竹内結子さんの代表作といえば?
竹内結子さんの代表作というと「ストロベリーナイト」「ランチの女王」といった作品がよく挙げられますが、僕はダントツで「大空港2013」です。
キャストも、竹内さん以外にも、香川照之さん、戸田恵梨香さん、オダギリジョーさん、生瀬勝久さんと豪華です。
完全ワンシーン・ワンカット撮影
舞台は松本空港で、日本で一番高い空港で、標高657.5mに位置するとか。
ストーリーは関東地方で天候が急激に悪化し竜巻が発生。FDA(フジドリームエアラインズ)の佐賀ー羽田便が羽田空港への着陸ができなくなり、一旦松本空港で待機するというところから始まります。
次の予定も入っていないのに遅延証明書の発行を求める生瀬さん、歯科衛生士の戸田恵梨香さんと不倫関係の香川照之さん、詐欺師のオダギリジョーさんと、色々なキャラクターが隠したい事情を抱えています。それらの事情を空港職員の竹内結子さんが偶然知ってしまいます。竹内さんは時には相談にのり、時には事情がバレるように仕向けたりと面白おかしく対応していきます。
こんな感じで空港の日常をちょっと誇張した感じで描いたドキュメンタリードラマです。(笑)
更に「完全ワンシーン・ワンカット」で撮影されているので、まるでその場にいるような感じで見ることができます。
通常は、ワンシーン・複数カットでの撮影で、こちらはセリフや動きに合わせカメラの向き・サイズを変えて複数のカットを撮影します。複数のカットをつなぎ合わせて一つのシーンにするというものです。このため目線が次々に飛んでいきます。
しかし、ワンシーン・ワンカットは1台のカメラだけで撮影するので目線は変わりません。このため目線が飛んだりしないので、まるで自分がその場にいるかのように感じさせてくれるのです。
ワンシーン・ワンカットは、舞台と同じです。
NGが許されませんから、舞台演劇をリアルなセットで見ているような感じです。
ワンシーン・ワンカットが大変なのはキャストの方だけではありません。
カメラマンは長時間カメラワークを続けないといけませんし、音声さんなど他のスタッフの方はカメラに映りこんではいけないので、スタッフも含めカメラの動きを全て把握していないといけません。そして監督は全ての撮影が終わるまで指導もできません。
一つでも間違ってしまえばNGになるので、撮り直しになっていまいます。
松本空港を貸切っての撮影
更に厳しい条件があります。このドラマは空港内での日常を描きます。そして撮影場所は本物の空港である松本空港を借りて一部セットを空港内に持ち込んで行われました。
松本空港が借りられる時間は朝5時から空港の営業が始まる9時までなので、9時には完全に撤収できていないといけません。
撮影時間だけだと朝7時10分から滑走路が利用できる8時30分という枠で行われています。
このような制限があるなか4日間のリハーサルと6日間の本番で撮影したのです。
関係者全員のプレッシャーは想像を絶するものだったと思います。
三谷監督による情け容赦ない試練・・・
これに加えて、三谷監督は同じことを繰り返していると次に誰が何を言うのかわかっているので芝居が嘘っぽくなるということでキャストには黙って台本を変えたり演出を変えたりするサプライズを盛り込むということもしています。
NGがタブーの撮影方式なのにサプライズ演出が入ればNGになる可能性は高まります。
しかも・・・
三谷さんと言えば、台本が出てくるのが遅いので有名な方です。
このドラマの台本も後半部分ができたのがキャストが松本に移動する日の前日だったということでキャストの方はセリフを全部覚えないといけないので、さぞかし大変だったことだと思います。
コメディドラマなのに、その裏では過酷な撮影が行われていたというのは、ドラマを見ていただけだと気が付きませんでした。
舞台は地方空港なのに大空港?
どうして地方空港が舞台なのに「大空港」というタイトルなんだろうと疑問を感じていました。
おそらく、1970年に公開された「大空港」という映画のストーリーが、登場人物にまつわるストーリーが交錯するという内容で、「大空港2013」のストーリーのベースになっていたのではないかと思われます。
映画「大空港」をイメージさせるように、あえて大空港としたのでしょうね。
気分転換したいときにもってこいのドラマ
ほんと、気楽に見られるドラマで、最後はハッピーエンド?なので何も考えたくない時に見たくなります。
気分転換にはもってこいのドラマなので、僕の中では竹内さんの代表作というだけではなく、三谷作品の中でも1位、2位を争うものだと思います。
もう一つの候補はというと、「王様のレストラン」です。
このドラマも、9代目松本幸四郎さんが主演の名作です。
しかし、「それは、また別の話です」