アメリカがイラン革命防衛隊のスレイマニ司令官を殺害しました。
スレイマニ司令官は、中東において最も強力な軍人の1人だということです。
そしてアメリカ政府は、2019年4月にイラン革命防衛隊を「外国テロ組織」に指定しています。しかし、イランの保守派、アメリカ及び、その同盟国に批判的な人々からは支持されていました。
当初、「イランによるアメリカへの攻撃を防ぐため」と発表がありましたが、翌日には、「やられたからやり返した」と発表しています。
殺害方法についても、ドローン攻撃という報道や、ソレイマニ司令官がアメリカの外交官や軍関係者に邪悪な攻撃を間も無く実行しようと計画していたので、彼を捕まえ、殺害したという報道もあります。
イランの英雄とされている人物を殺害すれば、イランが報復を考えないはずがありません。つまりイランやソレイマニ司令官によるアメリカへの攻撃を防ぐという論理は通用しないのです。
2019年12月31日に在イラク米大使館がイランが支援する武装組織によって攻撃されたのをテレビで見て「激怒」したからという説が個人的には一番、信憑性が高いと思います。
殺害方法についても、ソレイマニ将軍が、イランが支持するイラクの民兵組織と共に車両でバグダッド国際空港を出ようとしたところを貨物ターミナルの近くでアメリカ軍のドローンが、複数のミサイルを放ち、車両2台の車列を直撃し、少なくとも5人が死亡したというのが正しいのではないかと思います。
正当な理由があるのであれば、殺害の理由が二転三転するなんてことはあり得ません。これが示すのは、正当な理由がなかったということです。
普通に考えればトランプの個人的感情ということになります。
個人的感情で5人の命を奪ってしまう行為は、テロ組織と同じだと思います。
アメリカはイラク戦争の時にもイラクが大量破壊兵器を保持し、進展義務違反だという理由で攻撃を行っていますが、結局、大量破壊兵器は見つからなかったので誤った情報で戦争を行ったということになります。その結果が、イラクだけでも50万人、アメリカを含む多国籍軍で約5千人の死者です。
大量破壊兵器を保持しているからと、50万人の命を奪うことのどこに正義があったのでしょうか?アメリカにとっては、情報が誤っていたかどうかなんて関係なく、単にイラクがアメリカに従わない国で気にくわないから攻撃したということだと思います。気にくわないという理由だけで50万人以上の命を奪ったのです。
今回のスレイマニ司令官を殺害したことも、同じような理由なのでしょう。
そして、イランはアメリカへの報復を宣言しています。
これに対し、アメリカは報復すれば、イランの民間施設、文化施設、軍事関連施設の計52カ所を攻撃すると言い、だったらイランは、300カ所を攻撃すると発言がエスカレートしています。
そして、イランが報復で、 イラクの米軍基地に弾道ミサイルを放ちました。
これに対するトランプの発言は以下の通りです。
All is well! Missiles launched from Iran at two military bases located in Iraq. Assessment of casualties & damages taking place now. So far, so good! We have the most powerful and well equipped military anywhere in the world, by far! I will be making a statement tomorrow morning.
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2020年1月8日
【翻訳】
- 万事うまくいっている。イラクにある2つの軍事基地で、イランからミサイルが発射された。現在発生している死傷者と損害の確認を行っている。現在のところは順調だ。我々は世界のどこよりも強力な装備が整った軍隊を持っている。明日の朝、声明を行う。
報復されたので、トランプは宣言した通り、52カ所を攻撃するのかと思っていましたが、流石に、それは周囲から反対が多かったのでしょうし、今回はアメリカも戦争にはしたくないということなのでしょう。
今回はアメリカが一方的に悪いのですから、世界各国はアメリカが行ったことはテロ行為だと批判するべきですし、経済制裁を行うなどの対処も必要だと思います。
このままでは、本当に第三次世界大戦にならないとも限りません。
北朝鮮も危険な状態だということを米国は理解しているでしょうから、今はイランと戦争を行うという選択ができないのかもしれませんね。
いずれにしてもイラクに続き、個人的感情でまた、多数の命を奪うような戦争は絶対に避けなければいけません。