広辞苑で調べても出てこない言葉
処方箋なしで薬局で買える「零売(れいばい)」というものがあることを知りました。
この言葉、なんと広辞苑で調べても出てこないんです。
「零売」とはもともと「小売り」「分割販売」という意味があり、一部の医療用医薬品を処方箋なしで購入することができるというものです。
2005年4月1日から施行されています。
厚生労働省は2005年3月30日付通知で、処方せん医薬品以外の医療用医薬品について、「やむを得ず販売を行わざるを得ない場合」には、「必要な受診勧奨を行った上」で、処方せんに基づかない販売ができるとした。また、
(1)必要最小限の数量に限定
(2)調剤室での保管と分割
(3)販売記録の作成
(4)薬歴管理の実施
(5)薬剤師による対面販売
――の順守も求めた。改正薬事法(4月1日施行)に基づき従来の要指示医薬品と全ての注射剤や麻薬、向精神薬など、医療用医薬全体の約3分の2が新たに「処方せん医薬品」となったが、これら以外の医療用医薬品を、医師の処方せんなしに販売するいわゆる「零売」の問題は未解決だった。通知では「原則」として、「効能・効果、用法・用量、使用上の注意などは医師、薬剤師などの専門家が判断、理解できる記載となっているなど医療において用いられることが前提」としながらも、条件付きで零売を認めた格好だ。
処方せん医薬品以外の医療用医薬品について
(1)原則
- 処方せん医薬品以外の医療用医薬品についても、処方せん医薬品と同様に、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものであること。このため、処方せん医薬品以外の医療用医薬品についても、効能・効果、用法・用量、使用上の注意等が医師、薬剤師等の専門家が判断・理解できる記載となっているなど医療において用いられることを前提としており、1.(2)に掲げる場合を除き、薬局においては、処方せんに基づく薬剤の交付が原則であること。
(2)処方せん医薬品以外の医療用医薬品の取扱いについて
- 処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、病院、診療所、薬局等へ販売する場合を除き、処方せんに基づく薬剤の交付を原則とするものであるが、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、次に掲げる事項を遵守すること。
① 数量の限定
- 販売を行わざるを得ない必要最小限の数量に限定すること。
② 調剤室での保管・分割
- 処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、薬局においては、原則として、医師等の処方せんに基づく調剤に用いられるものであることから、通常、処方せんに基づく調剤に用いられるものとして、調剤室又は備蓄倉庫において保管すること。また、販売に当たっては、薬剤師自らにより、調剤室において必要最小限の数量を分割すること。
③ 販売記録の作成
- 事後に保健衛生上の支障が生じた場合に、迅速な対応を講ずることができるようにしておく必要があることから、販売時において、販売品目、販売日、販売数量並びに患者の氏名及び連絡先を記録すること。
④ 薬歴管理の実施
- 販売された処方せん医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施すること。
⑤ 薬局における薬剤師の対面販売
- 販売に当たっては、薬局において、薬剤師が対面により販売すること。
【出典】厚生労働省「処方せん医薬品等の取扱いについて」
処方箋医薬品とは?
但し、全ての薬が購入できるわけではなく、「処方箋医薬品以外の医薬品」ということなので処方箋が必要な薬については、対象外ということです。
血圧を急激に下げるような血圧を下げる薬、副作用の心配がある糖尿病の薬、抗生物質、精神安定剤、睡眠薬、抗がん剤などは対象外です。
処方箋医薬品は以下の基準に該当するものです。
- 耐性菌が生じやすい
- 重篤な副作用が出やすいため、医師が患者の病状や体質等に応じて適切に選択しなければ安全・有効に使用できない医薬品
- 定期的な医学的検査をする必要があるなど、患者の状態を把握する必要がある医薬品
- 依存性があるなど、本来の目的以外の目的に使用されるおそれがある医薬品
零売で買える薬は?
じゃあ、どんな薬があるのか?というと以下のようなものです。
- 痛み止め
- 抗アレルギー剤
- 胃腸薬
- かぜ薬
- ステロイド軟膏
【出典】カテゴリ一覧 | 【公式】速薬 by 健康日本堂調剤薬局
検索したい場合は以下のサイトが便利です。
検索結果の下に、「処方せん医薬品」「処方せん医薬品以外」と表示されるので零売対象かどうかが、わかります。
全て普通にドラッグストアで買えそうなものです。
保険は適用されるの?
残念ながら、保険適用外なので全額自費での支払いとなります。
それでも、初診料、処方箋料といった医療費が不要になるので病院で処方してもらうより若干、安く買える場合もあるようです。
このため、零売薬局での購入時に保険証は不要です。
注意点は?
副作用がある、医者の診断が必要になるような薬は買えないとは言っても、それでも全く問題がないか?というと、ないとは言い切れません。薬剤師からの対面販売とはいっても基本は問診によるものなので検査などは行えません。このため、自己責任ということになります。
どこで買えるの?
零売薬局ですが、現状は東京でもまだ少ないようです。
保険適用外なので購入する際に保険証は不要です。
最近は、零売薬局のチェーン店もオープンしてきたようなので今後、増えていく可能性があります。
どんな時に利用するの?
ドラッグストアでも買えるような薬で、保険適用外となると、どんな時に利用するのでしょうか?
継続して服用している薬があるのに、仕事で会社を休めないため病院に行けず、処方箋を出してもらえず薬が購入できないといった場合になるかと思います。