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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

Nintendo Switchは、なぜ供給不足なの?

Nintendo Switchが買えない

Nintendo Switchですが、あつまれどうぶつの森のヒットで入荷待ちの状態が続いています。2020年7月11日現在で、8月のお盆明けまで再入荷の予定はないということです。

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どこで生産しているんだろう?って思って知らべてみると、中国生産だったようです。米中の関係が不安定なので、任天堂としては米中関係以外にも新型コロナ感染のようなことが今後も予想されたり、不安定要因の多い中国から離脱したいのではないかと思います。

任天堂は主力の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の生産の一部を中国からベトナムに移管する。現在は電子機器の受託製造サービス(EMS)などに委託し、ほぼ全量を中国で生産している。米国による対中制裁関税「第4弾」にはゲーム機が含まれる。発動はいったん回避されたが両国の通商関係は不安定なままで、生産体制を見直してリスクを抑える。

www.nikkei.com

Made in Japanになぜしないのか?

日本は、生産コストが安いからという理由から中国をはじめとした人件費の安価な海外で生産する場合が多いのですが、これがデフレの原因になっていると思うんですね。

日本で作れば当然、価格があがります。

価格があがると売れないという妄想のような思考がバブルの終焉からずっと続いているように思います。

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Nintendo Switchは、定価で3万円程度のものですが、現在は品不足ということで、4.5万円程度で販売しているショップもあります。

つまり1.5倍価格がアップしても買う人がいるということです。一時期は7万円を超える価格で販売されていた時期もあります。

企業側にすれば、Made in Japanの頃とは違って、日本市場だけを考えていればよいという時代ではないのでワールドワイドで考えないといけないので、Made in Japanでは世界を相手に戦えないといった回答になるのでしょう。

高付加価値戦略だといっている企業でも結局は人件費の安い海外で生産していたりします。

Nintendo Switchは、日本だけではなく米国でも人気の商品です。

そう考えると、確かにコストが下がる海外で生産しないと売れなくなると考えるのは自然なことです。

Made in Japanを捨てたことで日本の存在価値を失った

しかし、そのために日本の存在価値を失ったのではないでしょうか?

日本の製品は品質が良いということで、Made in Japanというブランドが確立していました。しかし、今ではMade in Japanaの商品が日本にあるのでしょうか?というくらいに、日本で売られている商品には、Made in china、Made in thailand、Made in Vietnamという文字が印刷されています。

つまり日本は安い商品と引き換えに、Made in Japanというブランドを捨ててしまったのです。

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戦後の日本を急加速で復興させた方たちの血と汗の結晶ともいえるMade in Japanの技術を海外に簡単に渡してしまったのです。

バカ息子が日本を観光業にした?

会社のことを何もわかっていないバカ息子が目先の利益に惑わされて会社の根本技術を海外に安く売り渡してしまい、今では電子技術の会社から観光業の会社に変えてしまった。これが今の日本の姿ではないかと思います。

日本は電子立国から観光立国になったということです。

日本の電子立国としての価値は、Made in Japanブランドを捨てた時点でなくなりました。日産はルノーに吸収され、シャープは鴻海に買収され、観光地化への一途です。

これでは、世界から見た時に日本の存在価値というのは観光地としての価値しかありません。

日本政府も観光には力を入れています。

Go To キャンペーンもその中の一つです。1兆円を超える税金が使われています。

日本の価値はどこに?

しかし、日本が観光地として価値があるのはどこでしょうか?

品質の良い家電製品?化粧品?薬品?

結局は、「品質レベルが高い」点に価値があるはずです。

サービス業では「おもてなし」「ホスピタリティ」、製造業は高品質。全て品質です。

品質を向上させるためにQCサークル活動、安く作るためのカイゼン活動。安く質の高いものを提供するというのが日本品質であり、それがMade in Japanだったはずです。

工場が閉鎖され海外に移管されていくことで、QCサークル活動は減っていき、カイゼンという言葉も死語になっていると感じることもあります。

Made in Japanの復活

だから、Made in Japanの復活が日本の存在価値の復活に繋がるのですと言いたいところですが、一度、流出してしまった技術は取り戻せません。

何より、ここ10年以上のブランクで日本は海外との生産技術を比較した場合に簡単に追いつけないほど差が広がってしまったように感じます。

つまりMade in Japanを復活させようとした場合に、海外との差を縮めて追い抜かないことには始まらない部分があるのです。

そう考えるとバカ息子はとんでもないことをしてくれたって感じるはずです。

Nintendo Switchは日本でしか作れない、Made in Japanブランド製品にするべきでした。今のタイミングで、中国から全て引き上げて、全て日本で作るべきなんです。

しかし、任天堂が所有している国内の工場は宇治工場だけです。

しかし生産しているものは、トランプ・花札などのカードだけ。

日本企業の戦略

Nintendo Switchでも、マスクでも価格が高くなっても必要なものは高くても売れるんです。日本はコストダウンに走るのではなくて、高付加価値戦略で戦うべきだったと思います。

マネジメントゲーム

若い頃に会社の研修でマネージメントゲームというボードゲームのようなものを行いました。

マネジメントゲームとは、経営シミュレーションゲームで、5名程度で行います。参加者は全員、経営者としてまず300万円を元手に創業します。材料を購入し設備を導入し商品を作り広告を出して販売していくというものです。

販売するときにはゲーム参加者による入札となる場合もあります。

この時は当然、一番安い価格を提示した人が販売することができます。

まず売る商品がなければ話になりませんので、材料を仕入れ、設備投資を行い商品を作るところから始まります。商品ばかり作っていると出費ばかりになるので、どこかで売る必要があります。他社をみないで自社ばかり見ていると販売するタイミングが重なり価格だけの競争になってしまいます。高い価格を提示すれば売れませんし、安い価格だと売れても赤字になってしまいます。

このため、いかに独占販売の状態を作るのか?というのがポイントになってきます。

市場に在庫がない時に自社では在庫を所有していれば言い値で販売できます。

逆に参加者全てが在庫を所有していればコストダウン競争が始まります。

要領がよい人は実に上手に市場の状況を観察して在庫が多い時には入札に参加しないで、在庫がない時に独占販売を獲得していきます。

日本は、マネジメントゲームでの要領の悪い参加者と重なります。

要領の悪い参加者は、とにかく売らないといけないということで価格を下げてきます。そうすると他の参加者も負けずに価格を下げてくるのでコストダウンの戦いになります。その結果、赤字になれば資金ショートしないようにと更に安く売ろうとして負のループに陥ります。

今の日本はとにかく価格を下げたいということで国内の工場を閉鎖して海外に工場を建てたり、EMSという電子機器の製造委託サービスを提供している会社に製造を委託するという方法で安価に仕上げようとしました。

独占販売ということは全く考えていなかったように思います。

同じものであれば安いものを誰でも選びます。

しかし、他にないものを作れば高くても買います。

日本は他にないものを作る努力を怠った結果、Made in Japanという先人が作ってくれたかけがえのないものを捨ててしまったのです。

中国の独占状態

新型コロナで中国の工場が止まると日本にも多大な影響を及ぼすことが実際に起きたのですから日本企業も少なからず危機感を感じたはずです。

日本は固定費となる商品開発を国内に残して変動費である商品製造を海外に出しています。

しかし、日本の商品開発というのは、商品製造とセットでこそ力を発揮していたはずです。作りにくい、不良が多くなる部分についてはフィードバックを行い設計変更を行って改善していく。こうやって品質の良いものができあがっていたという背景があったはずえす。しかし場所が離れた中国では簡単に、そのようなこともできなくなります。

モノづくりとセットになっていない日本製品が高品質になることはありません。

今では、ドローンやジャイロカメラといった画像処理が必要な電子機器は中国製が主流で日本製というのは、存在するのかもしれませんが、埋もれている状態です。

中国が独占販売しているような状況です。

新型コロナで非接触の体温計で検索した時も日本製は少なくて中国製ばかりでした。

地盤が必要

金沢で電子部品を購入したいと思った時に、無線パーツという店がありました。しかし10年くらい前に閉店になっています。

日本の国技というと相撲がありますが、一時期はサッカーや野球も日本の国技のようになっていました。

日本でスター選手が出てきても、海外のチームへ移籍することで国内にはスター選手が残りません。僕も子供の頃は野球をしていたのですが、プロ野球選手の試合と高校生の試合ではレベルが全く違うんですね。これはテレビで見るよりも顕著に違いが体感できます。つまり実際に目の前で見ることで受ける刺激というのは百聞は一見に如かずと同じくらいの差があるんです。

間近でスター選手のプレーを見ることで、憧れて自分もあんな風になりたいと感じるわけです。しかしそんな選手がいなければ野球やサッカーをしようとは思いません。

スター選手が不在のプロ野球、Jリーグではプロを志す子供が減ってくるはずです。

これと同じで、電子立国だった頃の日本では、電子工作の雑誌があったり身近に電子部品やキットが販売されていて子供の頃から体験することができていました。

しかし、今はゲームやスマホアプリといったソフトウェアとしか触れ合う機会ばかりです。政府は小学校でプログラミングの授業を取り入れようとしていますが、ハードウェアについてはそのような動きは感じられません。

ソフトウェアはハードウェアがあって成立するものです。

日本のお家芸だったハードからは距離を置いてソフトウェアに力を注ぐ。

子供達にプログラミングを経験させて何を期待するのでしょうか?

官民が協力して、 日本を観光立国にしていくのか?、それともMade in Japanを復活させて、電子立国日本を復興させるのか?

日本の存在価値をどこに求めるのか?ここをしっかりと決めないと日本は観光立国としてもその内、飽きられてしまうのではないかと考えます。

そして地盤を作らないと種も蒔けません。

日本は自国しか見ていない

今の日本はマネジメントゲームで要領の悪い人と同じで、他を見ているようで何も見ていません。見ているのは、他の人が販売しようとしたら自分も入札に参加し赤字で入札し在庫がなくなった時に競合に高い価格で販売されるのを指をくわえてみているだけです。

Nintendo Switchは独占状態なのに供給が追い付かず多額の機会損失が発生しているはずです。販売当初も同じように品薄状態が続いていたのに何も学んでいないことになります。「あつまれどうぶつの森」がヒットしてNintendo Switchを買いたいという人が増えたのに供給が追い付かないなんて経営者は何をしているんだ?って株主なら感じるはずです。

実際、2020年6月26日に開催された任天堂の定時株主総会で以下のような質疑応答がありました。

質問:

  • 「あつまれ どうぶつの森」がヒットして、Nintendo Switch本体が品薄状態になっているが、急激な需要増に対応ができておらず、大きな機会損失が生じていると感じている。生産体制や販売方法、需要予測について、今後の対応を教えて欲しい

回答:

  • Nintendo Switch および Nintendo Switch Lite の品薄により、大勢のお客様にご迷惑をおかけしていることをお詫び申し上げます。特に(今年3月に)「あつまれ どうぶつの森」を発売して以降今日に至るまで、世界中の市場で品薄状態が断続的に継続しています。本体の生産は概ね回復してきおります。ただ、製造してから店頭に並ぶまでの間には一定のタイムラグが存在し、また、世界各地でNintendo Switchに対する高い需要が存在し続けているため、いつ品薄が解消するか、ということについてはお答えできる状況にはありませんことを、ご理解いただきたいと思います。なお、生産体制ならびに需要予測等に対するご指摘に関しましては、真摯に受け止め、できるだけ早く状況を改善できるように努めてまいります。 

【出典】任天堂 第80期 定時株主総会 質疑応答(要旨)より

品薄がいつ解消するかも把握できておらず、状況を改善できるように努めますという回答では、どれだけ大きな機会損失が発生しているのかも把握できていないように受け取れます。株主側にすれば到底、納得できる回答ではないと思います。

同じ失敗を繰り返す任天堂

やはりこれまでの失敗が全く活かされていないようです。

任天堂の経営陣については責任を取るべきではないかと思えるほど、経営センスがないように感じました。

Nintendo Switchは2017年3月に販売されたものです。発売後3か月は品薄状態が続き、その後、日本だけで8か月で200万台、世界では9か月で1000万台を突破しています。9か月経過しても品薄が改善されていなかったのが、12月のクリスマス商戦を境に在庫がある状態になってきました。年が明けて2018年2月になると「どこでも買える状態」になっていました。多分、作りすぎてしまったのでしょう。

そして、現在は、既にステイホームも終わって、「あつ森」に時間を費やすことができる人も減ってきたのではないかと思います。

もういらないという人が多数いるはずです。

任天堂の品薄商法

任天堂の品薄商法だという人もいますが、今回に限っては「あつ森」がヒットしたのですから違う気がします。また、新型コロナでホームステイとなったことで需要が増えたこともあるので、任天堂にするとラッキーだったのに、任天堂の過去に学ばない体質が影響し品薄状態が今も続いているというのは、責められるべき結果ではないでしょうか?

今回の、Nintendo Switchの品薄は日本を代表する欠点が顕著に表れた結果だと思います。