダウンしました。
上司が変わっただけで、あなたは、人財から人罪に変わってしまうのです。
上司があなたにとっては人罪のような存在だったとしても、それで結果が出れば、人財ですが、結果が出せなければ人罪です。
このような場合、選択肢は2つしかありません。
上司に「従う」か「逆らう」かです。
従えば、人財になれる可能性がありますが、逆らえば、まず人罪です。
仮に逆らって結果が出たとしても、それが方針と異なれば同じです。
上司に逆らうということは、上司、いや更にその上を敵に回す行為です。
このため、多くの場合、その選択はあなたにとって大変、不利な条件での戦いになります。
人罪でも必要とされる場合もある。
「人罪」というのは、不利益しか与えません。
このため、「人財」を利用して「人財」のように扱われる場合もあります。
酷い場合には、「人財」を「人罪」に仕立て上げることもします。
どこの会社にも上に気に入られるのが上手で、下からは嫌われているという人はいるものです。
上には気に入られているので、サッサと出世してしまうことって意外とあるんですね。
このパターンって大きな会社になるほど、多いんですよね。
もう一つは、「人財」だったのに、偉くなったことで、「人罪」に変わる人もいます。
不要な人が、必要な人を切り捨てることだってできるのが、人間社会です。
理不尽なようですが、だから人間って面白いのかもしれませんね。
では、どうすればいいのでしょうか?
必要な人材になる難しさをここまで説明してきましたが、必要な人材になるには、どうしたらよいのでしょうか?
以下の3つを備えている必要があるのではないでしょうか?
- 人格的に優れている。
- 知識・優れた技術を取得できる。
- 人を指導するのが上手い
人格的に優れているだけで、知識や技術がなければ意味がありません。そしてその知識や技術を次の時代に引き継げないというのも困ります。
この3つを備えていれば、どこへ行っても通用すると思います。
しかし、どれも自分で判断するものではなく、判断されるものです。
常に知識や技術を取得し頼まれたことは、常に期限通りに行う。そして後任者を育てて自分は次のステージへ進む。
すると「信頼」が生まれ、信頼できる人になります。
会社にとって「必要な人」というのは、「信頼できる人」ではないでしょうか?
でも、「必要とされる人」=「信頼できる人」ではないんです。
会社に「必要とされる人」は言い換えれば「都合の良い人」です。
このため、会社に残るためには、「必要とされる人」を目指す必要があります。
納得できない場合には、自分が「必要とする側」になるしかありません。
残念ですが、これが実情です。