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もっと早く教えてくれよって思った内容を書いていきたいと思います。

日本のハンコ文化はどうなるのか?

ハンコはテレワークの阻害要因?

新型コロナにより、緊急事態宣言が出されて、テレワークが多くなっていた時期に捺印を行うためだけに会社に出社する必要があるということでハンコが阻害要因だということを言われています。

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ハンコはなぜ必要?

これは、社内文書に関しては電子文書化されていて、ワークフローで処理できても社外に出すもの、社外から発行されるものに対しては紙で処理しないといけない場合が少なくないからです。紙だと自社の発行した文書だということを証明をするための手段が必要になります。これが日本ではハンコですが、欧米ではサインということで、日本のハンコ文化に対して、欧米はサインの文化だと言われます。とは言っても日本には署名捺印という言葉があるように、サインとハンコの両方を使用する場合も少なくありません。契約書などを交わす場合等で会社だけではなく個人の場合でもあります。

署名捺印と記名捺印の違いは?

署名捺印とは別に記名押印と言われる場合もありますが、これらは同じことなのでしょうか?

これが、全く異なります。

署名というのは自著になりますが、記名というのは自著以外の方法で名前を記載することを指します。代筆、ゴム印、印刷といった内容になるので、本人確認という意味では証拠能力が弱いため更に押印を加えたわけです。このため、法的には署名=記名+押印と定められています。

捺印と押印の違いについては共に「ハンコを捺す(押す)」という意味ですが、捺印というのは署名捺印が省略された言葉、押印は記名押印が省略された言葉という事になります。

以上から日本では以下の順で証拠能力が高いとされています。

  1. 署名捺印
  2. 署名のみ
  3. 記名押印
  4. 記名のみ(効力なし)

シャチハタはなぜ証拠能力がないのか?

シャチハタはゴム印ですから記名になるので証拠能力がないということになります。ゴム印とハンコで何が異なるか?というとゴム印は名前の通りゴム製で押す力で変形してしまい印影が安定しないとか、ゴムが劣化してしまい印影が変わることもあります。

またシャチハタは以前、染料インクを使用していたので押印すると紙に滲んでしまって押す都度、印影が変わっていました。今は顔料インクに変わり改善はされましたが朱肉とは異なり紫外線による劣化があり長期保存する場合にリスクが生じます。これに対して朱肉は紫外線劣化しにくい鉱物性の原料が使われています。このような理由からシャチハタやゴム印には証拠能力がないとされています。

そう考えると日本はハンコ文化ではなく、ハンコとサイン両方が必要な文化だと言えます。

印鑑とハンコは同じ?

そんな日本なので宅急便などで荷物を受け取るときは、印鑑ください、ハンコください、なければサインでも大丈夫ですというやり取りがあります。これって最も証拠能力の高い署名捺印の署名又は捺印を依頼するものです。しかし印鑑とハンコって同じなのでしょうか?

印鑑というのは印影と同じで押した後に残る文字・絵・線などのことですが、印鑑は役所での印鑑登録や銀行への届け印のように登録されている印影のことを指します。

つまり印鑑をくださいと言うのは印影をくださいと言ってるのと同じになります。このため、ハンコくださいというのが正しい言い方になります。

印章って?

ハンコ屋さんの店の看板を見るとxx印章といった表記で店名が書かれています。印章=ハンコなので、印鑑くださいは正しくありませんが、印章くださいは正しいことになります。

実印と認印って?

認印をお願いしますと言われることがあります。

先ほどの宅急便で求められるのが認印で、印影の届けがされていないハンコということになります。実印というのは役所に印影を登録したものになります。

三文判とは?

文房具店や100円ショップなどで購入できるような大量生産されたハンコのことです。

シャチハタは前述した通り、証拠能力のないハンコになりますので、朱肉で捺印するタイプのものになります。通常は認印として使用しているものになります。

実印として使用する場合には、三文判ですと、同じものが大量に作られていますので、印影を登録するという意味では好ましくありません。

このため、通常は手彫りで同じものがないように作ってもらうというのが一般的です。

銀行印も銀行で登録しお金を引き出す時などに必ず必要な印鑑になるので、三文判ではなく手彫りのものを使った方が好ましいです。 

法人での角印と丸印

法人でも捺印が必要になる場面が多数あります。見積書を発行したり、契約書を交わしたりする場合です。見積書に社名と共に捺印されているのが角印で会社の認印ということになります。通常は社印と呼ばれているものです。このため通常、角印は印影を登録していません。

これに対して、契約書など重要な場面で使用するものなので実印に相当するものが必要になります。これが丸印で、代表者印、会社実印と呼ばれるものです。

社判をお願いしますと言われた時には、会社の認印である角印なのか?実印である丸印なのかを確認する必要があります。ちょっとした文書を社外に発行する際には社判を申請していたのでは時間を要しますので、部門で自由に使えるゴム印も使用している会社もあるかと思います。

ハンコの押し方にも色々あります。

例えば契約書を例にすると以下のような押し方があります。

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捨印:文書の内容に訂正がでた場合に前もって訂正印になる印鑑を欄外に押す

止印:文章に余白があるとき文章が不正に書き足しされないよう文字の末尾に押す

消印:印紙と文書にまたがって押す

割印:正本と副本などの二枚の書類が対だった証として両方にまたがって押す

契印:契約書が複数枚になる場合に一つの契約書であることを証明するために押す

色々な捺印があるものです。

特に捨印というのは事前に訂正印を押しておくという一見すると危険な行為のような気がしますが、日本人だからこそできることなのかもしれません。

事前に訂正印が押されていれば、契約書の内容を変えてくださいと言っているようなものですから契約金額や契約期間といった契約の基本内容まで書き換えられても不思議ではありません。

 

紙での保管

日本では帳簿・書類等の保管期間が定められていて、通常、7年間~10年間保管する必要がありますが、公文書等では30年間保管というものもあります。保管方法は紙以外にマイクロフィルムや電磁記録といった方法でも可能ですが、以前は契約書・領収書は電子保管が認められていませんでした。今でも帳簿・決算関係書類等で紙が原本のものをスキャナーで取り込んでの電子保管は認められていません。電子保管する場合でも、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 税務署長の承認
  2. 真実性及び可視性の確保

真実性については以前は電子署名が必要だったりしましたが、今はそれもなくなり徐々に電子保管の壁は低くなりつつありますが、法改正が進まないと全ての文書が電子保管できるようにはならないので紙での保管がどうしても残ります。

紙での保管が残ればハンコも残るということになるかと思います。

 

【出典】

今後もハンコは使われていくのか?

長年の歴史があり現在に至っていることです。それなりの理由があって行っていることです。ハンコを無くすというのは長年の歴史を破棄するということにもなります。

このため、僕には一時の利便性で簡単に変えてよいものだとは思えません。

電子保管するとしても色々な条件があるので、電子保管を行うに当たり何が必要なのかを調べないといけません。そして電子保管の仕組みやシステム導入が必要になります。これが障害となって結局、紙での保管の方が良いということで電子保管が進まないという背景もあるかと思います。

これだけ社会に浸透している日本のハンコです。ハンコを無くそうとしても簡単にはなくせないかと思います。

 

特に契約書等は、自社だけではなく他社も関与してくることなので紙文書で処理している場合が多いように感じます。

 最近は、電子契約というクラウドサービスもあります。

www.cloudstamp.jp

e-stamp.jp

しかし、クラウドサービスは運営している企業が倒産した場合はどうなるのでしょうか?印刷することで紙でも保管はできるのでしょうが、証拠能力としてそれが有効なのかどうかも疑問です。

どちらにしても、ハンコを無くすためには、行政から民間まで全てが変わらないと実現しないものだと思います。