大阪都構想住民投票2020の結果
大阪都構想住民投票2020、正式には、大阪市廃止・特別区設置住民投票となっていますが、その結果が出ました。
- 賛成:67万5829票(49.37%)
- 反対:69万2996票(50.63%)
- 投票率:62.35%
僅差ですが、反対が多数という結果になりました。
ちなみに、前回(2015年)は以下の通りでした。
- 賛成:69万4844票(49.6%)
- 反対:70万5585票(50.4%)
- 投票率:66.83%
当初、賛成派有利ということでしたが、いつの間にか、拮抗している、反対派有利と状況が変わっていきました。
おそらくですが、テレビで、大阪市の名称が消える。一度、消えたら元には戻らないといった訴えを行う反対派の報道を目にするようになりました。
大阪市民ではない自分でも何となく危機感を感じたので大阪市民の方であれば、更に強く危機感を感じたのではないかと思います。
これに対して、賛成派の訴えというのは記憶に残るものはありません。
大阪都構想とは?
大阪都構想とはどういうことか?ということについては2019年に書きましたのでそちらを参照してください。
敗因は?
敗因は大阪維新の会、松井代表自身が自分の力不足だったと会見で発表されていました。確かに、反対派の心情に訴えるやり方に対して、維新の会は、都構想の必要性を市民に対してどれだけ訴えることができていたのだろうか?と考えると、もう少し方法があったのではないかと思います。
そういう意味では松井代表の力不足というのは否定できません。
そして、もう一つの失敗は、都構想が実現するとどうなるのか?ということをアピールするつもりで、早い段階で以下のようなことを実現してしまったことで、市のままでも問題ないという証明になってしまったことが反対を後押ししたのだと思います。
- 地下鉄の民営化
- 施設の統合
大阪府と大阪市の財政状況は?
大阪府の実質収支は12年連続で黒字です。
【出典】実質収支は12年連続黒字 19年度大阪府決算見込み - 大阪日日新聞
そして、大阪市の実質収支も31年連続で黒字です。
【出典】大阪市:令和元年度大阪市一般会計等決算見込(速報版)について (…>決算>決算(一般会計・特別会計))
実質収支とはどういうことか?というと、歳入額と歳出額の差額が形式収支です。
しかし、府が行う工事等で年度内に終わらない場合、来年に繰り越すことになります。
これを予算の繰越と言います。形式収支から予算の繰り越し分を差し引いた差額が実質収支となります。
大阪市の人口は、269.1万人です。
京都府の人口が256.8万人なので大阪市だけで京都府全体の人口より多いことになります。これだけの人口なので、大阪市だけを考えれば財政的には何の問題もありません。
しかし、都構想が実現されれば財源は大阪都に集約されます。
これまでは、大阪市だけで使うことができたことが、大阪都として使われることになりますので、債務の返済等に充てられ、大阪市に還元される分は減ることが予想されます。
つまり、大阪全体ではメリットはあっても、大阪市だけを考えるとデメリットしか感じられないと判断した方は少なくないと思います。
財政的には現状、大阪府も大阪市も問題がないとなれば、大阪市に対して愛着を持っている方が反対したくなるのは当然です。
今回の結果は正しかったのか?
現在は、府知事と市町が同じ政党で政策面で一致している状態なので、以前のように府と市で意見が対立するということはありませんが、今後も、この状態が続くとは思えません。
むしろ、今回の結果で、大阪維新の会を支持する人が減っていけば、次回の大阪市長選では大阪維新の会以外から選ばれる可能性もあります。
今回の結果を受けて、国会の与党議員、野党議員も、維新の勢いが低下し大阪での選挙が戦いやすくなったとコメントをしています。
大阪にとって都構想は確かに今は必要ないのかもしれません。
しかし、維新の会の勢いがなくなれば、また以前の大阪に戻る可能性が出てきます。すると府と市で意見の対立が生じ税金の無駄遣いが増え、財政赤字に逆戻り、債務の返済もできなくなってしまい最悪の場合は、大阪府解体という結果も予想されます。
大阪市民は、もしかすると自分たちのことだけを考えた結果、結果的には悪い方向に向かってしまう可能性を高めたことになったのかもしれません。