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音楽教室の楽曲も著作権の使用料必要

ピアノ教室のレッスンで使用する楽曲の利用料

楽曲の著作権を管理しているJASRACが、2018年4月以降、音楽教室などのレッスンで使用する楽曲を利用料の徴収の対象にしたことで、音楽教室などがJASRACを訴えていました。レッスンでの演奏が公衆に聞かせる演奏かどうか?ということが争点でした。その第一審の判決は、ピアノ教室のレッスンで使用する楽曲は利用料の請求対象になるというものです。

ピアノ教室などのレッスンで使われる楽曲の著作権をめぐり、使用料の請求の対象となった音楽教室などがJASRAC日本音楽著作権協会を訴えた裁判で、東京地方裁判所は使用料を請求できるという判断を示し、教室側の訴えを退けました。音楽教室での著作権をめぐる初めての司法判断で、全国の音楽教室に影響を及ぼすとみられます。

www3.nhk.or.jp

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判決の理由ですが、以下の通りです。

  • 楽曲を利用しているのは、生徒や教師ではなく事業者である音楽教室
  • 生徒は、申し込んで契約を結べば、誰でもレッスンを受けられるので不特定多数の公衆に当たる

レッスンが公衆に「聞かせる」ものか?と言われれば、正直、違うような気がします。

法的に「公衆」とは、以下のように定義されています。

  • 「不特定の人」又は「特定多数の人」

つまり、「ひとり」であろうが、「多数」であろうが、「誰でも」という場合は、公衆向けになります。

そうすると、法的には生徒は公衆ということになります。

そして、楽曲を誰が利用しているのか?という点では、生徒でも教師でもなく、音楽教室が利用しているというのです。

ここで「使用」ではなく、「利用」という言葉が使われています。

音楽を聞くというのは、「使用」ですが、音楽を公衆に聞かせるというのは「利用」だということです。

そうすると、次は、「聞かせる」という点が問題になってきます。

音楽教室では楽曲を公衆に聞かせていることになるのでしょうか?

今回の裁判で、音楽教室側は以下のように主張しています。

  • 聞かせることを目的とした演奏とは聞く人に感動を与えるための演奏であり、生徒が練習するための演奏は保護の対象ではない。

これに対して判決は以下の通りです。

  • 演奏が「感動を与える目的」かどうかは演奏する人の主観に踏み込まなければ判断できず、抽象的かつあいまい。
  • 音楽教室の教師や生徒自身が演奏技術を向上させるため、聞かせることを目的に演奏していることは明白。

個人で楽曲の演奏を練習することは、個人使用ということになるので「利用」には該当しませんが、利益を得ることを目的としている音楽教室でのレッスンは聞かせることを目的に演奏しているという判断がされたようです。

JASRACは、職員を約2年間にわたって「生徒」として音楽教室に通わせ、潜入調査していたということです。裁判で証言するためのものだったのかはわかりませんが、裁判には当然、証言者として出廷するのでしょう。しかし、JASRACの立場での調査であり、公平性に欠ける内容になっているかと思うので、客観性に欠ける内容になっている可能性は高いと思います。

音楽教室側が用意した楽曲を使ってレッスンを行い、レッスン料を得ているのだから、楽曲は使用には当たらず利用になる。

利益目的で使用したのだから著作権利用に該当すると言われたら、その通りのような気もします。

しかし、音楽教室は演奏技術を向上させることが目的であり、その先の聞かせることに関しては別の話だと思うんですよね。

音楽教室側は控訴するということなので、次は「公衆に聞かせる」という点が焦点になるのではないかと思います。