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マイクロソフト社のモバイル端末が失敗した理由

マイクロソフトはパソコンOSのシェアNo1

マイクロソフトはパソコンのOSでは世界一であることは間違いないです。

そしてマイクロソフトが販売している、ノートPC(Surface)は人気です。

ビジネスソフトでは、EXCEL/WORD/POWERPOINTも今ではなくてはならないものになっています。

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にもかかわらず、マイクロソフトが販売するモバイル端末はなぜ、売れないのでしょうか?まず、思いつくのが、Windows CEです。

Windows CE

そして、WindowsCEがターゲットにしたのは、PDA(Personal Digital Assistant)です。PDAというのは、スケジュール帳、住所録、タスク管理と手帳の代わる小型端末として売り出したものです。

これは単にパソコンを小さくしただけのようなものなので、画面の解像度は640×480、キーボードも小さすぎて、文字入力が大変ですし、電池も長くは持ちませんでした。

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参照元】シャープ株式会社

小さな大ヒットだった、W-ZERO3や、ザウルスというPDAもありましたが、定番となるまでには至りませんでした。

この頃、PDAのような携帯できるモバイル端末に対する欲求は強かったと思いますが、夢と現実とのギャップが大きすぎて一部の人だけで終わったのでしょう。

PDAに関しては、マイクロソフトの限らず、色んなメーカーが参入していましたが、もう一つだったという感じが僕の印象です。

PDAが試行錯誤の状態の中、2007年6月に、アップル社がiPhoneが送り出したことで流れが大きく変わります。

iPhoneでは、画面も見やすく、操作性も格段に進歩し、キー入力は、タッチパネルで入力方式も「QWERTY配列」だけではなく独自の方式で入力の負担を軽減した方法になっています。電池についても、1日とまではいかなくても6時間程度は持ちました。そして、PDAの時代からずっと要望があった電話との融合です。これは衝撃的でした。GoogleアンドロイドOS搭載のスマホが日本で発売されたのは2年後の2009年7月です。更に1年遅れ、2010年10月に、マイクロソフトWindows Pohoneを発売します。

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マイクロソフトの戦略とは?

これまでマイクロソフトは、いつも後発で、シェアを獲得してきました。デジタルリサーチ社のCP/Mから、MS-DOSApple社のMAC OSからWindowsロータス社のロータス123からEXCELといった具合です。Webブラウザーも、NetscapeからInternet Explorerを開発しています。

しかし、iPhoneの圧倒的な革新性の前では、Googleのアンドロイドさえ二番煎じにしか見えません。iPhoneの操作性に慣れてしまったユーザーは、3番手のWindows Phoneに興味を持つことはありませんでした。そして2017年7月、Windows Phoneのサービスを終了しました。

マイクロソフトは、ゼロから何かを作るという点では、アップル社やグーグル社より正直、劣っているように感じます。

マイクロソフト社が最初に開発したものが何かあるでしょうか?

マイクロソフトの戦略は売れているものを、後からだして、最初に出したものと同じようなものをハードと一緒に販売してシェアを獲得する戦略だと思っています。

IBM-PCにはMS-DOSMS-DOSが稼働している環境で動作するWindows、そしてWindowsが動作する環境に、EXCELやWORDと単体での販売ではなくハードとセットで販売したところに後から出してシェアを獲得する秘密があったわけです。

しかし、PDAといったモバイル端末はハードとソフトがそもそも一体化しているわけですから、これまでのマイクロソフトの戦略は通用しないわけです。

仮に、iPhoneのOSがWindowsだったとしても、Windows Phoneと同じ結果になっていたような気がします。

iPhoneが売れたのは、モバイル端末の操作方法を根本的に変えたところにあるからです。Windowsのインターフェースではモバイル端末に受け入れられることはなかったと考えます。

マイクロソフト社がIPhoneより先にWindows Phoneを出すことはできない

マイクロソフトWindowsベースのスマートフォンを出しましたが、もしこれが、iPhoneより先に販売していたらどうなっていたかは何とも言えませんが、一つだけ言えることは、iPhoneが発売されなければ、Windows Phoneもできなかったということです。マイクロソフト社では、何もないところからWindows Phoneの発想は出てこなかったはずです。

マイクロソフトは、ソフトウェアの会社

だからといって、マイクロソフト社が単に真似をしているだけの会社だとは思っていません。ソフトウェアの開発だけでいうなら、MS-DOSWindowsEXCELと実によく考えられたものに仕上がっていて、ソフトウェア開発はとても楽になっています。(便利ですが不具合が多いのが難点ですが・・・)EXCELVBAは、実によく考えられていると思います。

組み込み系のOSとしても日本のTRONがなかったら、WindowsCEのシェアはもっと伸びていた可能性はあると思います。Windowsは動作が重かったり、不安定だったりするので、安全性が重視される自動車等で採用することはできないと思いますが、POSレジのように色々なシステム(QR決済、電子マネー、クレジットカード等)と連携しないといけないようなものだとWindowsOSはソフト開発が楽になるので重宝されると思います。

銀行のATMでWindowsXPが使用されていたのは、有名ですし、カーナビでもWindowsが使われているものもあるはずです。

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マイクロソフトの一番の失敗

マイクロソフトで、一番の失敗は、やはりInternet Explorer だと思います。

Internet Explorerは、Windows標準ということで一時期は、シェアナンバー1でしたが徐々に不具合も多く、他のブラウザとの互換性などが問題になってきて何よりWeb開発者泣かせのブラウザーとなってしまったので、得意なはずのソフトウェアで失敗した例になると思います。

スマートフォンの様にハードとソフトが一体になっているようなものは、後発はやはり不利なのでマイクロソフトが参入するというのは得策ではないと思うんですね。

マイクロソフトは、後だしじゃんけんのソフトウェアの会社だと思うので、ハードウェアをしっかり決めてターゲットを定めてソフトを開発していくというのがベストだと思います。

思考スピードの経営ーデジタル経営教本 

マイクロソフト社 創業者ビルゲイツ氏の著書に「思考スピードの経営」があります。この本は、1999年に書かれたものです。日本ではNTTドコモの「iモード」が始まった頃になります。

そして、以下の文章から始まります。

  • ビジネスはこれからの十年間に、これまでの五十年間に起きた以上の変化を遂げていく

そして以下のように予想しています。

  • ほとんどの人が、パソコンを職場でも家庭でも日常的に使用し、毎度のように電子メールを利用し、インターネットに接続され、個人用、ビジネス用の情報を積載したデジタル機器を持ち歩いているだろう。新しい消費者用機種が次々に登場し、その結果ほとんどありとあらゆるデータ、文章、数字、音声、写真、映像がデジタル化されていくだろう。

ビルゲイツが予想したことは、まさに今の状態だと思います。

ビルゲイツ氏は個人的に、良いイメージはなかったのですが、「思考スピードの経営」を読んで、認識が変わりました。

Internet Explorer は一番の失敗だと書きましたが、ビルゲイツ氏のネットに関する未来を見る目は正確だと認識しています。

Windowsより先にアップル社が販売

Windowsが登場するまでは、パソコンを起動すると黒い画面が表示され、そこに白い文字で呪文のようなコマンドを打ち込まないとパソコンが使えなかったのです。このため、パソコンは一部の人しか使えないと思われていたのですが、ビルゲイツWindows95を戦略的に世界に送り出したのです。

Windows 95により、会社は勿論、一般家庭にもパソコンが普及するようになりました。しかし、Windows 95のようなOSはアップル社が既に、形にして販売していたのです。それが、Macintoshです。

1984年に発売されているので、Window95の10年も前から販売されていました。

これまでキーボードで文字を入力しないと操作できなかったパソコンをマウスで操作できるようにした画期的な商品です。

しかし普及しなかったのは、価格です。

当時、約2500ドルで販売されました。(日本では約70万円)

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今でも70万円と言われたら、多くの人はパソコンは買わないはずです。

1984年というと大学生の初任給が約13万円の時代ですから、給料5か月分以上になります。同じ年にIBMIBM-PCを販売しています。価格は最低価格が約1500ドル(日本円で約40万円)です。Macintoshよりは安価ですが、それでも一般家庭に普及できるような価格ではありません。

これは、パソコンといえばメーカー毎に異なるものが当たり前の時代で、数が出ないので、どうしても価格は高くなります。どのような理由なのかはわかりませんが、IBMが、IBM-PCの仕様の多くを公開したのです。

IBMは結果的に社会に貢献した

そうすることで、コンピュータメーカーや部品メーカー、ソフトウェアメーカーの多くが互換製品や対応製品を開発・販売し始めました。IBMが、互換機を想定して仕様を公開したのかどうかはわかりませんが、結果的には世界標準のパソコンが誕生したのです。これを、PC/AT互換機DOS/V機などと呼んでいました。

マイクロソフトは、Windowsを、PC/AT互換機、日本で一世を風靡したPC-9800シリーズ、PC-9800の互換機だと販売されたEPSON PCと色々なパソコンで動作するようにしました。Windows95の普及と共にパソコンの価格は下がっていきます。

これにより、マウスで操作できるパソコンが安価に買えるようになったのです。

そして、PC/AT互換機はPC-9800シリーズを初めとする日本の独自仕様パソコンを淘汰していきます。

IBMが仕様を公開してくれたおかげで、パソコンの価格が下がり家庭に普及したのは間違いありません。普及したことでアップルのパソコンの良さにも気づく人が増えてアップル社にも良い影響があったはずです。

1995年がITの大きな分岐点

経営者という意味では、スティーブ・ジョブズよりビルゲイツの方に軍配が上がりますが、技術者としてはスティーブジョブの方に軍配が上がります。

この二人が組んでいたら、どうなったのだろう?と考えてしまいます。

Windows95が販売された1995年にGoogleの歴史もスタンフォード大学で始まり、Amazonもサービスを開始します。1995年というのは、ITの大きな分岐点だと言えます。

1997年にGoogle検索、2004年にFacebookが登場します。

マイクロソフトのモバイル端末が失敗した理由

企業や人にはそれぞれ、得手不得手があるものです。

マイクロソフトビルゲイツAmazonのジェフ・ペソスは、同じタイプの経営者だと思います。顧客が求めることを察知し、形にする才能がある才能があるのだと思います。アップルのスティージョブズ、グーグルのラリー・ペイジセルゲイ・ブリンフェイスブックマーク・ザッカーバーグは、顧客が求めるものではなく、顧客が考えもしなかったような新しいものを生み出す才能があるのだと思います。このため、ビルゲイツが、iPhoneを作れないように、スティージョブズビルゲイツの様にWindowsを普及させることはできないということです。