法案は誰が作るのか?
法律の効力が発生するためには、以下のような流れが必要になります。
- 法案の作成
- 国会への法案の提出
- 法案の審議
- 法案の可決
では、法案は誰が作成するのでしょうか?
前回、簡単に法案には、「議員立法」と「内閣提出法律案(閣法)」があるという説明を行いました。
議員というのは国会議員のことですから、法律を作ることに対して何の問題もありません。それが仕事です。
しかし、内閣が法律を作るというのはおかしくないですか?
なぜなら、内閣というのは行政のことです。
行政が法律を作ったのでは、三権分立(立法・司法・行政)に反することになります。
更にいうと、閣法といいながら実際に作っているのは、省庁の官僚の方です。
そして現在、国会に出されている法案の8割は閣法だということです。
そして更に問題なのが内閣総理大臣は国会議員の中から指名され、氏名しているのが国会なんですね。
学校では日本は三権分立だと教えられてきましたが、一方で日本は議院内閣制だということも教えられたのではないかと思います。
では議院内閣制とはどういうことなのでしょうか?
「内閣が国会の信任にもとづいて成立し、国会に対して連帯して責任を負う仕組み」とあります。
第六十五条
- 行政権は、内閣に属する。
第六十六条
- 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
○2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
○3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。第六十七条
- 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
第六十八条
【出典】e-Gov法令検索
まず、行政権は内閣に属すると書かれてあります。
そして、内閣は行政圏の行使について
内閣は国会の信任が得られなければ成立しないということです。
内閣総理大臣は国会議員から選び、国務大臣の半数以上も国会議員から選ばないといけません。そしてこれを国会が信任しなければ内閣は成立しません。
このため、野党議員がよく大臣に対して不信任案を提出したりしていますが、これも国会で認められないと成立しないということからです。
もっと大きなものになると内閣に対して不信任案を提出している場合もありますね。
そして内閣の不信任案が可決されれば、内閣は総辞職しないといけません。そして内閣は10日以内に衆議院を解散することができると日本国憲法で定められているんですね。
第六十九条
【出典】e-Gov法令検索
国民に選ばれた議員から構成される内閣を信任できないというのであれば、議員自体を選びなおすこともできるということが憲法に書かれてあるのです。
これが連帯責任の部分になります。
旧民主党が政権を取った時に、官僚主導の行政を変えようということで国家戦略室を設置しましたが政策が遂行できなくなり、国民の批判を受けました。
長年、続いてきたということは、全てが慣習ということではなく、必要があって行われていることもあるということです。その点を考えずに、長年の悪しき慣習だと確認もしないで仕組みを変えるから失敗してしまうのです。
閣法が8割というのも逆に言えば、国会議員がそれだけ法案を作っていないということです。国会に出席しているとき以外は、地元に帰り、次の選挙に向けての地盤固めに時間を費やしているのですから、法案を作っている時間が取れなくて当たり前です。
官僚主導をどうこう言う前に、自分たちの足元をしっかり見て頂き、自分たちは、本来やるべきことをやっているのか?ということを考えて頂きたいものです。